おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

この人の死因はなに?推理ゲーム「Ai‐オートプシー」の作者に聞いてみた

 ドラマや映画のシーンでも見かける事の多い検死。それにおいて、実際の死因を探る際に実施する死亡時画像診断の事を「オートプシー・イメージング(Autopsy imaging)」、略してAiと呼びます。

 このAiを題材に、事件現場に残された数々の証拠から死体の死因を探る「Ai‐オートプシー」というアナログゲームが存在します。作者のテーブルゲーム作家「竜刃」さんに、作品についてうかがいました。

  •  竜刃さんは、アナログゲームサークルの「竜刃ゲームズ」に所属するテーブルゲーム作家。クトゥルフ神話を題材にしたアメリカ・ケイオシアム社のTRPG「クトゥルフの呼び声(Call of Cthulhu)」で使えるシナリオ集をはじめ、何度でも遊べる楽しいゲームや、一生思い出に残るようなアナログゲームも手掛けています。

     アナログゲーム「Ai‐オートプシー」のプレイ人数は1~5人。プレイ時間は15分程度と、ちょっとした空き時間に気軽に楽しめるものとなっています。

     ゲーム概要は、死因を当てる協力型推理ゲーム。お題となる「現場写真」に記されたアイコンを頼りに、状態カードを用いて死体の詳しい状況を読み取り、何が原因で死亡したのかを推理していきます。

    現場写真カード

     プレイヤーは「現場写真」に描かれているアイコンや死体の様子といった現場の状況、そしてアイコンに記された部分の詳細が分かる「状態カード」を元に死因を推理し、より少ない「状態カード」のヒントで正解を導き出せた人が勝者となります。

     作者の竜刃さんは、プレイにあたり「推理していく過程で、なぜこのような死体が出来上がってしまったのか、ストーリーを考えても面白いゲームになっています。また、ゲームをやるほどに知識が蓄えられていくので、みんなで楽しく遊びつつも、知識が増えるゲームになっています」と、より楽しめる方法を教えて頂きました。

    状態カード

     筆者も、頒布前の無料テスト版を実際にプレイしてみました。「現場写真」にあるアイコンの色を参考に、その部位における情報が記された「状態カード」を読み取り、何が致命傷となったのか、または病変が原因なのか……と推理していきます。

     検死は死体に残された痕跡を頼りに、その人がどのような状況で、どうやって死亡したかを探る科学的な謎解き。状態カードにはその部位に関する手がかりや、状態の見分け方などが記載されており、医学的な知識も身につき、とても楽しかったです。

    答え合わせ

     頒布版の方は竜刃さんとイラスト・テキスト担当の本田ねぎさんが制作時に苦労されたという、30種類の現場写真カードがあるとのこと。色々なシチュエーションでの事件現場が用意されているわけで、すべての問題に挑戦したくなりました。

     このゲームを作るきっかけについて竜刃さんにうかがうと、医療事故などの防止を図る「医療安全委員会」に携わっていた際、Ai(オートプシー)という語感が、あまり聞きなれないけど良いなと思ったのがはじめだったそう。解剖生理など、人体に関するゲームを作りたいなと思っていたこともあり、「Ai(オートプシー)」「検死画像」という単語から、本格的な「検死」によって死因を当てるゲームを作ったと語ってくれました。

     こだわりとして「多くの司法解剖の本や資料を取り寄せて、死の経過、死因の種類による特徴をまとめていきました」と竜刃さん。

     「死という題材は、疎まれ禁忌とされることが多いですが、『死を知ることは生きることに繋がる』という言葉の通り、知ることで、今生きている私たちはその可能性を少しでも回避できるのではないでしょうか。死を後ろ向きなものとしてとらえず、前向きに考える機会も増えてほしいという願いもこもっています」

     また、いかにしてゲームマスターなしで協力型推理ゲームを成立させるか、というバランスにもこだわったとのこと。みんなで一緒にワイワイ楽しみたいです、とゲーム制作に対するお話もして頂きました。多くの資料を揃え、こだわり抜いた結果、より現実感のある面白いゲームが出来たのということなのですね。

    即売会用告知

     ご自身でも、このようなアナログゲームを作って遊んでみたいという人も多いと思います。竜刃さんは、そんな人に向け「まだまだそんな言える立場じゃないですが『多少無茶してでも作品を作る』と思っています。自分の作品が完成したら嬉しいので」と、まずは完成させることとアドバイス。完成した時の喜びは代え難いもので、頑張って作品を作るというのが大事ということなのかもしれません。

     竜刃さんが所属するサークル「竜刃ゲームズ」の作品は、Twitter上での作品の告知をされている他、創作物の総合マーケット「Booth」や一部実店舗で作品を購入でき、4月23日・24日開催の「ゲームマーケット2022春」(東京ビッグサイト)にも、サークル名「竜刃ゲームズ」にて24日に参加予定。「Ai‐オートプシー」も2000円にて頒布予定とのことです。価格については、イベントでの直接頒布価格に対し、通販や委託先によって変動するとのことでした。

    <記事化協力>
    竜刃ゲームズさん(@ryuuzingame)

    (戦魂)

    あわせて読みたい関連記事
  • 実家で「任天堂で遊ぼう」の誘い 思わぬ“ゲーム”が登場も「紛うことなき任天堂」
    インターネット, おもしろ

    実家で「任天堂で遊ぼう」の誘い 思わぬ“ゲーム”が登場も「紛うことなき任天堂」

  • 異色のボードゲーム「妄想プロフィール」
    ゲーム, ホビー・グッズ

    キャラ設定をでっちあげろ!架空マンガで盛り上がる「妄想プロフィール」爆誕

  • セキュリティ認証のアレがゲームに 正体隠匿ボードゲーム「私はロボットではありません」爆誕
    ゲーム, ニュース・話題

    セキュリティ認証のアレがゲームに 正体隠匿ボードゲーム「私はロボットではありませ…

  • 「テニスの王子様 あぁんって言うゲーム」登場 名作ボドゲとまさかのコラボ
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    「テニスの王子様 あぁんって言うゲーム」登場 名作ボドゲとまさかのコラボ

  • Hondaから"屋外専用"オリジナルカードゲーム登場 「OuTDooR Hunting Card」by VEZELを親子で遊んでみた
    商品・物販, 経済

    Hondaがまさかの”屋外専用”オリジナルカードゲームを…

  • UNOミニカード2の大きさ
    ゲーム, ニュース・話題

    信じられないだろ……UNOなんだぜ カプセルトイの「UNOミニカード2」はちゃん…

  • UNOパッケージ写真
    ユニーク, 雑学

    知らんかった!UNO公式ルール「ドローカード」重ねがけはNGらしい

  • 視覚VS触覚の異能力バトルが楽しめる!「やすり神経衰弱」が登場
    インターネット, おもしろ

    視覚VS触覚の異能力バトルが楽しめる!「やすり神経衰弱」が登場

  • 名刺交換がモチーフのボードゲーム「斎藤vs中村」(Albatross Board提供)
    ゲーム, コラム・レビュー・取材

    名刺交換バトルゲーム「斎藤vs中村」が熱い!不備のある名刺を知られず回収せよ

  • ギャルになりきって短歌を作れ!アゲアゲなボドゲ「ギャル短歌七七」爆誕
    ゲーム, ニュース・話題

    ギャルになりきって短歌を作れ!アゲアゲなボドゲ「ギャル短歌七七」爆誕

  • 戦 魂Writer

    記事一覧

    宮城出身・山梨在住。仕事はコンビニの元店長。現在は農業をしつつ、趣味でゲーム配信や同人活動をしています。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 画像提供: かぎしっぽすず&つむぎさん
    インターネット, 感動・ほのぼの

    「もう離さないニャ」最高に可愛い抱きしめ方を覚えた猫

  • 画像提供:キジ白つくしさん
    インターネット, 感動・ほのぼの

    全然怖くない猫アタックに飼い主メロメロ ツチノコポーズからの「すきあり!」

  • ぽむぽわさん提供:あまやどり猫
    インターネット, 感動・ほのぼの

    傘干し中に雨宿りしにくる双子猫 居心地のいい空間なのかな?

  • みふゆ(三冬)さん提供:バネを見つめるサスケくん
    インターネット, 感動・ほのぼの

    猫の部品じゃないかしら 自分の体の部品のようにバネを真剣に見つめる猫

  • JUN_RESIN_ART_工房_ZABOONさん提供:海アート
    インターネット, おもしろ

    美しい「癒しの海」のレジンアートに時も忘れてしまいそう

  • royal_damperさん提供:イチゴとクモ
    インターネット, おもしろ

    バンザイする羊毛フェルトのクモ 可愛らしい姿にお手上げ

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      「シテの花」作者が続報投稿 前担当の不備めぐり編集部と協議、認識を整理

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月18日18時、新たな投稿を…
    2. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    3. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    4. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    5. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト