おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

元駐日大使が再び「名付け親」に 2代目空母ジョン・F・ケネディ進水

 アメリカ海軍の最新空母、ジョン・F・ケネディ(CVN-79)の進水式が2019年12月7日(現地時間)、バージニア州ニューポート・ニューズ造船所で行われ、ケネディ元大統領の娘であるキャロライン元駐日大使が「名付け親」として祝福の儀式を行いました。

  •  新世代の空母であるジェラルド・R・フォード級の2番艦として、2015年8月22日に起工されたジョン・F・ケネディ。ケネディ元大統領の名を冠する空母としては、1968年に就役し2007年に退役したキティホーク級空母の4番艦(CV-67)に続く2代目ということになります。

     先代の空母ケネディはアメリカ海軍最後の通常動力(ボイラーによる蒸気タービン推進)空母でしたが、2代目は原子力(原子炉による蒸気タービン推進)空母となりました。全長は初代より12mほど長い332.84m、満載時排水量も2万トン近く大きくなっています。

     ニミッツ級の実績を踏まえて設計された2代目空母ジョン・F・ケネディ(CVN-79)は、20以上もの新たな技術が採用されています。推進システムの効率化をはじめ、蒸気式カタパルトと比較してチャージ時間の少ない電磁カタパルト(EMALS)と能力向上型の着艦拘束装置(AAG)は、ニミッツ級より15機ほど多い航空機搭載量と合わせて、任務遂行率(Sortie Generation Rate=SGR)を33%向上させています。

     また、艦の各所で自動化や省力化が進み、ニミッツ級に比較して乗組員を700名削減。50年を予定している就役期間中で、従来より40億ドル(約4344億円)近いコストを削減可能としています。

     12月7日に行われた命名・進水式では、チャールズ・F・ボールデン元NASA長官(海兵隊パイロット出身)がスピーチし、ジョン・F・ケネディ第35代アメリカ合衆国大統領の功績を振り返り、この空母が「大きな抑止力として機能し、我が国の誇りとして、より良き世界、より良き未来の希望となってくれることを願います」と期待を寄せています。

     今回の「名付け親(Ship’s sponsor)」を務めるのは、ジョン・F・ケネディ元大統領の長女で、第29代駐日アメリカ大使(2013年~2017年)だったキャロライン・ケネディさん。艦首に取り付けられたネームプレートの下にアメリカ産スパークリングワインのボトルを打ちつけ、祝福の儀式を行いました。


     実はキャロラインさん、9歳だった1967年5月27日に同じくニューポート・ニューズ造船所で行われた、初代空母ケネディ(CV-67)の命名・進水式でも母親のジャクリーン・ケネディとともに「名付け親」を務めています。おそらく、2代続けて同名の空母で「名付け親」を務めたのは、これが初めての例ではないかと思われます。


     キャロラインさんは「この船の名付け親となり、命を吹き込めたことをとても誇りに思います。CVN-79乗組員の皆さんは、素晴らしいリーダーに恵まれています。かつて空母ジョン・F・ケネディに勤務していた方のことを知る機会があり、それを通じて父がどのような人物であったのか、どのようなリーダーであったのかを感じる、得難い経験をしました。そして今ここに、新たな世代として、そうした機会が現実になろうとしています」と、先代の空母ケネディを引き合いに出し、新たな空母ケネディの前途を祝福しています。

     空母ジョン・F・ケネディの初代艦長に任命されているトッド・マルザーノ大佐は、全ての準備が整うまで67%の地点に達しているとコメント。「CVN-79は、私が空母エイブラハム・リンカーン(CVN-72)勤務時代の2015年、リンカーンのドック入りの機会に起工当初の状態を見学して以来、長い年月を過ごしてきました。そして今、非常に高い能力を持つ素晴らしい乗組員を指揮する機会を与えられ、非常に名誉であるとともにワクワクする気持ちを抑えられないでいます」と語っています。

     約2万人が参列したという命名・進水式を終えた空母ジョン・F・ケネディは、今後も艤装作業が続けられる予定となっています。

    <出典・引用>
    アメリカ海軍 ニュースリリース
    Image:U.S.Navy

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 弾道ミサイル対処訓練を行う護衛艦あたごの乗組員(画像:海上自衛隊)
    宇宙・航空

    弾道ミサイルに対処する日米共同訓練「レジリエント・シールド2023」

  • 横浜の「動くガンダム」前で再入隊の宣誓をするラビーチ2等兵曹(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    ガンダムの前で服務の宣誓!意外と自由なアメリカ海軍の再入隊式

  • ずらりと並んだF/A-18E/FとEA-18G(78式組長さん提供)
    インターネット, おもしろ

    増えも増えたり50機あまり スーパーホーネットとグラウラーのプラモ飛行隊

  • 並走するフランス・イタリア・アメリカの空母(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ・フランス・イタリアの空母部隊 地中海で共同訓練

  • 開会式の記念写真右から3人目が海上自衛隊の野口1佐(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    日本を含む60か国が参加 中東で最大規模の海軍共同訓練始まる

  • トンガとの友情を見せるラグビーボールを示す航空自衛官(画像:Commonwealth of Australia)
    宇宙・航空

    火山災害のトンガ 自衛隊や各国軍による救援活動が進む

  • チュニジア海軍と訓練中の空母ハリー・S・トルーマン(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    NATO艦隊が地中海で共同演習を開始 冷戦後初めてアメリカ空母も参加

  • サンディエゴを出港する空母エイブラハム・リンカーン(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    空母エイブラハム・リンカーン 東太平洋地域へ展開

  • 空母ジョージ・H・W・ブッシュ艦上のMQ-25(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ海軍の無人空中給油機MQ-25 初めての空母運用試験終了

  • ポートランドから照射されるレーザー(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ海軍 中東アデン湾でレーザー兵器の実射試験を実施

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能にする試験導入を発表
    インターネット, サービス・テクノロジー

    YouTube、永久停止クリエイターに「再出発の機会」 新チャンネル申請を可能に…

  • 南インド伝統のチキンカレー「ケララチキンカレー」
    商品・物販, 経済

    松のやが南インド伝統の味を再現 「ケララチキンカレー」新発売

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • トピックス

    1. 藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      藝大卒の声楽家が1時間1000円で自分を貸し出す理由 フリー芸術家ならではの戦略

      プロの声楽家として活動する傍ら、1時間1000円から自分の時間を「レンタル」している男性。キャリア豊…
    2. ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムが“カニまるごと”の衝撃バーガーを再販 新作コチュジャン味を食べてみた

      ドムドムハンバーガーは10月14日に、カニを丸ごと挟んだ「丸ごと!!カニバーガー」を販売開始しました…
    3. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト