多くの方が一度はみたことあるであろう「パインアメ」。黄色いフォルムに真ん中が空いているというのが特徴的。そこで、他社の飴のように、なんとなく吹いてみたくなるものの……うまくいかなかった経験がある人は一人二人じゃないことでしょう。
「パインアメ」の第一号が生まれたのは1951年(昭和26年)。今から72年ほどまえの出来事です。誕生してそれだけ時がたてば、当時あたりまえでも今の人は知らないことも増えてきます。パインアメに「穴」が空いている理由もその一つ。今回は「パインアメ」を製造販売しているパイン株式会社に聞いてみました。
■ パインアメの穴が空いている理由
「パインアメ」といえば真ん中に穴があいているという点が特徴ですが、そもそも果実である「パイナップル」の真ん中に穴は空いておりません。
たとえば他社の例では、お子さんの「誤飲防止」や、そのままくわえてフエのように音を出す機能などもあります。しかし「パインアメ」に関しては音を鳴らす機能はなく、結構頑張っても鳴りません。
それなのになぜ穴が空いているのでしょうか。この疑問を持つ人は意外と多くいるようでGoogle検索で「パインアメ 穴」と検索してみると、「パインアメ 穴の理由」「パインアメ 穴のやくわり」というワードが検索候補に出てきます。
検索候補は検索ボリュームのあるワードが表示されるため、それなりの人がこの「穴」の存在を疑問に思って検索したことがうかがえます。
さて、その「パインアメにはなぜ穴が空いているか」問題について実は2012年に、パイン株式会社公式Twitterで明らかにされています。
「鳴らなくてごめんなパイン!パインアメは戦後とっても高級で庶民の憧れだったパイナップル缶のパインを手軽に味わえるようにと作られました。なので、真ん中の穴は音を鳴らすためではなくて、パイナップルに似せるために開けられているんですよ」
@taemixco 鳴らなくてごめんなパイン!パインアメは戦後とっても高級で庶民の憧れだったパイナップル缶のパインを手軽に味わえるようにと作られました。なので、真ん中の穴は音を鳴らすためではなくて、パイナップルに似せるために開けられているんですよ♪( ´ ▽ ` )ノ◎
— パインアメの【パイン株式会社】(公式)🍍 (@pain_ame) November 28, 2012
なんと、パイナップル缶の「パイン」をイメージしているそうです。確かに果実の「パイナップル」は穴が空いていませんが缶詰のパインは穴あきです。パインアメが生まれた戦後当時は高級品だった「パイン」を手軽に味わえるように……!と、なんとも粋な計らいだったようです。
■ 「パイン株式会社」さんに、もう少し詳しく話を聞いてみました
ここで疑問は一つ解決したわけですが、「パインアメ」に穴が空いていることで他社のお菓子と混同されることは今もあるのか?やはり音はならせないものか?まだまだ疑問は山積ですので、パイン株式会社のTwitter担当者に話をきいていました。
-- パインアメの穴が空いている理由を今更ながら2012年11月29日のツイートで知りました。「パインアメは… 鳴るように作っていません…」とつぶやいていらっしゃいますが、当時そのような問い合わせが多かったのでしょうか!ちなみに今でも聞かれることはありますか?
昔も今も、フエラムネを鳴らした記憶とパインアメを混同されている方が一定数いらっしゃいます。
「昔よく鳴らしました!」と言っていただくことがあり、改めて「パインアメは鳴るようには製造していない」ということを公式としてツイートした次第です。
-- ちなみに中の方は強引でも「音がならないかチャレンジ」したことは……?もしあれば結果も教えてください。
私が消費者だったころは鳴らしたことはありませんでした。上記のツイートがバズったことで、2017年にオーケストラの方々と一緒に鳴らすチャレンジをした際に私自身もチャレンジしましたが、鳴りませんでした。
-- パインアメの形の変化についてもお聞かせください。公式HPにある過去の商品をみてみると「穴」の大きさが変わっているように見えました。特に昭和41年と今では大きな違いがあります。穴の大きさはやはり変わっているのでしょうか?
飴の大きさはずっと同じではなく、開発当初から比べると小さくなっています。
発売当初(昭和26年)は戦後で甘いものがあまり市場になかった時代で、とにかく満足感のある甘いものが受け入れられる時代背景もあり、1粒が大きかったのですが、時代に合わせて食べやすさなども考慮して今の大きさになっています。製造する機械や包装形態が変わるタイミングで作り方や飴の大きさも見直すことがあります。
-- 個人的な質問ですが子どもの頃から味については変わってないハズ、と思っています。もしかして味も少しずつリニューアルしていたりしますか?
味も少しずつ時代に合わせて変わっていますが、消費者の方々に気付かれない程度に変更をしてよりおいしくしています。
-- 味は「変わっている」けど「気づかれない程度に変更」……確かに気がつきませんでした
使っている材料も戦後と今では大きく違っていると思いますので、今食べ比べると全く別物だと思われます。当時の配合は残っていないので比べられませんが。
-- 個人的には当時の配合も食べてみたいです!もし資料がみつかればぜひ!ところでエイプリルフールでやっていた「パインアメストロー」。これもぜひ商品化してほしいです!予定はありますか!?
あくまでエイプリルフール用に作ったものですので、現在は商品化の予定はございません。
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「パインアメストロー」の商品化予定はない、というのは残念ではありますが、なんとも非常に興味深い経緯や歴史を聞けました。そして、やっぱりパイン株式会社の社員の方でも音を鳴らそうとチャレンジしたことはあるようですね。
余談ではありますが、オーケストラの方々はさすがプロ、試行錯誤の結果鳴らすことに成功したそうです。プロでなければ鳴らせない、そんな強い決意のようなものを感じました。
このような、深い思いや情熱が「パインアメ」にあるということを踏まえて食べると、また違った味わいになるのかもしれませんね。
<取材協力>
パイン株式会社
<参考>
パインアメの【パイン株式会社】(@pain_ame)
パインアメチャレンジ
※記事中の画像キャプチャはパインアメの公式Twitterおよび、Google検索の結果より。
(たまちゃん)