2020年7月1日からコンビニを始め各お店でレジ袋有料化が始まりました。しかし、やはりといいますか……初日である7月1日だけでも現場ではトラブルが絶えなかった様です。
筆者はライターとして活動をしつつ、接客業が好きなので同時にコンビニ店員としても約10年勤務しています。また、筆者は先行で1か月前倒しでレジ袋有料化を実施していたコンビニをずっと手伝っていたので、多くの問題と改善点が先に見えてきました。そうした立場から今回は、仲間のコンビニ店員からの話も聞きつつ「レジ袋有料化」で起きた店側視点の話を紹介いたします。
■マイバッグから「ムカデがこんにちは」事件
お客様に持ってきて頂くマイバッグ、これはとても有り難い事だとは思うのですが、極々一部のお客様のバッグに、カビや食品カス、虫が入っている事がありました。
具体的にいいますと、ゴキブリや、ゴキブリの卵、あとは弁当の汁が乾いた跡、カビ、天かす、干からびた野菜や肉も。さらには何故かたばこの灰が入っていたことも……。異臭を放つバッグもありました。恐らく長らく放置していたバッグを有料化にともない、中身を確認せずに持ってきたのでしょう。
筆者自身が経験したのは「ムカデがこんにちは」事件……とにかく何が入っているか分からないので「パンドラのマイバッグ」と店員の中で話題になりました。うっかり手を入れられません……。本当に怖いです。
コンビニに限らず全国の店員代表してのお願いになるのですが、「マイバッグをお持ちになる際は、中身の事前確認をよろしくお願いします」(切実)。マイバッグの会計毎に手を洗いに行く事にもなるので、場合によってはレジが止まってしまいます。何卒!何卒!お願いしたいところです!
■レジ袋有料化によりキャンセル多発問題
先にインパクトある体験談を紹介しましたが、それ以外だとまず問題になっているのは、コンビニによってレジ袋の値段が違う点。セブン-イレブンでは小・中・大・弁当用が3円、特大サイズは5円。ミニストップでは中、大、弁当用が2.2円で特大は4.4円。2店だけでもこれだけ異なります。ともない「○○では幾らだったのにここは高いから買わないわ」というキャンセルが生まれているのです。ほかにも“あるある”なのが、「レジ袋有料ならやっぱり買わない」。
いずれもお会計直前の出来事です。レジは打ってあとは支払うだけという段階。お客様にとってはキャンセルすれば支払わないだけで済む問題ですが、実はいくつかの食品ロスも生まれています。
実際にあった例としては、レジが混んでいる際に冷凍食品を買おうとしているお客様がいて、レジ袋が有料の為キャンセルしたという出来事。レジが並んでいるタイミングでキャンセルとなった為、並んでいるお客様のレジ対応を優先した結果、商品が溶けて廃棄する事になりました。他、ファストフードを作り終わった後でのキャンセルもそれなりにあり、食品のロスも増えています。
■熱い商品と冷たい商品の袋を一緒にするかどうか問題
今後起こりそうな問題として、ホット商品とアイス商品を一緒に購入する際の「袋を一緒にするかどうか問題」。先行でレジ袋有料化を体験したため、より実感出来たのですが、有料の袋を2枚も買いたくないけどアイスも溶かしたくないというお客さんはやはり多いです。どうにか袋を1枚で抑えて溶けない様にして欲しいと要望を出してくるお客様も一定数います。
お店によっては、普段は漬物や豆腐などを入れる小分け袋(サービスで無料提供している小さいビニール袋)にアイスを入れてお渡しするという対応をとっています。分けたいお客様がレジ袋を2枚購入してくださる、もしくは2つ持参する対応をとっていただければ一番なのですが、これまで「当たり前にわけてくれていた」ものを自分で対応するとなると中々浸透しづらいもの。恐らく当面はこのトラブルも続くものと思われます。
■袋の値段は最小に、袋詰めの量は最大に
袋の大きさによって値段が違うコンビニ店で起きたトラブルなのですが、大量に商品を買い小さい袋では商品が入りきらない状態だったのですが、安い方の袋をお客様が選択してしまい、結果入りきらず商品がつぶれてしまったというトラブルが発生しています。
このトラブルは店員も言われたままにせず袋を大きい方にする様声掛けをすべきだったという反省でもあり、お客様も素直にそれに応じてくれたらな……。と思う出来事でもあります。そもそも商品がつぶれてダメになるよりは良いとは思いますし。
■生返事や「大丈夫」「良いです」はトラブルの元に
今回、実施して分かったのですが、「袋御入り用でしょうか?」に対し「大丈夫」「良いです」という回答をして来るお客様とのトラブルが多かったです。日本語とは複雑なもので「大丈夫」や「良いです」はYesとNo両方の意味をもっています。言葉の使い手により、大丈夫が「Yes」なこともあれば「No」な事もある……。「良いです」も同じくです。
ベテラン店員ですとお客様の目線と動き(バッグを開いて商品を入れる準備をする動きや、マイバッグを出そうとする動き)などから察することができるのですが、新人さんや、日本語が完璧では無い外国人の店員さんは把握が出来ず、トラブルになっているケースが何件かありました。
ベテランの店員でもラッシュ時は、分からなくなってしまい、お客様に聞き直すと言う事も発生しています。今後お店側でもはっきり要るか要らないかの意思が分かる様に、たばこやお酒を販売する際の「20歳以上ですか?」の確認のときのように画面のタッチや、「袋が必要です」と書かれた札を提出して貰う等の対策が必要かなと感じました。
■店員の喉がかれるトラブル
これは店員側のちょっとしたトラブルですが、初日から起きました。「レジ袋本日より有料化になっております。袋は御入り用でしょうか?」とレジ対応時の言葉が増えた為、喉を痛める店員が多かったです。普段飲料を事務所に置いていない店員さんも休憩中に飲み物を買うという場面が見られました。店員さんは慣れるまで飲み物を事前に事務所に用意しておくと良いと思います。
■今後のコンビニ店員のあり方
これは、筆者と同系列で働く店員さんや別系列で働く店員さん数人に聞いて、共通に抱いた感想なのですが、今の状態では「お客様の顔色や非言語的な部分で見え隠れる情報を読み取る」能力がコンビニ店員には必要だなと今回の件でヒシヒシと感じました。お客様の目線や動き、言葉の真意を常に気を張って袋が必要なのか、必要ないのかを判断し、それに合わせた対応を常に求められる。そういう状態になっております。ベテランの店員でも実施初日で神経を使って他の業務に遅れが出ている店舗も多いと聞いています。
煙草やお酒の購入と同じように袋が必要かどうかタッチパネルを押して頂く、マイバッグを掲げて分かりやすくして頂く、袋が必要という札をレジにおいて出して貰う等、1か月先行店舗で筆者自ら働き、実施初日を働いた店員さんに話を聞いた結果、色々な案が出ましたが、一番の解決方法はお客様と店員両方が寄り添う形で対応して行く事が今後必要になるなと感じております。
(戦魂)