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VRで護衛艦「いずも」を体験! 海上自衛隊がYouTubeで動画公開

 海上自衛隊で最大の規模を誇る護衛艦いずも。この内部を4Kのクオリティで見学できるVR動画を海上自衛隊が公式YouTubeチャンネルで公開し、新型コロナウイルス感染拡大により自衛隊の広報イベントも中止されている中、話題を呼んでいます。

  •  この「VR体験乗艦 護衛艦いずも」シリーズは、2020年3月26日に海上自衛隊公式YouTubeチャンネルで公開されたもの。4月7日現在で「甲板編」「艦長編」「乗組員編1」「乗組員編2」の4本がアップされています。

     通常、護衛艦いずもの一般公開が実施される場合、多くの見学者が集まるため、公開される範囲は広い格納庫から飛行甲板までの区画となります。混雑が予想されることもあり、通路の狭い艦内区画まで公開されることは原則としてありません。

     しかし、このVR動画では艦内区画までカメラが潜入。360度カメラの視点で周囲を見ることができます。スマホやタブレット用のアプリを使えば、端末を向けた方向により視点が変化し、本当に艦内にいるかのよう。

     艦長が過ごす区画を探検する「艦長編」では、賓客を接遇する艦長公室や艦長寝室、浴室の様子を見ることができます。浴室には洗濯乾燥機が設置されていて、下着などの洗濯が可能になっていることが分かります。

     また、浴室に併設されているトイレの壁には艦内電話機が。用を足している時に緊急事態が発生する可能性もあるため、すぐに連絡がつくようになっているんですね。実際に護衛艦の艦長にお話をうかがったところ、寝室にベッドはあっても艦長には交代要員がいないため、いつでも緊急事態に対処できるよう、ゆっくり熟睡することはないそうですよ。


     群司令が賓客を接遇する司令公室は、広々とした部屋。司令が座る席の後ろには、日本らしさを感じさせる調度品があります。


     艦橋に案内されると、右舷側に赤い艦長席、左舷側に黄色い群司令席(いずもが属するのは第1護衛隊群)が配置されています。海上自衛隊の護衛艦では、操舵員は通常立って操舵を行うのですが、いずもの場合は操舵員が着席できるのが大きな特徴。

     艦長席は階級によってカバーの色が定められていて、護衛艦いずもの場合、艦長は1佐が就任するので赤いカバー。2佐が艦長を務める艦の場合は、赤と青の2色カバーが使われます。群司令席の黄色は、海将補を示す色。




     乗組員編の2本では、乗組員区画が紹介されます。艦内には運動不足を解消するためのトレーニングルームや、災害派遣時や非常時に「浮かぶ病院」としての機能も持つ医務区画などがあります。



     食堂は乗組員の数に合わせて広々としたもの。食事はセルフサービスで自由に量が調整できます。これだけの量を毎食調理する給養員も大変そうです。



     艦内に3か所あるという浴室は、広い洗い場に不釣り合いなほど小さい浴槽が印象的。シャワーは艦内で作った真水が出ますが、浴槽のお湯は海水を使用しています。海水は現地調達(そこにある海水を汲み上げて使用)するので、世界中の海に入ることが可能。海水はある意味温泉の「塩化物泉」と同じなので、体を温める効能が強いのが特徴です。


     幹部自衛官が使用する士官寝室と、一般曹士が使用する科員寝室も紹介されています。士官寝室は4名定員の個室、科員寝室はロッカーのような3段ベッドが大部屋に並ぶという対照的な様子。


     今回の動画シリーズでは紹介されていませんが、いずも型では女性の乗組員に対応した構造になっており、浴室を含む女性区画は別にされています。とはいえ、基本的な様子は男性区画とそれほど変わらないそうですよ。そして夜間の消灯時は外の暗闇に慣れるため、赤い常夜灯のみとなります。


     新型コロナウイルスの感染拡大により、多くの人が集まるイベントは開催が難しく、自粛される例が相次いでいます。自衛隊の広報活動の一環であるイベントも開催を中止しており、自衛隊に興味を持ってもらい、職業の選択肢として考えてもらう機会が減少する中、このような動画で紹介する取り組みは注目です。

     また、各基地や駐屯地の公式Twitterアカウントでは、敷地内の桜を紹介する「エア花見」の取り組みも進んでいます。外国の軍では、積極的に動画やSNSを活用した広報活動を行っているので、自衛隊でも同種の取り組みが増えてきそうです。

    <出典・引用>
    海上自衛隊公式YouTubeチャンネル
    ※画像は海上自衛隊公式YouTubeチャンネルに公開された動画からのスクリーンショットです。

    (咲村珠樹)

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