アメリカ海軍は2020年4月15日(現地時間)、アラビア湾の公海上においてイラン革命防衛隊の小型船舶が、アメリカ海軍とアメリカ沿岸警備隊の艦船に対し、複数回にわたって進路上を横切るなど、危険な異常接近を繰り返したと発表しました。
アメリカ海軍の発表によると、イラン革命防衛隊の小型船舶は11隻。被害を受けたのはアメリカ海軍の遠征用機動基地(Expeditionary Mobile Base)ルイス・B・プラー(ESB-3)、駆逐艦ポール・ハミルトン(DDG-60)、哨戒艇ファイアボルト(PC-10)、哨戒艇シロッコ(PC-6)に、アメリカ沿岸警備隊のカッター、ランゲル(WPB-1332)とマウイ(WPB-1304)からなる船団です。
当時、アメリカ側はルイス・B・プラーを使い、陸軍のAH-64Eアパッチ攻撃ヘリコプターによる航空機運用を行なっていたといいます。AH-64Eは3月から、アメリカ中央陸軍(USARCENT)の“セイバー”任務部隊に配属されており、海軍、海兵隊、アメリカ沿岸警備隊との統合作戦を実施していました。
イラン革命防衛隊の小型船舶は、高速で船団の至近距離を何度も通過。ルイス・B・プラーに対しては50ヤード(約46m)、アメリカ沿岸警備隊のマウイに対しては船首からわずか10ヤード(約9m)の場所を横切ったといいます。
アメリカ側船団は再三にわたって無線で警告したほか、衝突の危険を知らせる短音5回(警告信号)の汽笛を吹鳴。さらに音声警告装置を使っての警告も行いましたが、イラン革命防衛隊の小型船舶は何の反応も示さなかったといいます。
このような状態は1時間ほど続き、ようやくイラン革命防衛隊の小型船舶はアメリカ船団から離れていったとのこと。アメリカ側は、今回のイラン革命防衛隊小型船舶11隻による行動は、衝突の危険を誘発する「海上における衝突の予防のための国際規則(COLREG)に関する条約」に違反するものであると表明しています。
<出典・引用>
アメリカ海軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)