「完成した時は本当に嬉しいしほっとする‥陶器モクズガニ」
岡村悠紀さん(以下、岡村さん)がTwitterで紹介したのは、立派な大きさのモクズガニ……なんですが、これは実は陶器。陶芸家を生業とする岡村さんが自作したものなんです。
元々、明治時代の工芸などに感銘を受け、陶芸家の道を志したという岡村さん。そんな自身のバックグラウンドに加え、18世紀から19世紀ヨーロッパで広く親しまれた「ビスク・ドール」と呼ばれるアンティーク人形の技術を応用して、様々な陶芸品を制作。
「自在置物」と呼ばれる見た目の写実さに加え、可動性も意識した工芸品である岡村さんの作品は対外的にも高く評価。日本最大の陶芸の祭典である「日本陶芸展」では、2019年に入選作品に選ばれるなどして活躍されています。
そんな岡村さんが、今回自身のTwitterに投稿した「モクズガニ」は、自身の故郷である山形県にちなんでの作品。
「実は山形の最上川では、『カワガニ』として親しまれている蟹なんです。モクズガニ特有の細い脚部の可動ギミックや、ハサミ部分に生えた毛の質感を硬い陶器でどう表現するかが苦労した点でしたね」
岡村さんは、今回の投稿の一つ前に、モクズガニの可動性を動画で撮影したものを別途投稿されています。
そこでは、冒頭の投稿同様に、回転作業台の上に置かれたモクズガニを岡村さんが可動させている様子が映し出されてるのですが、まるでプラモデルかのごとく、自由自在に脚部分やハサミが可動しています。
また先述の通り、風貌も本物そっくり。光沢感のある甲羅部分に、まるで凝視されているかのような目元。そして、岡村さんがこだわったハサミ部分の毛についても克明に表現。
「陶器でここまでのものが作れるのか……!」と、岡村さんの動画に衝撃を受ける筆者。仮にここで、「実は近くの川で拾ってきたやつですよ」と言われても信じてしまうほどです。岡村さんが生み出したまるで生きているかのような超絶技巧品に、ただただ目が釘付けに。
どうやらそれは私だけではなかったようで、岡村さんの一連の投稿には、「完全に本物ですね」「陶器なんですか?」「すばらしい!」「これが自在置物……!」「生きているみたい」「感動しました!」と、同様に多くの方を魅了しました。
そんな岡村さんですが、自身のTwitterやFacebookでは、主に海洋生物の作品を投稿しています。
「陶磁器における“自在置物”の実現をテーマに制作しています」という自身のTwitterのプロフィール通り、その作品たちは、いずれも本当に生きているかのように躍動している陶器となっています。
完成した時は本当に嬉しいしほっとする‥陶器モクズガニ。 pic.twitter.com/0s7ve2BY8A
— 岡村悠紀 (@0kam) June 26, 2021
https://twitter.com/0kam/status/1408785892882325507
<記事化協力>
岡村悠紀さん(@0kam)
(向山純平)