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【無所可用】第50回 カナダからの鉄道模型~マイナー鉄道模型の個人輸入奮闘記~

update:

【無所可用】第50回毎度あまり実用的でない話題をおとどけしております「無所可用、安所困苦哉」でございます。今回はもしかしたら多少お役に立てるかなと、自分への誕生日プレゼントも兼ねてカナダから鉄道模型を購入いたしました、その顛末と実物についてのお話をお届けさせていただきます。


  • 【関連:第42話 プラレールでダイヤ運転!~恒例・鉄道模型運転会のおはなし~】
     
    今回購入いたしました模型は、「ザ・カナディアン」号というもので、その昔、カナディアン・パシフィック鉄道の看板列車として走っていた列車です。列車自体は現在でも走っておりますが、運転会社はVIAという会社に変わり、走行ルートもやや変わっております。しかし車両は当時のものを手入れして使っているそうで、一度は乗ってみたいなぁと思う列車でもあります。

    北米では鉄道模型は盛んな趣味で、毎日のように新製品が発売され、またディテールや技術の進歩にも眼を見張るものがあります。最近ではデジタルコントロールも標準化されており、さらに走行時に機関車の音が出るものも増えています。
    しかし、これは北米といってもあくまでも米国でのお話。これがカナダとなりますと、種類、数共に大幅に製品が減ります。

    また現在の北米の鉄道の主役は貨物列車です。そのため、貨車については多くの製品が出ています。客車については、現在運転中のものも発売されてはおりますが、かつてアメリカを賑わした名列車たち、「ゼファー」「ハイワアサ」「シティ・オブ・ロサンゼルス」といった個性的な列車や、その後多く現れたステンレス製の客車列車も、アメリカのものは多数模型化されています。しかし、カナダのものはほとんど模型化されていませんでした。

    さて「ザ・カナディアン」号ですが、乗ったことはないのですが、思い出の列車なのです。幼少時持っていた鉄道写真絵本の中に、なぜか北米の鉄道の写真ばかりの本があったのです。北米の鉄道の主役は今も昔も貨物列車で、その本の写真もほとんどが貨物列車でした。しかし、最後のページに、「ザ・カナディアン」号の写真が掲載されていたのです。しかも、他の写真は機関車を先頭にした写真なのに、「ザ・カナディアン」号は、客車列車を後ろから写したものでした。針葉樹林の大きな川沿いの線路を行く、夕暮れの写真でした。後から知った事ですが、ここはカナディアン号の名撮影地だそうです。

    こんな思い出がありますので、模型が出たらぜひ揃えようと思っていたのですが、まったく出る気配がありませんでした。以前大阪の模型店で言われた「カナダの模型なんて集めてる人はいないよ」という言葉がひしひしと感じられました。

    そんなある日。久しぶりにカナダものの機関車が発売されたため、アメリカ型専門の模型店に出向きました。そこで話を聞いたのです。「数量限定で、ザ・カナディアンが、機関車3輌と客車10輌(荷物車、座席車、寝台車、食堂車、ドーム車、後部展望ドーム車(ドームオブザベーション)等基本的な編成)のセットでカナダのマイナーな会社から出るらしいですよ。」
    ぬあんとっ!
    しかし、そのお店が取引している問屋は取り扱わないとのこと。そのため、ネットを駆使して個人輸入に挑むことにしました。

    製造メーカーはRapido Trains。まずはアメリカの有名模型店を当たってみましたが、予約終了か取り扱いなしばかり。これはだめだ、と、標的をカナダの模型店に変えました。

    実は「ザ・カナディアン」号、時代によって機関車や客車の塗装が異なっており、今回、各時代別に2000セットの限定製造とのことでした。そのため、ワタシが入手したい塗装の時代のものが手に入るのかどうか。情報入手が遅かったのが悔やまれます。

    Rapido Trains Cnadian ModelRail等で検索をかけまくり、模型店のホームページらしいところがあれば別タブで開いてチェックして……を繰り返し、ついに取り扱っている模型店を発見しました。そして、ワタシの欲しい塗装は、その店では最後の1つとなっていました。
    早速カートで注文……と思ったら、なんとこのお店、カートがありません。「注文はFAXかe-Mailで」となっていました。
    しょうがないので、某エ○サイト先生のお世話になり、「Rapido Trains の The Canadian が欲しいが、日本まで送ってもらえますか?(大意)」というメールを送信しました。
    返信はちょっとかわったものでした。「可能だけど、箱がとっても大きいから、きっと送料は高いよ。」送料の心配をされる箱って、どんな箱なんでしょう。カウボーイハットの箱もバカでかかったですけれど。
    とりあえず「日本では入手できないので、送料がかかってもかまわない。検討して欲しい」と返信しました。すると、「どうやったら日本まで送れるか調査するからしばらく待って」との返事が来ました。調査が必要とはいよいよどんな箱なのでしょう?というか、カナダ国内では通信販売しているでしょうから、それほどの心配は無いような気がするのですが。

    一日おいて、模型店の別のスタッフから返信が来ました。「日本へ送る目処がついた。ただしこの模型には、予約料金が必要だ。構わないか?」おお、ついに入手が叶いました。しかし予約料金が必要とはびっくり。なんとRapido Trainsという製造メーカー自体がデポジットを要求しているのだとか。

    どうにか送金手続きもでき、模型の発売日を楽しみにする日々になりました。

    やがて、「模型をstrongな梱包をして発送したよ」というメールが届きました。なんだか大げさな表現だなぁと思っておりましたが、三日後に届いた模型は、長年鉄道模型を買っているワタシにとってもびっくりなものでした。
    麻雀卓かコタツというような荷物が届いたのです。
    厚みはあまりありませんでした。数センチというところです。しかし、縦横が半端ではありません。畳半畳か雀卓か、というくらいの梱包です。玄関から入れるのも一苦労。
    梱包は確かに頑丈で、厚いダンボール二重の箱に入っていました。なるほどstrongというだけのことがあります。
    「ザ・カナディアン」の箱は、厳重な梱包で、傷一つなくカナダから到着しました。そして、あけてびっくり。入っていた箱は一つだけ。機関車3輌と客車13輌を、ひとつの箱に収めているのです。しかもオマケとして当時カナディアン号で使われていたグラスとスプーン、ナプキンのレプリカまで入っていました。
    正直、ここまで大きくなくても……と言える、模型人生史上最大の箱を、どうぞ御覧ください。
    そして模型のアップも。椅子の背もたれの布やら、食堂車のランプなどまで、再現度はものすごい出来です。探しまわって見つけた甲斐あり、という一品です。
    ただ、大きすぎてどこにもしまえないので、箱ごとおいておくしかないのですが。

    さて写真を見ていただきましょう。
     
    ――全体写真
    60センチ水槽と並べてみました。上に写っているのが60cm水槽です。これが全容。

    (箱全体)

    (箱全体)

    ――収容状況
    フタをあけてみると、13輌の車両がきれいにならんでおり、おまけの紙ナプキンやグラスが入っているのも見えます。

    (収容状況)

    (収容状況)

    ――機関車FP9
    内蓋を外して各車両を見てみましょう。機関車は頑丈に梱包されております。FP9という形式です。サウンド装備車両です。

    (機関車FP9)

    (機関車FP9)

    ――ドームオブザベーション
    客車の最後尾を飾るドームオブザベーション。カナディアン号を象徴する車両です。テールマークが美しく再現されています。

    (ドームオブザベーション)

    (ドームオブザベーション)

    ――ドーム内部アップ
    ドーム客室内をアップで見ると、椅子の背の白いカバーまで再現されているのがわかります。座席中間車でも同様に白いカバーが表現されています。個室寝台車は部屋ごとに椅子が再現されており、椅子の向きが変えてあったり、窓についているブラインドが車両ごとに変えてあったりと、なんとも凝った仕様です。しかもすべて室内灯が点灯するというのですから贅沢極まれり。

    (ドーム内部アップ)

    (ドーム内部アップ)

    せっかく入手したのにしまう場所にも困る模型ですが、そもそも13輌編成を走らせる場所がありません。次回運転会までしばし待機ですが、楽しみです。

    (文・写真:エドガー)

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