イギリスが主催する多国間共同訓練「ジョイント・ウォリアー」を前に、アメリカ海兵隊のF-35Bが10機、イギリス東部にあるマーラム空軍基地に到着しました。10機のF-35Bは共同訓練期間中、イギリス空軍第617飛行隊のF-35Bとともに、イギリス海軍の空母クイーン・エリザベスで運用される予定です。
多国間共同訓練「ジョイント・ウォリアー」は、毎年秋にイギリスが主催して実施される多国籍共同訓練。NATO加盟国を中心とした14か国が、2週間の日程で空挺作戦や上陸(水陸両用)作戦など、複合的なシナリオで訓練を行います。
イギリスへやってきたのは、アリゾナ州ユマ海兵隊航空基地のVMFA-211。アメリカ大陸を横断し、さらに大西洋を越えてマーラム空軍基地に到着したのは、もう夕暮れ時でした。
アメリカのF-35Bを迎えたマーラム空軍基地司令官、ジム・ベック大佐は「初のマーラム基地訪問となったVMFA-211の皆さんを歓迎するとともに、これから一緒に空母クイーン・エリザベスで任務に当たることを楽しみにしています」とのコメントを発表しています。
これに先立つ8月下旬、欧州アフリカ海兵隊司令官のスティーブン・ニアリー少将は、ポーツマス港の空母クイーン・エリザベスを訪問。VMFA-211がお世話になる艦の様子を視察し、ともに活動するイギリス海兵隊総司令官のマット・ホルムズ少将と懇談しています。
ニアリー少将は「今度の展開は、アメリカ海兵隊があらゆる場所で活動している、ということを如実に示すものです。アメリカ海兵隊はイギリス海軍、イギリス海兵隊と長年にわたって特別な関係を築いてきており、空母クイーン・エリザベスでの活動は、その関係をさらに発展させる機会となるでしょう」とコメントし、イギリスのF-35Bとともに空母クイーン・エリザベスでの任務に期待を寄せています。
イギリスに到着したアメリカ海兵隊のパイロットらは、まず空母クイーン・エリザベスに新型コロナウイルスを持ち込まないため、基地外部との接触を断った状態で連日検査を受けます。同時に基地周辺空域の状況に習熟するため、イギリス空軍第617飛行隊とともに飛行訓練を実施。
訓練飛行を消化すると、空母クイーンエリザベスでの運用資格試験に向けての訓練が始まります。異なる土地、異なる艦船での環境に適応してから「ジョイント・ウォリアー」に参加する必要があるため、準備期間が長く設定されているのです。
第617飛行隊とVMFA-211は、9月下旬から始まる共同訓練「ジョイント・ウォリアー」終了後にマーラム空軍基地に帰還し、引き続き共同訓練「クリムゾン・ウォリアー」に参加予定。このほかにも北海上空を舞台にアメリカ、イギリス、オランダ3か国の空軍部隊が参加して実施される共同訓練「ポイント・ブランク」にも参加するなど、忙しい秋を過ごします。
<出典・引用>
イギリス海軍 ニュースリリース
アメリカ海兵隊 ニュースリリース
アメリカ空軍 ニュースリリース
Image:Crown Copyright/USAF/USMC
(咲村珠樹)