日本人が古くから計算に利用していたそろばん。しかし時は令和。今ではスマホでも計算機になる時代……。そんな時代に、電卓とそろばんが一緒になっている謎ガジェットがツイッターに投稿され、見た人は「これは何でくっついているワケ??」と不思議がっています。

 「実家から発掘された伝説のガジェット。計算と計算ができます」と、その写真をツイッターに公開したのは、昭和ガジェット好きななかうちさん。細長いそろばんの左隣には、電卓が付いています。一体なぜにくっ付けた……?

 この謎ガジェット、「ソロカル」という商品名でシャープ株式会社が1978年に発売したもので、写真のものは1981年の後期に発売のEL-428。かれこれ40年ほど前に発売されたのですが、それ以前の1977年にはポケコン(ポケットコンピュータ)が、初代ソロカルと同じ1978年にはかつて個人レベルで趣味と実益を兼ねたホビーパソコンとして「マイコン」と呼ばれていた、BASICという基本的なコンピューター言語で動作する組み立てキットの「MZ-80K」も発売しています。今のパソコンの基礎と言われてもおかしくないものです。

 当時にしてはハイテクとローテクの組み合わせが革新的だったのでしょうか……?そして、このなかうちさんのツイートから約1時間ほどでシャープ公式ツイッターがリプライ。「電卓の計算が信用できない時、そろばんで計算できます」とコメントしています。

 当時、電卓を打つよりもそろばんを弾いた方が早く計算できる人も多く、電卓の打ち間違いをそろばんで検算するという人も少なからずいた様子。そこに目を付けたのでしょう。当時のシャープ製品は時代の先端を行ってみたり、「あれとコレを組み合わせたら便利かな?」といった実験的(?)な製品も多く出ていました。ソロカルもその一つ。

 のちのパーソナルコンピューターに繋がるMZシリーズは今でも根強い愛好家がいる一方、電卓は新しい製品が各社から次々と発売され、ソロカルは幻のような存在的扱いになっています。昭和生まれでも知らない人も少なくないのではないでしょうか。

 このツイートには、「電卓って案外押し間違いがあるので、そろばんと向かい合うと指が勝手に動くタイプの人には案外いい補完機能だったのかも知れませんね」と、そろばんで鍛え上げた計算能力との検算を行うものといったリプライも。確かに、昔からそろばんを使って計算をしていた暗算能力が凄い人、たまにいますよね。他にも、「おじいちゃんの形見として今では孫のおもちゃです」という人、職場にあった……という人、「ソロバンの方が桁数多いのがすごい」と、これまた目のつけどころが素晴らしいリプライなど、数々寄せられています。

 「そろばんの玉を動かすと電卓に反映されないかな」というリプライに、確かにそんな機能があればそろばんを覚えるのにも役に立つのかも……と、つい考えてしまうのでした。

 なかうちさんが何故ソロカルを手に入れていたかは「貰ったか、リサイクルショップで買ったかした」そうですが、電池を入れるとまだ動くという状態の良さにはなかうちさんご自身もびっくりだった様子。ちなみに、お母様と奥様はソロカルの存在は知らなかったご様子……。多分、知っている人の方がレア寄りかも……?古ガジェット好きのなかうちさんの手元に巡ってきたのは、ソロカルが「大事にしてもらえるかも」って思ってやってきたのかな、と、考えると何だかロマンを感じてしまいます。

 こちらの「ソロカル」は、奈良県天理市にあるシャープミュージアムに実物が展示されています。ソロカル以外にも、創業当時の様子から「シャープ」の社名の由来となったシャープペンの数々、国産第1号のテレビから時代の最先端を行く製品まで、多くのシャープ製品の歴史をみることができますよ。年代によっては、「あー!これ懐かしい!」「うちにあった!!」なんて盛り上がれるかも。

<参考>
液晶電卓進化の歴史(年表)シャープ株式会社
電卓博物館
シャープ100年史:全編

<記事化協力>
なかうちさん(@nationalmaclord)

(梓川みいな)