「特撮映像館」、今回は2005年公開の『妖怪大戦争』です。リメイクといわれていますが、平成版の新作としてとらえるべき作品と言っていいでしょう。

最初に断っておかなければいけないのは、本作はオリジナル版ではなくテレビ放映版で鑑賞したということ。実は物語の重要なキーワードの部分や結末がカットされていたほか多数の妖怪の登場シーンも放送されなかったようである。


さて、本作は1968年の大映映画『妖怪大戦争』のリメイクとされている。
しかしながらタイトルと妖怪軍団が悪の妖怪に挑むという基本構成をのぞいてはまったくのオリジナルであり、本作に関していえば「リメイク」をうたうことでマイナスの印象を与えているのではないかと思われる。金子監督の『ガメラ~大怪獣空中決戦』のように、同じシリーズの新作として見た方がいいだろう。

時代設定を現代に移しているが、田舎の祭りに内包されるかつての伝説から主人公のヒーロー性を描き出すあたりはなかなかうまい。とはいえ、妖怪と機械を合成した機怪や、悪の首領として加藤保憲を持ち出すあたりはいただけない。
豊川悦史は加藤をうまく演じていたが、どうしても嶋田久作じゃない加藤には違和感があるし、機怪に至ってはターミネーターやらほかの特撮だったりアニメだったりのイメージの合成みたいで白けてしまう。

クラスメイトから弱虫やら泣き虫とからかわれる主人公が、妖怪の助けを借りながら必死で戦うところはこの手の映画の定番ストーリーともいえるが、主人公の少年の心を奮起させるものがもうひとつ伝わってこなかったのは、テレビ版でカットされたシーンに理由があるのだろうか。

妖怪の造形は、大映作品を再現しつつ最新の技術を用いている感じ。また3000人ものエキストラを動員してのシーンは圧巻でもある。

元作品である68年の『妖怪大戦争』その前の『妖怪百物語』は怖さの中にユーモラスなシーンがあったという印象だが、本作ではユーモラスな中にアクションシーンが挟まれているという印象で、雰囲気はまったく違っている。時代的に妖怪で怖がる子供も少ないのだろうが、もう少しおどろおどろしい雰囲気も出してほしかった気がする。

監督/三池崇史
キャスト/神木隆之介、宮迫博之、菅原文太、近藤正臣、阿部サダヲ、高橋真唯、忌野清志郎、岡村隆史、竹中直人、豊川悦史、栗山千明、ほか。
2005年/124分/日本

(文:猫目ユウ)