アメリカ宇宙軍は2020年6月30日(アメリカ東部時間)、フロリダ州ケープカナベラル空軍基地からGPS III衛星3号機がスペースXのファルコン9ロケットにより打ち上げられ、初期軌道への投入に成功したと発表しました。打ち上げられたファルコン9ロケットの1段目ブースターも、無事スペースXの無人回収船上に降り立っています。
GPS IIIは、従来のGPSより3倍の精度で測位が可能。そしてヨーロッパの「ガリレオ」、日本の準天頂衛星「みちびき」といった他の地球測位衛星システムとも相互利用が可能になっています。
2018年12月に1号機が打ち上げられ、2020年1月から供用が開始されています。2019年8月に打ち上げられた2号機に続き、3号機は当初2020年4月の打ち上げが予定されていましたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、打ち上げが6月30日以降へ延期されていました。
アメリカでの経済活動が再開されたことを受け、アメリカ宇宙軍は6月30日に打ち上げを決定。スペースXのファルコン9ロケットで、フロリダ州のケープカナベラル空軍基地から打ち上げられることになりました。
現地時間の16時10分に打ち上げられたファルコン9ロケットは、およそ1時間半後にGPS III3号機を分離。予定軌道への投入に成功しました。これに先立つ打ち上げ約9分後には、1段目ブースターがスペースXの無人回収船に降り立ち、回収に成功しています。
打ち上げの成功を受け、アメリカ宇宙軍の打ち上げ事業を統括するロバート・ボンジョヴィ大佐は「3号機の打ち上げと1段目ブースターの回収に成功したことは、宇宙におけるアメリカの地位確立を推進するため、我々が革新的で柔軟かつ手ごろな価格でサービスを提供する業界パートナーと歩む道のりに、新たな一歩を記すものとなりました。国の安全保障任務での81回目の打ち上げ成功を成し遂げたチームを誇りに思うとともに、またスペースXと協力する機会を楽しみにしています」とのコメントを発表しました。
初期軌道に投入されたGPS III3号機は、今後2週間かけてメーカーのロッキード・マーティンによる動作確認試験が実施されます。所定の軌道に入っての運用開始は、今年の8月初めを見込んでいます。
<出典・引用>
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:SpaceX/Lockheed Martin
(咲村珠樹)