ロッキード・マーティンとF-35統合計画事務局は2020年3月3日(現地時間)、通算500機目となるF-35がユーザーに引き渡されたと発表しました。記念すべき500機目となったのは、アメリカ空軍(バーモント州空軍)向けのF-35Aです。

 アメリカ空軍、海軍、海兵隊の作戦機を共通の設計を有するものに統合し、開発や運用にかかわる様々なコストを低減して、予算の効率化を図る……という「統合打撃戦闘機(Joint Strike Fighter=JSF)」計画。この野心的な計画で誕生したのがF-35です。

 アメリカ空軍、海軍、海兵隊で共通の戦闘機を使用したのは、1960年代~1980年代のF-4ファントムIIがありますが、これは本来海軍の艦上戦闘機として設計されたものが、その当時の任務適合性によって空軍でも採用された例。最初から使用機の統合を目的としたものでは、1960年代のF-111計画が当時では設計上の課題が多く、海軍用の艦上戦闘機型は開発中止、結局は空軍向けのF-111も戦闘機としては使い物にならない(爆撃機や電子戦機としては有用)という、どちらかといえば失敗に終わっただけに、このJSF計画も当初は実現が疑問視されました。

 しかし予算や開発期間の超過はあったものの、JSFはF-35として結実。計画に参加したアメリカほか8か国だけでなく、日本をはじめとした多くの国でも有償軍事供与(FMS)の形で採用されるに至りました。


 生産された500機の内訳は、通常離着陸型のF-35Aが354機と最も多く、次いでアメリカ海兵隊とイギリス(海空軍で共通運用)が採用したSTOVL(単距離離陸/垂直着陸)型のF-35Bで108機。そしてアメリカ海軍が採用した艦上戦闘機(CATOBAR)型のF-35Cが38機となっています。

 記念すべき500機目がアメリカ空軍(バーモント州空軍・第158戦闘航空団)に納入されたことを受け、ロッキード・マーティンでF-35計画を統括するグレッグ・ウルマー副社長は「このマイルストーンに至ったのは、連邦政府、軍、そしてメーカーが一体となり、その能力を捧げてきた証です。F-35は第5世代の比類なき戦闘能力を、古い第4世代機と同等のコストで提供できる存在です」というコメントを発表しています。

 F-35の導入国は16か国にのぼり、パイロットは1000名近く、そしてその総飛行時間は25万時間を優に超えます。まだまだF-35は多くの発注分(バックオーダー)が残されており、西側諸国の標準第5世代戦闘機として、勢力を増やしていくことでしょう。

<出典・引用>
ロッキード・マーティン ニュースリリース
Image:USAF

(咲村珠樹)