アメリカへ遠征航海に出ていたイギリス海軍の空母クイーン・エリザベスとその僚艦が、2019年12月4日(現地時間)に母港のポーツマスへ帰港。ポーツマスでは乗組員家族のほか、姉妹艦の空母プリンス・オブ・ウェールズが迎えました。

 空母クイーン・エリザベス(R08)は、イギリス空海軍のF-35Bパイロットが実際の空母運用を試験するため、2019年8月30日にアメリカの東海岸へ向けポーツマスを出港しました。「ウェストラント19」と名付けられたこの遠征航海では7機のF-35Bを搭載し、駆逐艦ドラゴン(D35)、フリゲートのノーザンバーランド(F238)、給油艦タイドフォース(A129)を伴った空母打撃群を構成して行動しています。

 アメリカ沖の大西洋上で、イギリス軍のF-35Bによる初の発着艦を行ったのは10月13日のこと。この後アメリカ海兵隊のF-35Bも加え、様々な条件での発着艦訓練を実施して、実用上の問題点などを洗い出す作業を行っています。

 この発着艦に際しては、パイロットだけでなく、緊急事態に備えた救難訓練も行っています。空母クイーン・エリザベスにはイギリス海兵隊第42コマンドーのL(リマ)中隊が乗艦したほか、救難ヘリコプターとして海軍第814飛行隊のマーリンと、第815飛行隊のワイルドキャットが航空機運用中の救難訓練を実施しました。

 2か月余りの遠征航海を終え、ポーツマスに入港したクイーン・エリザベス空母打撃群。岸壁には乗組員の家族が「お帰りなさい」の手作りサインボードを掲げます。


 また、クイーン・エリザベスの姉妹艦である空母プリンス・オブ・ウェールズも出迎えました。ポーツマスの港で、久々に2隻のイギリス空母が並びます。

 クイーン・エリザベス艦長のスティーブ・ムーアハウス大佐は「航海を終えて帰港するというのは、いつだって特別な出来事ではありますが、ポーツマスで姉妹艦のプリンス・オブ・ウェールズが出迎えてくれるというのは、特筆すべき瞬間といえるでしょう」と、久々にイギリス海軍の空母が複数並ぶという今回の出来事を表現しています。


 アメリカでのF-35B運用訓練を終えたクイーン・エリザベスは、持ち帰ったデータを元に実戦化した際の運用手順などを作成することになります。「今回の遠征はクイーン・エリザベスにとって大成功といえるものでした。イギリスのF-35による初の空母運用や、僚艦と共に空母打撃群としての運用を行ったということは、大きな節目となります。2020年の作戦能力獲得、そして2021年の実戦遠征に向け、良い準備ができました」と、ムーアハウス艦長は今回の遠征を総括しています。

<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright 2019

(咲村珠樹)