2018年12月20日(アメリカ西部時間)、ロッキード・マーティンは今年最後となる91機目のF-35がアメリカ海兵隊に引き渡されたと発表しました。この生産数は前年比40%増。内訳はアメリカ向けが54機、21機がイギリスなどのF-35プログラム参加国、16機が日本などFMS(対外有償軍事援助)国向けとなっています。

 2018年の最終生産機となったF-35Bの引き渡しに際し、ロッキード・マーティンのF-35プログラム責任者、グレッグ・ウルマー氏は「このマイルストーンは、F-35生産施設の能力をフルに発揮した状態が順調であることの証明であり、世界中のお客様に希望通り製品を納入できる準備ができているということを表しています」とコメント。さらに「年々生産量は向上し、それに伴いコストも削減され、生産にかかる期間も短縮されており、スケジュール通りの生産が可能になっています。今日、F-35はもっとも高い能力を持つ航空機であり、我々は年を追うごとに他の戦闘機と同等以上の機数を市場に供給しています」と、生産施設の充実について語っています。




 2011年に最初の量産型がロールアウトして以来、F-35は徐々に生産のペースを上げてきました。それに伴い、生産コストの見直しも実施。現在F-35Aの価格は8920万ドルにまで下がっています。ロッキード・マーティンによると、生産ペースがさらに上がる2020年のロット14においては、8000万ドルにまで下げることが可能という見方を示しています。これは現行の第4世代ジェット戦闘機の価格とそれほど変わらないもの。生産当初は「高すぎる」と言われた機体単価も、能力を考えればかなり「値ごろ感」が出てきたといえるでしょう。



 ロッキード・マーティンは翌2019年、さらに生産数を40%引き上げ、130機以上の生産を見込んでいます。現在までに350機以上のF-35が計10か国に引き渡され、うち7か国は母国での運用が始まっています。すでに4つの飛行隊で初度作戦能力(IOC)を獲得し、アメリカとイスラエルではすでに実戦に参加しています。2019年には日本の航空自衛隊でも、三沢基地の臨時F-35飛行隊が百里基地の第302飛行隊と統合される形で、新たに三沢基地の第3航空団隷下で新生第302飛行隊となる予定。日本を含め、各国でF-35の姿が日常的になっていくことでしょう。

Image:Lockheed MartinUSAF

(咲村珠樹)