アメリカ空軍の太平洋地域で2020年初となる空対空戦闘訓練「セントリー・アロハ20-1」が現地時間の1月8日~22日に実施。相手方となる第18仮想敵飛行隊は、真冬のアラスカから常夏のハワイに進出し、戦闘機パイロットを鍛え上げました。
空対空戦闘訓練「セントリー・アロハ」は、ハワイ州空軍が主体となって毎年数回実施されるもの。オアフ島のパールハーバー・ヒッカム統合基地を拠点に、約1000人の人員と35機以上の航空機が参加して、2週間の日程で実施されます。
今回参加したのは、地元のハワイ州空軍第199戦闘飛行隊とアメリカ空軍第19戦闘飛行隊に所属するF-22ラプターのほか、カリフォルニア州空軍から第194戦闘飛行隊のF-15Cイーグルが参加。訓練の相手方となるのは、第18仮想敵飛行隊のF-16ファイティング・ファルコンです。
訓練空域の管制を担当するのは、オクラホマ州ティンカー空軍基地からやってきた第970空中管制飛行隊のE-3セントリー。彼らも空中戦闘の指揮をする技量向上の訓練に臨みます。
第194戦闘飛行隊は暖かいカルフォルニア州フレズノ空軍基地から飛来。これに対し、第18仮想敵飛行隊は真冬のアラスカ州イールソン空軍基地からやってきました。凍てつく寒さのアラスカから常夏のハワイでの訓練となると、気候の変化に慣れるのが大変そうです。
訓練では戦闘機同士の空戦技量を向上させるため、ハワイ周辺空域でみっちりとF-16を相手に空対空戦闘を行います。カリフォルニア州空軍第144戦闘航空団の警戒司令官、ピート・ウィードナー中佐は「我々のF-15とF-22がともに空対空戦闘に臨むことで、お互いの長所をしっかり把握することができます。これにより1+1=2以上の効果、例えるなら1+1=5のようにすることができるのです」と、異機種間による共同作戦の意義を強調しています。
訓練を統括するマシュー・オーマン中佐は「セントリー・アロハは第4世代戦闘機(F-15)に、F-22という第5世代戦闘機と共同して戦闘をする、という独特のシチュエーションを提供しています。空対空戦闘というのは、往々にして非対称な戦力状況で突入するものです。しかしこのように、全く別の能力を持つ機体とともに戦闘訓練を行うことで、単独で訓練するよりも多くのものを得ることができます」と語っています。
ハワイでの「セントリー・アロハ」を終えた第18仮想敵飛行隊は、グアム島アンダーセン空軍基地に移動して、今度は1月30日から始まる共同訓練「コープ・ノース」に臨みます。ここではアメリカ空軍だけでなく、航空自衛隊第9航空団(沖縄県那覇基地)のF-15、第8航空団(福岡県築城基地)のF-2、そしてオーストラリア空軍のF/A-18を相手に、空戦技量を教える予定です。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:USAF
(咲村珠樹)