おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

アメリカ海軍の2空母打撃群 日本南方の海域で共同訓練を実施

 アメリカ海軍の空母ニミッツとセオドア・ルーズベルト、そしてそれぞれの空母打撃群が2020年6月21日、日本の南方にあたる西大西洋、フィリピン海において共同での航空機運用訓練を実施しました。2つの空母打撃群が太平洋で共同運用を実施するのは、新型コロナウイルスの感染拡大以来初めてのことです。

  •  今回、セオドア・ルーズベルト空母打撃群と共同訓練を実施した空母ニミッツ(CVN-68)とその空母打撃群(CSG-11)は、旗艦ニミッツと艦載機部隊のCVW-17をはじめ、巡洋艦プリンストン(CG-59)、そして第9駆逐隊(DESRON-9)を構成する駆逐艦スティレット(DDG-104)とラルフ・ジョンソン(DDG-114)で構成されます。

     空母ニミッツらは2020年6月8日にサンディエゴを出航。自由で開かれたインド太平洋地域を維持するための哨戒活動を実施するため、太平洋を西進してきました。2018年に就役した駆逐艦ラルフ・ジョンソンにとっては、初の任務航海となります。

     空母セオドア・ルーズベルト(CVN-71)とその空母打撃群(CSG-9)は、旗艦セオドア・ルーズベルトとその艦載機部隊のCVW-11、巡洋艦バンカー・ヒル(CG-53)、第23駆逐隊の駆逐艦ラッセル(DDG-59)とラファエル・ペラルタ(DDG-115)で構成されます。駆逐艦ラファエル・ペラルタは2017年の就役以来、初の任務航海です。

     2020年1月17日にサンディエゴを出航し、太平洋での哨戒任務に就いていたセオドア・ルーズベルト空母打撃群でしたが、立ち寄ったグアムで空母乗組員が新型コロナウイルスに感染。艦内で感染が拡大したため、グアムに戻って乗組員の治療と隔離、そして消毒が実施されました。6月4日にグアムを出航し、新型コロナウイルス禍から復帰した空母セオドア・ルーズベルトは、先日僚艦と合流したばかりです。

     初の任務航海となる新鋭駆逐艦を抱える空母打撃群、という共通点を持つニミッツとセオドア・ルーズベルト。共同での運用訓練をするには最適のパートナー同士といえます。

     ニミッツ空母打撃群(CSG-11)司令官のジェームズ・カーク少将は「合衆国海軍は太平洋において、複数の空母打撃群を運用する長い歴史を有しています。今回の共同訓練は、我々海軍の新型コロナウイルス禍からの回復力と、即応体制ができていることを内外に示すとともに、この地域における平和と安定に深く関与することで、全ての国が恩恵を受けるための重要な権利と自由、そして合法的な海の利用を保証するという、力強いメッセージとなります」とコメントしています。

     セオドア・ルーズベルト空母打撃群(CSG-9)司令官のダグ・ベリッシモ少将は「カーク少将、そしてCSG-11とともに今回の遠征航海で共同運用訓練を実施することは、互いの空母打撃群が切磋琢磨して戦技を向上させる絶好の機会です。複合的なシナリオを使用した訓練を通じ、ますます軍事的圧力が増大するこの地域と、COVID-19に直面している中、戦術的スキルと即応能力を向上させています」と、訓練の意義を強調しています。


     日本の南方、マリアナ諸島とフィリピンに挟まれたフィリピン海で活動するニミッツとセオドア・ルーズベルトの空母打撃群。同じ海域では、横須賀に前方配置されている空母ロナルド・レーガン(CVN-76)とその空母打撃群(CSG-5)も展開中と、3つの空母打撃群が同時に存在しています。


     中国が海洋進出を続ける南シナ海はすぐ西隣だけに、アメリカがこの周辺の安全保障情勢に大きな関心を寄せていることが分かるものといえるでしょう。

    <出典・引用>
    アメリカ海軍 ニュースリリース
    Image:U.S.Navy

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • 弾道ミサイル対処訓練を行う護衛艦あたごの乗組員(画像:海上自衛隊)
    宇宙・航空

    弾道ミサイルに対処する日米共同訓練「レジリエント・シールド2023」

  • 横浜の「動くガンダム」前で再入隊の宣誓をするラビーチ2等兵曹(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    ガンダムの前で服務の宣誓!意外と自由なアメリカ海軍の再入隊式

  • ずらりと並んだF/A-18E/FとEA-18G(78式組長さん提供)
    インターネット, おもしろ

    増えも増えたり50機あまり スーパーホーネットとグラウラーのプラモ飛行隊

  • 並走するフランス・イタリア・アメリカの空母(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ・フランス・イタリアの空母部隊 地中海で共同訓練

  • 開会式の記念写真右から3人目が海上自衛隊の野口1佐(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    日本を含む60か国が参加 中東で最大規模の海軍共同訓練始まる

  • トンガとの友情を見せるラグビーボールを示す航空自衛官(画像:Commonwealth of Australia)
    宇宙・航空

    火山災害のトンガ 自衛隊や各国軍による救援活動が進む

  • チュニジア海軍と訓練中の空母ハリー・S・トルーマン(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    NATO艦隊が地中海で共同演習を開始 冷戦後初めてアメリカ空母も参加

  • サンディエゴを出港する空母エイブラハム・リンカーン(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    空母エイブラハム・リンカーン 東太平洋地域へ展開

  • 空母ジョージ・H・W・ブッシュ艦上のMQ-25(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ海軍の無人空中給油機MQ-25 初めての空母運用試験終了

  • ポートランドから照射されるレーザー(画像:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ海軍 中東アデン湾でレーザー兵器の実射試験を実施

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)
    商品・物販, 経済

    ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」…

  • キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化
    商品・物販, 経済

    キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

  • 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言
    社会, 経済

    時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

  • ゴロっとチキンのカレーナポ
    商品・物販, 経済

    パンチョ初の人気投票1位「カレーナポ」が進化 期間限定で復刻登場

  • 山崎賢人さんと坂口憲二さん(※山崎賢人さんの崎の字は正しくは「たつさき」です)
    イベント・キャンペーン, 経済

    サントリー生ビール新CMメイキング公開 山崎賢人ら“生ひげ”姿で掛け合い

  • なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売
    商品・物販, 経済

    なか卯に「黒トリュフ薫る きのこ親子丼」が期間限定で発売

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト