おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【特撮映像館】Act.54 吸血髑髏船

update:

「特撮映像館」、今回は松竹の「怪奇シリーズ」第2弾として公開された『吸血髑髏船』。スリル、サスペンス、エロティシズムの怪奇娯楽作品です。

松竹の怪奇シリーズ第2弾として制作、公開された本作は、モノクロで怪奇な雰囲気を盛り上げている。
特撮は「日本特撮映画株式会社」が協力という形で参加し、クレジットには川上景司らが確認できる。


  • 本作での特撮は主にミニチュアワークということになるだろうか。主役とも言うべき幽霊船と化した貨物船や、舞台となる教会を含む岬の景色など、なかなか見事な作りだ。また薬品による人体の溶解シーンもあり、人物との合成はともかく、溶解シーンそのものはよくできている。

    岡田真澄演じる悪人グループのボスは顔の右半分に火傷の痣があるという設定だが、DVDに収録されたインタビューによれば、特殊メイクというよりは、スキンヘッドのカツラからつながる「かぶりもの」だったという。また、低予算でオールロケでの撮影だったとのこと。貨物船の内部もセットではなく廃船で撮影されたようだ。

    冒頭で殺されてしまう松岡きっこが、タイトルバックのあと再び登場し「これはなにかあるな」と思わせるのだが、けっきょく双子の妹という設定だったりするのはいささかガッカリさせるものがある。とはいえ双子の妹という設定を生かしたストーリーではあるので、もったいぶらずに説明してしまってもよかったのではなかっただろうか。

    キャストには金子信雄のほか小池朝雄といった個性派俳優が出演しているのでその意味でも見応えはある。怪奇は謳っていても謎解きな印象も強く、全体として2時間ドラマ的な感じを受けた。

    松竹の特撮というと『ギララ』『ゴケミドロ』の2本の印象が強く他の作品がかすみがちではあるが、本作のような秀作もあったことは広く知られていいだろう。

    それにしても、松岡きっこ、キレイだったのですね。

    監督/松野宏軌
    キャスト/松岡きっこ、入川保則、岡田真澄、金子信雄、西村 晃、ほか。
    1968年/80分/日本

    (文:猫目ユウ)

    あわせて読みたい関連記事
  • サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディングフォト
    インターネット, びっくり・驚き

    サムシングフォーってそういう……偶然にもモデルガンが揃ってしまった奇跡のウェディ…

  • 画像提供:架空昭和史作家 西川真周さん(@mashunishikawa)
    インターネット, おもしろ

    家のトイレが巨大ロボのコクピットに!昭和とSFが融合した「架空昭和史」の世界に夢…

  • 劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアックス」発売
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    劇中セリフやBGMを収録!バンダイから大人向けなりきり玩具「ブンブンチェンジアッ…

  • シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    シャリバン役の渡洋史も登壇!宇宙刑事シリーズ40周年記念の上映会が開催

  • 「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    「特捜戦隊デカレンジャー」20周年記念ファンミ開催!主要キャスト6人が勢揃い

  • 「獣電戦隊キョウリュウジャー ガブリボルバー -MEMORIAL EDITION-」
    アニメ/マンガ, 商品・グッズ

    聞いて驚けぇぇぇ!獣電戦隊キョウリュウジャー「ガブリボルバー」がメモリアル仕様に…

  • これが私たちのアオハル。朋優学院・アトラクション部の華麗なアクションに刮目せよ!
    エンタメ, サブカル

    これが私たちのアオハル 「朋優学院・アトラクション部」の華麗なアクションに刮目せ…

  • 特撮文化発展のため日夜活動する「特撮クラブ」。これで君たちもヒーローになれるぞ!
    TV・ドラマ, エンタメ

    戦闘員の貸し出しも可 ヒーローのためのオールインワン「特撮クラブ」とは?

  • 親子2代にわたって遊び尽くされたおもちゃたち(幽波紋Zさん提供)
    インターネット, 感動・ほのぼの

    親子2代で遊び尽くしてボロボロに おもちゃ冥利につきる懐かしの品々

  • 「仮面ライダーBLACK SUN」サントラCD
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    「仮面ライダーBLACK SUN」サントラCD2022年11月2日発売 配信も同…

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が「ラーメン大好き小泉さん」とコラボ!小麦麺使用の新感覚「らーめん缶」を実食

      丸山製麺が10月6日から、人気ラーメン漫画「ラーメン大好き小泉さん」とコラボした「らーめん缶」を、東…
    2. これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      これでもう怒られずにすむ? 息子が作った「ママの攻略本」の実力は

      親に怒られてしまった子どもが、その後に取る態度はさまざまです。落ち込む子もいれば、しっかり反省する子…
    3. 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

      インターネットを使っていると、ふとした瞬間に現れる「警告ポップアップ」。 近ごろでは「サポート詐欺」…

    編集部おすすめ

    1. 毛玉とるとる Pro(KC-NW825)

      ストッキングやタイツも可の毛玉取り器誕生 マクセルイズミ「毛玉とるとる Pro」を発売

      マクセルイズミ株式会社は、ストッキングやタイツなどの繊細な衣類にも対応する毛玉取り器の新モデル、「毛玉とるとる Pro(KC-NW825)」…
    2. キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンの名機が「ガシャポン」で復活 歴代カメラ5種を精密ミニチュア化

      キヤノンが、バンダイの「ガシャポン」とコラボレーション。歴代のカメラとレンズをミニチュア化した「Canon ミニチュアカメラコレクション」を…
    3. 時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信、男性カメラマンを厳重注意 生配信中に「支持率下げてやる」発言

      時事通信社は10月9日、自民党本部での取材中に「支持率下げてやる」などと発言した本社映像センター写真部の男性カメラマンを厳重注意したと発表し…
    4. 「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      「ちいかわの世界に行きたい」ファン、考えた末に鎧さん化 再現度がガチすぎた

      言わずと知れた人気コンテンツ「ちいかわ」。かわいくもハードなあの作品世界に入っていきたいと願う人は多いはず。筆者もその1人です。しかし二頭身…
    5. ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      ネカフェの個室に不気味なトランプが……Xユーザーの“恐怖体験”に17万いいね

      キーボードに差し込まれたトランプのジョーカーと、その裏に書かれた「げぇむすたあと」の文字。Xユーザーの「たーけ」さんが、たまたま入ったネット…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト