防衛予算を年々増加させているドイツ。組織の再編も進み、様々な部隊が復活しています。2006年に解隊された第363戦車大隊も復活が決まり、ドイツ南東部のバーデン=ヴュルテンベルク州ハルトハイムで再編の準備が進められています。

 ドイツ国防省は2020年予算として前年より4.2%、約18億ユーロ(約2168億円)増となる総額451億ユーロ(約5兆4314億円)の予算案を連邦議会に提出しています。特にこれまで組織のスリム化が進み、規模が縮小された陸軍は、2019年からオランダと共にNATO統合早期即応部隊(VJTF:2014年創設合意)の中核をイタリアに代わって担うことになり、任務が増加しているため、規模の拡大が必要とされています。

 

 第363戦車大隊を復活させ、ハルトハイムに配置する決定は、2018年12月6日に前任のウルスラ・フォン・デア・ライエン国防相(2019年12月1日より欧州委員会委員長に就任)から発表されました。拠点となるのは、カール・シュルツ兵舎。ここには2011年まで第12装甲砲兵大隊が駐屯していましたが、その後休眠状態に置かれていました。

 この決定は、ハルトハイムが属するネッカー=オーデンヴァルト郡による誘致活動が大きな役割を果たしています。当地では軍が好意的に受け入れられており、戦車部隊駐屯による投資に伴う経済効果も期待されてのことで、アヒム・ブレーテル郡長は「宝くじに当たったような気持ち」と、第363戦車大隊の駐屯を歓迎しています。

 2019年10月1日、第10師団・第37装甲擲弾旅団のもとに再編された第363戦車大隊の先遣隊がハルトハイムに赴任し、部隊受け入れの準備を始めました。再び戦車部隊が駐留可能にするため、兵舎などのインフラ整備に約5500万ユーロ(約66億2365万円)の予算が充当されます。

 2020年4月には仮運用が始まり、レオパルト2戦車の配備は同年10月からの予定。すべての編制が完結すると、第363戦車大隊は44両の戦車による3戦車中隊と、1後方支援中隊という組織になるとのことです。

<出典・引用>
ドイツ陸軍 プレスリリース
ドイツ国防省 プレスリリース
Image:Bundeswehr

(咲村珠樹)