カタール建国記念日の2019年12月18日(現地時間)、カタールの首都ドーハで開催されたエアショウに、イギリス空軍の戦闘機ユーロファイター・タイフーンが初めて参加し、祝賀飛行を行いました。エアショウではカタール空軍のエアロバティックチームなども飛行しています。

 カタール建国記念日は、1878年12月18日に現在のカタールが統一されたことを記念するため、1978年に祝日として制定されたもの。2019年はカタールに展開しているイギリス空軍の第12飛行隊が、初めて首都ドーハでの祝賀飛行に参加しました。


 イギリス空軍の第12飛行隊は、第一次世界大戦中の1915年に創設された歴史ある飛行隊。1937年に制定された部隊章は、当時運用していた軽爆撃機・戦闘機のフェアリー・フォックスに由来する、キツネの顔が描かれたものとなっています。

 第12飛行隊はトーネードGR.4を装備してアフガニスタンに派遣された後、いったん休止状態に置かれます。再び活動状態に戻されたのは、2018年7月24日のこと。今度はユーロファイター・タイフーンが使用機となりました。

 タイフーン飛行隊として復活した第12飛行隊の新たな任務は、カタール空軍の戦闘機パイロット養成でした。2018年にカタールは、イギリスからユーロファイター・タイフーンを導入することを決定。24機の調達契約を結びました。第12飛行隊は、このパイロット要員の養成を行うこととなったのです。

 今回、カタール建国記念日のエアショウで第12飛行隊が祝賀飛行を行なったのは、カタールとイギリスの友好的関係を表すもの。第12飛行隊長のクリス・ライト中佐は「カタール建国記念日の祝賀飛行でドーハ上空を飛び、その様子をカタールの首長にご覧に入れることができ、非常に良かったと思っています。街の至るところに建国記念日を祝うムードが溢れていて、その祝賀ムードの一端を担うことができました。来年、今度はカタールのパイロットやグラウンドクルーとともに、このカタールへ戻ってくるのを楽しみにしています」というコメントを発表しています。

 カタールは20世紀前半にイギリスの保護国となっていた歴史がありますが、これまで空軍の戦闘機はフランスのミラージュやラファールが主力を担ってきました。イギリスの戦闘機は、カタール空軍の創設当初に供与されたホーカー・ハンター以来です。

 ホーカー・ハンターが1981年に退役して以来、久々のイギリス戦闘機となるユーロファイター・タイフーン。カタール空軍では、2022年に飛行隊の発足を予定しているとのことです。

<出典・引用>
イギリス空軍 ニュースリリース
Image:RAF/Crown Copyright 2019

(咲村珠樹)