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イギリス空軍戦闘機 ロシア軍機に連日スクランブル

 イギリス空軍は2020年3月11日(現地時間)、ロジーマス空軍基地に所属するユーロファイター・タイフーンが、イギリス領空に接近したロシア軍機に対し、対領空侵犯措置でスクランブル発進したと発表しました。これは3月7日に続くものです。

  •  航空自衛隊と同様、イギリス空軍は自国の領空警備のため、スコットランド北部のロジーマス空軍基地とイングランド東部のコニングスビー空軍基地で、24時間の警戒体制(Quick Reaction Alert=QRA)を敷いています。ロジーマスは北海を挟んでアイスランドを望む、イギリス空軍最北の場所で最もロシアに近く、いわば防空の最前線にあります。

     3月11日のスクランブルで発進したタイフーンが接触したのは、ロシア海軍のTu-142。戦略爆撃機Tu-95(NATOコードネーム:ベア)をベースにした対潜哨戒機で、ベア-FというNATOコードネームが付けられています。

     イギリス空軍が公表した写真によれば、Tu-142は「RF-34057」と「RF-34061」の2機。北東からイギリス領空に接近し、南西のビスケー湾(フランス西部からスペイン北部にかけての大きな湾)方面に向けて飛行。フランス空軍の対空監視レーダーの圏内に入る辺りで、北へ引き返したといいます。

     スクランブル発進したタイフーンのパイロットは「ロシア軍機に対してスクランブル発進したのは初めての経験でしたが、いつもの訓練と同じように対処できました。シェトランド諸島西部で対象に接触し、南へ向かう2機のTu-142に対し、並行する形で飛行しました。ビスケー湾に接近し、フランス空軍のスクランブル機と遭遇。ロジーマスから発進した後続のペアに引き継ぐ前に、Tu-142は北へ引き返しました」と証言しています。

     この間、ブライズノートン空軍基地からボイジャー(A330MRTT)空中給油機が離陸し、万一の空中給油に備えて上空で待機。また地上の防空監視網もスクランブル発進したタイフーンのサポートにあたりましたが、イギリス、フランス両国への領空侵犯はありませんでした。

     ロシア海軍のTu-142は、3月7日にも今回と同じRF-34057号機がイギリスの領空に接近し、その際はロジーマス空軍基地とコニングスビー空軍基地双方からタイフーンがスクランブル発進。連携して事態に対処しています。



     マイク・ウィグストン空軍参謀総長は「これらのロシア軍機は国際的な航空管制のルールに従っておらず、民間機に対して危険な状態にありましたし、我々にとっても望まぬ来客でした。イギリス空軍のタイフーンとNATO同盟国の戦闘機は、これらロシア軍機が領空侵犯をしないよう対処しています」との談話を発表しています。

     ロシアはこのところ軍の活動を活発化させており、ロシア海軍では戦車揚陸艦アレクサンドル・オトラコフスキイが北極圏のバレンツ海で、同じ3月11日に対空射撃訓練も行っています。

     クリミア半島を含めた黒海での活動に加え、NATO加盟国はロシア軍の動向に注意を払っています。

    <出典・引用>
    イギリス空軍 ニュースリリース
    ロシア国防省 ニュースリリース
    Image:MOD Crown Copyright 2020/ロシア国防省

    (咲村珠樹)

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