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久しぶりに「投資の詐欺広告」に釣られて前との違いを確認→まさかの退会者呼び戻しが行われてた

 著名人の名を無断で使った「詐欺広告」。偽の広告をSNSに出稿して、興味を持った人をLINEへと誘導。そしてウソの儲け話「投資詐欺」へと導く手口です。

 この手口はかねてより存在していましたが、爆発的に数を増やしたのは2023年。2024年に入ってからは、名前を無断で使われた著名人たちがSNSの運営会社や国に対して強く働きかけを行い、その結果一時よりは「著名人の名を無断で使った詐欺広告」は数を減らしています。

  •  ところが著名人をかたる手口はまだまだ健在です。ただし以前より目立たない方法をとっています。

    ■ 問題の広告

     今回取り上げるのはInstagramでみつけた詐欺広告。株式投資をうたっている内容のものです。

    Instagramで見つけた詐欺広告

     ただ文字だけの広告ですが、このパターンも2023年頃からよく目にしました。著名人をかたるものと、見た目が違うだけで中身(詐欺の手口)のフォーマット自体はほぼ同じ。

     著名人の名を無断で使った詐欺広告が問題視されているためか、詐欺師側も「実在する人物」を「広告」には使わず、「文字だけでうったえる」やり方や「実在企業をかたる」やり方を増やしているのが最近の傾向です。

     とはいえ、この1年さんざんネット詐欺を調査してきた筆者の勘では、これも一時的。落ち着いた頃に、「著名人を無断で使った詐欺広告」も復活するとにらんでいます。

    ■ 出てきたのはまさかのSBI社長!?そんなワケない

     では、折角みつけたので、この「文字だけでうったえる」広告がどんな流れになっているのか、調査していきます。まずは広告をクリック。

     すると、出ました「ランディングページ(LP)」からの、「LINE追加」!!

    「ランディングページ(LP)」からの、「LINE追加」

     詐欺広告の多くは、一度「ランディングページ(LP)」と呼ばれる特設サイトに誘導して、そこからLINE追加を求めてきます。やはり今回の広告もLINE追加が最初の狙い。もちろん、「LINE追加」をすることで、相手に少なくともLINE情報を渡してしまうことになるので、注意が必要です。

     しかし、今回は潜入調査ということで、かまわずLINEを追加。

    プロフィール画面

     すると……なんと……!SBIホールディングス株式会社の代表取締役・執行役員社長である北尾吉孝氏を名のる人物と「友達」になりました。やばい……。SBIの社長とLINE友達になった。そんなワケは勿論ありません。

     なお、本稿掲載にあたり、アイコン画像はモザイク処理をほどこしていますが、SBIホールディングスサイトの「トップマネジメントメッセージ」に掲載されている写真と同じものが使われていました。

    ■ やはり出てきた「アシスタント」

     さて、話を戻します。偽北尾氏を友達追加すると、早速メッセージが送られてきました。名前のヒアリングなど、少し会話をしていきます。

    偽北尾氏との最初の会話

     そもそもですが、SBIの社長が広告出して投資やらの勧誘を「個人」でしている事自体あり得ません。そこまで暇じゃないはずです。

     しかし、その後すぐにアシスタントと名乗る人物から、突然コンタクトが届き、今後はアシスタントと話す流れになりました。今更感はありますが、偽北尾氏は「忙しい」とのこと。

    お約束通りに出てきたアシスタント

     そして次に紹介されたのが、「山本」という人物。設定としては「偽北尾氏」と共同で無料の投資グループを立ち上げた人物だそうです。なお、言うまでも無く「共同運営者」が出てくる流れも、従来と同じ。

    お決まりの共同運営者を紹介する流れ

     また、話によると、山本先生とやらを友達登録すると、LINEグループに招待してくれるとのこと。ここでもホイホイ指示に従います。

    謎の人物「山本先生」を紹介された

    ■ 投資グループラインに誘われる

     追加が終わると、とりあえずグループに招待されるのを待ちます。なんだかんだ言って、やはりここまで手間もかかるし、見知らぬLINE友達をボコボコ追加されるのは、非常にリスキー。潜入調査でなければ、絶対にやりたくありません。

     そうこうしていると山本先生からメッセージが届き、色々話を聞かれました。またかよ……正直ダルくなってきました。

    山本先生からの最初のメッセージ

     そして、いよいよ問題の投資グループLINEへと誘導されました。加入成功。

    活発に会話が流れるLINEグループ

     グループでは「それっぽい話」が活発に行われていました。なお、詐欺広告からの流れで変なLINEグループに入れられるのも、従来手口と全く同じです。ちなみに会話が活発なのは、サクラがまじっているからです。

     内容はさておき、とりあえず「投資」について「~があがる」とか「期待できる」などの話をしている模様。とにかく活発な意見が多く、通知もひっきりなしにバンバンくるので、かなりうっとうしいのですが、何かすぐさま勧誘されるということはなさそうです。

    ■ その後、想定外の事態に

     その後大体の結末も見えてきたので(しばらく時間がたってから偽投資サイトに勧誘される等)、本LINEグループを退会。ほぼ前回と同じ流れで、特筆すべきことはなし……ボツネタか……と思いきや。続きがありました。

     退会後、しばらくすると見知らぬ女性からコンタクトが入ってきました。株式に興味があるとのことで、どうやら退会したLINEグループのメンバーからのコンタクトのようです。

    知らない女性がコンタクトを送ってきた

     とりあえず、見知らぬ女性をLINEに追加。すると、筆者のアイコンが某著名人と一緒に写っていると言う点に触れ、その経緯など、他愛もない話が始まりました。目的は読めないが、話に付き合ってみることにします。

    他愛もない話が始まる

     その後、子どもが大学に行っていることや、夫が遠方にいることなど、家庭の事情を話しつつ、投資をおこなっている経緯について説明してくれました。

    家庭の事情を話してきた

     ただ、自分が先ほどの「投資LINEグループ」を退会したことをサラッと説明したところ、思わぬ発言をされる。

     なんと再度「投資LINEグループ」に筆者を追加したという。せっかく抜けたのに、再度「投資LINEグループ」に呼び戻されてしまいました……。

    再度「投資LINEグループ」に筆者を追加したという

     どうやらこの女性は、そんな退会者を呼び戻すための「使徒」。もしかすると、ちょっとしたハニートラップだったのかもしれません。

     想定外の展開にかなり驚いてしまいましたが、純粋な人ならひっかかってしまうかも。恐ろしいですね。

     何はともあれ、このような投資グループに参加するには、こうしたリスクがあるので、十分注意しておきましょう。なお、最後にやりとりした彼女とは、特にその後何もなく。ただ呼び戻したいだけだった模様です。

    (たまちゃん)

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