おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

いざ、本を手にメタバースへ!「VRChatガイドブック」著者にきいてみる(深水英一郎氏寄稿)

 こんにちは、深水英一郎(ふかみん)です。

 本日は、「VRChatガイドブック」著者の まつゆう*さんに、この本の内容についてお話をききます。私も読ませてもらいましたが、VRChatをやってみたいけど、どこからはじめたらいいんだろう、という方に親切な本だなと思いました。VRChatは実際のところ、ログインしただけでは楽しめないので、こういうVRChatの世界のガイドブックを手元に置いておくのがオススメです。

 本書は、まつゆう*さんと岩佐さんの共著ですが、ここからは、著者のまつゆう*さんにお話をきいていきます!

  • ▼本のDATA
    「VRChatガイドブック~ゼロからはじめるメタバース」(双葉社、岩佐琢磨・まつゆう*共著)2022年2月26日発売

    ▼著者のDATA
    まつゆう* / matsu-you*
    コミュニケーション・エヴァンジェリスト / メタバースDJ
    98年よりWebで独自の可愛いカルチャーを発信。ホームページの時代から、ブログ、Twitter、LINE、instagram、note、VR/メタバースなど、新しいコミュニケーションが誕生するたび、書籍、雑誌、TV等様々なメディアで新しいコミュニケーションのあり方を広める。また、アイディアや知見をいかして、デジタル・コミュニケーション施策の企画制作やガジェット関連のプロダクト開発にも携わっている。2021年7月からは「VRChat」内にて、メタバースDJとして活動中。最新刊「VRChatガイドブック~ゼロからはじめるメタバース 」は2022年2月26日(土)に双葉社より発売。
    https://twitter.com/matsuyou

    岩佐琢磨(いわさ・たくま)
    パナソニックにてキャリアをスタートさせ、2008年に(株)Cerevo を起業し30種を超えるIoT製品を70以上の国と地域に販売。2018年4月新たに(株)Shiftallを起業し、複数のIoT機器を開発・販売。2021年からは VR メタバースに軸足を移し、フルトラ機器「HaritoraX」を発売。大阪大学非常勤講師、(株)アクセルスターズ取締役、個人投資家などの顔ももつ。書籍「未来ビジネス図解 仮想空間と VR」(MdN)執筆に参画。
    https://twitter.com/warenosyo

    ■ 書いた人にきいてみる

    ——本日はよろしくお願いします。この本は、どんな本なんでしょうか?

    【まつゆう*さん】
     おそらく日本ではじめて本屋さんで買えるVRChat「だけ」の本です。

     機器の選び方から、ユーザー登録の仕方、チュートリアルや、用語の解説、VRChat内でのカルチャー紹介、すでに活躍されているキーパーソンへのインタビュー、簡単なマナー紹介などが掲載されています。ユーザー参加企画もあり、最初のページにはVRChatter(VRChatのユーザー)さんから募った思い出写真を掲載しています。

    ——ソーシャルVRでたいへん話題になっている「VRChat」というサービスに特化した本、ということなんですね。紙の書籍で出す、というところにもこだわりがあるそうですが。

     紙の書籍にこだわったのは、「こういうカルチャーが存在した」ということを物理的なモノで残したい、という気持ちがあったからです。

     今のVRChatの思い出が蘇る宝箱になってくれたら、と思ってます。5年後、10年後に紙の本を読み返しながら、「あのときはこんなだったよね!」といって思い出話をしたいです。

    ——内容について質問です。本書の注目ポイントを教えてください!

     まず、Chapter1ですね。このチュートリアル部分は、編集をお手伝いさせていただきました。そして共著者の岩佐さんがしっかり丁寧に判りやすく書いてくださっていますので、初心者の方に「はい!読んでね。」と渡せば、スッとVRChatの世界に来てもらえるような内容になっていると思います。VRChat初心者の方におすすめの内容です。

    ——既に読者の感想などもまつゆう*さんのところに届いていると思いますが。好評な章などありますか?

     好評だったのは「アバター図鑑」(本書46ページ)と「おすすめワールド」(本書92ページ)です。

     もちろん、ウェブでも沢山素敵なワールドを探すことが出来ますが、初心者さんにはなかなか難しい。アバターを購入することができるサービス「BOOTH」でも慣れるまでは検索がうまく出来ない方もいるので、読者の方から一覧で見られるのは助かると言っていただいています。

    ——確かに、VRChatに入っても、最初どこに行ったらよいかわかりませんよね。まつゆう*さんおすすめのイベントってなんでしょう?

     本書116ページでVR飲み会を紹介しています。Zoom飲み会なんてのが流行った時期もありますが同時に話せるのは一人なので、少し今までの飲み会とは違った感じになりましたよね。大人数で参加して、話せるのは一人というというところにやりにくさがあったんですよね。それに対し、VRでの飲み会は大人数で、いくつかのグループで輪になって話をすることが出来ます。しかもBARワールドや、新宿ゴールデン街をモデルにしたVRChatでは有名人気ワールド「ポピー横丁」などもあります。そこに集まってみんなとワイワイ飲んでました。

    ——VRChatだと、密になる心配もないですね。

     はい、コロナ禍にリモートで自宅から出なかった私にとってVR飲み会は相当な癒やしになりました。

    ——もしVRChatをやってみようか迷っている人がいたら、どんな言葉をかけますか?

     リアルの自分とヴァーチャル世界のもうひとりの自分。あなたも今日からVRChatで2拠点生活を送ってみませんか? って声かけますね。性別、年齢、住まい、国籍、すべてが関係ない。VRChatは、あなたがなりたい自分になれる場所です。ぜひこちらの世界でお会いしましょう。

    ——ソーシャルVRが今後の世の中に及ぼす影響についてどう思いますか?

     もう一人の自分として暮らすということで、大きく人生観が変わる人が増えるんじゃないかな? と思っています。

     私もVRChatをはじめる前は20年近くDJをやっていませんでしたが、VRChatをはじめて、DJをリスタートしました。

     また、60代~70代くらいのユーザーさんが増えてくるかな? なんて話をこないだしていました。どんなに美しい方でも老いには勝てませんが、アバターだったら自分の好きな容姿になれますし、人間じゃなくたっていいんですから。身体がなかなか自由に動かない。となっても、ぴょん!とジャンプしたり走り回ったりもできます。もちろん、バーチャルの中で恋をする方たちも。バーチャルの世界での恋ですから性別も年齢も超えて、その人の中身や居心地の良さを好きになるんだろうなと思っています。

    ——ソーシャルVRは今後どのように発展していくと思いますか?

     もっともっと進化すると思います。「ソードアート・オンライン」や「レディプレイヤーワン」の世界のように。

     今は、VRゴーグルなども重く、フルトラ機器(フルボディートラッキング機器。腰や足にもセンサーを付け、細かい動きができるようにするための装置)をつけて体中がコードまみれなのですが(笑)簡単にこの世界に入ってこられる機器がでてきて、さらにサービスとしてもどんどんバージョンアップし、ソーシャルVRの中にいる時間のほうが長くなる方が増えるんじゃないかな?

     もうすでに結構な時間をVRChatで過ごしている方がいますけれどね。5000時間とか!この世界の中での職業というの出来てきて、出勤はVR。遊びはリアルとか逆転することもあったりして(笑)

    ——本書を執筆するにあたって刺激を受けたものはありますか?

     出会ったすべてのVRChatユーザーさんたちです。

     アバターをアップロードするにも改変するにもUnity(ゲーム開発プラットフォーム)などの知識が必要なんです。ワールドクリエイターさん、アバタークリエイターさん、VR音楽ユニット、メタバースDJ、VRパフォーマー、ロールプレイタイプのバーやカフェが定期であったり。イベントが毎日のように開催されていて、VRChatで生活している全ての皆さんが尊敬すべきアーティストであり、クリエイターだと思っています。

    ——この本を執筆するきっかけは何でしたか?

     VRChatがアメリカのサービスということもあり、「英語UIのメニューが判らない」、「日本人ユーザーに出会えないで終わった」といった理由で挫折してしまうお話を本当によく聞くんです。「家でQuest2がホコリを被っているよ。」なんて話もよく聞きます。

     案内人がいないと「楽しい!」と思えるところまでいけるのが難しいんです。本書にも出てくる例えですが「まるで言葉の通じない海外の街に放り出されたかのよう」な感覚。今まで初心者向けの書籍は何冊も書いてきましたが、これほどまでに初心者ガイドブックが必要だと思ったサービスはありません。初期のTwitterがそれに近かったですね。

    ——まつゆう*さんの今後の活動予定について教えてください。

     メタバースDJとして、それも過去に歌を歌っていたことがあるので、VRChat上で知り合った友人と何かやりたいよね。と言っているのでそれも楽しみ。

     あとは、今回出版を記念していくつかの施策を組みました。VRクリエイターのイカめしさんとコラボしてリアルの世界に送り出した書籍を、バーチャルの世界へ。ということで、書籍アセットを無料配布しています。なかなか対面で会えない世の中なので、著者サインバージョンもあります。

     また、出版記念イベントを先程出た「ポピー横丁」にて、VRChatガイドブックコラボで「ポピ横ジャック出版記念イベント」をやりました。常時、満員御礼で20時半くらいに集合して、モーションアクターのyoikamiさんがパフォーマンスをしてくれたり、VRバンド「JOHNNY HENRY」のYAMADAさんが弾き語りで歌ってくれたり、VR音楽ユニット「AMOKA」のあいぽさんが歌を披露してくれたり、VRDJの元祖 DJ SHARPNELさんがDJをしてくれたり、私のDJの師匠3Marcoさんが10時間もぶっとおしでDJしてくれたりと、12時間以上に及ぶ伝説的イベントになりました。

     VRの世界でみんなが楽しんでくれることが何よりも嬉しいので、みんなが楽しんでくれることを続けていけたら幸せだなぁ。と思います。

    ——これからどう発展していくのか、楽しみですね! 本日はどうもありがとうございました。

    (了)

    【ききて・深水英一郎 プロフィール】
    真冬の釣堀に落ちたことがあります。
    そんな私も今は著者に著書を紹介してもらう「きいてみる」企画を進行しています https://kiitemiru.com/
    個人のちからの拡大とそれがもたらす世の中の変化に興味があります。
    ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。スタートアップのお手伝いや執筆をおこなっています。

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • 音声入力が当たり前の世界
    インターネット, 雑学・コラム

    えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよ…

  • 「ガンダムメタバース」で未発売ガンプラのCADデータ流出か ファイルのダウンロードが一時停止
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「ガンダムメタバース」で未発売ガンプラのCADデータ流出か ファイルのダウンロー…

  • おしゃれなイヤリングかと思いきや……モチーフはまさかの「六角棒レンチ」
    インターネット, おもしろ

    おしゃれなイヤリングかと思いきや……モチーフはまさかの「六角棒レンチ」

  • セカンドライフ
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    【オンラインゲーム千夜一夜】 第十回 メタバース? それならこれを語るしかないで…

  • 「デジタル ハクドウ駅」の外観
    インターネット, おもしろ

    幻の廃駅へVRでいつでも訪問可能 東京藝術大学「デジタル ハクドウ駅」

  • 発表会に登場したフワちゃん(右)とSBIホールディングスの山根さん
    イベント・キャンペーン, ゲーム

    メタバース空間でeスポーツとアーバンスポーツを3D観戦「SBI Neo fest…

  • NCC学生が製作した3DCGキャラクターたち
    イベント・キャンペーン, 経済

    ブルボンのお菓子を擬人化!?学生制作の3DCGキャラクターがブルボンのメタバース…

  • 「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したことの危険性
    インターネット, 社会・物議

    「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したこと…

  • プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏寄稿)
    ライフ, 雑学

    プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏…

  • 泣き顔はどれ?
    社会, 雑学

    「泣き顔」「眠い顔」「よだれ」の絵文字を見分けられますか?(深水英一郎氏寄稿)

  • 深水英一郎(ふかみえいいちろう)現代歌人・エッセイスト

    記事一覧

    短歌や詩を書いています。『短歌の日』呼びかけ人 、短歌投稿企画『ついうた』主催 | 笹舟にちょうどよい笹にみとれて川に転落したことがあります | 基本いつでものんきです | シュークリームが好き | 日本でのCGM・フリーミアムモデルの先駆けとなるメルマガプラットフォーム「まぐまぐ」を個人で開発したため「メルマガの父」と呼ばれる。まぐまぐは Web of the Year 年間総合大賞を受賞、日本一のWebサイトとなりました | Twitter https://twitter.com/fukamie

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 音声入力が当たり前の世界
    インターネット, 雑学・コラム

    えっ!まだキーボードで入力してるの? 2倍速入力も狙える「音声入力」に乗り換えよ…

  • 短歌の日
    イベント・キャンペーン, 経済

    短歌バトルにクイズも?ネット短歌企画者があつまる「短歌の日」スタート 5月7日ま…

  • 「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したことの危険性
    インターネット, 社会・物議

    「ひろゆきに裁判で勝った人」が考える「金融庁が広報動画にひろゆきを起用」したこと…

  • プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏寄稿)
    ライフ, 雑学

    プレゼンリモコンに電子書籍のページめくりという新しい役目を与えよう(深水英一郎氏…

  • 泣き顔はどれ?
    社会, 雑学

    「泣き顔」「眠い顔」「よだれ」の絵文字を見分けられますか?(深水英一郎氏寄稿)

  • NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってる? 深水英一郎
    インターネット, サービス・テクノロジー

    NFT解説マンガのセリフ、どこが間違ってるかわかる?(深水英一郎氏寄稿)

  • トピックス

    1. 7億円の当せん番号決定の瞬間を目撃!「サマージャンボ」抽せん会参加レポ

      7億円の当せん番号が決まる瞬間を現地取材!サマージャンボ抽せん会レポート

      1等・前後賞合わせて7億円が当たる「サマージャンボ宝くじ」と、1等・前後賞合わせて5000万円が当た…
    2. 加藤茶、伝説の“カトケンゲーム”に挑戦 新番組「第三学区」放送開始

      加藤茶、伝説の“カトケンゲーム”に挑戦 新番組「第三学区」放送開始

      お笑いタレントの加藤茶さんが、まさかの“自分ゲー”に挑む。テレビ神奈川の新番組「第三学区」(だいさん…
    3. コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的

      コミケ会場に駅の窓口が転移!?鉄道サークルの“出札口”ブースが本格的

      世界最大級の同人誌即売会「コミックマーケット」(C106)。その会場内にまさかの“出札口”が出現して…

    編集部おすすめ

    1. たいちくんX投稿より

      ゆりにゃさん元パートナー、Xで未練吐露→ネットの反応は冷ややか

      インフルエンサー・ゆりにゃさんの、公私にわたる元パートナーである「たいちくん」こと齊藤太一氏が、8月17日に自身のX(旧Twitter)を更…
    2. 匿名質問文化を支えた「Peing-質問箱-」終了 2017年の誕生から8年

      匿名質問文化を支えた「Peing-質問箱-」終了 2017年の誕生から8年

      匿名で質問やメッセージを送れるサービス「Peing-質問箱-」が、2025年8月29日をもって終了することが発表された。運営は8月15日付で…
    3. マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗を訪れた記者が感じた“異様な雰囲気”

      マクドナルドのポケカ騒動 期間中の店舗で感じた“異様な雰囲気”

      マクドナルドは8月11日、ハッピーセット「ポケモン」のポケモンカードキャンペーンを巡る混乱について公式サイトで謝罪しました。期間限定カードを…
    4. 「珍しい苗字」より盛り上がる? 地域特有の苗字をまとめた地図が話題

      「珍しい苗字」より盛り上がる? 地域特有の苗字をまとめた地図が話題

      大学進学や就職で交友関係が広がると、今までの人生で見たことがない苗字を持つ人と知り合いになることがよくあります。見慣れない苗字に遭遇したとき…
    5. 「オラと博士の夏休み」初のスマホ版がでたゾ!でも日本は対象外……

      「オラと博士の夏休み」初のスマホ版がでたゾ!でも日本は対象外……

      累計販売90万本を超える人気作「クレヨンしんちゃん『オラと博士の夏休み』~おわらない七日間の旅~」が、初めてスマートフォンで遊べるようになり…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト