サーブは2020年4月28日(現地時間)、戦闘機搭載用XバンドレーダーPS-05/Aの新しいバージョンにおける空中試験を実施し、成功裏に終了したと発表しました。今回試験された新しいレーダーアンテナは、アメリカ政府の要求により開発されたものです。
今回の試験に供されたのは、サーブの戦闘機グリペンに標準装備されているXバンド(8~12GHz帯)パルスドップラーレーダー「PS-05/A」ファミリー用のレーダーアンテナ。新世代のパワー半導体として携帯電話の充電器などにも採用が始まった、窒化ガリウム(GaN)を素子に使用したアクティブ走査式(AESA)のもので、従来よりも探知距離が向上しています。
アメリカ政府からサーブへの発注は2018年10月。開発された新しいアンテナは、サーブの保有するグリペンD(PS-05/A Mk.4レーダー搭載)に搭載され、空中での動作試験に供されました。試験では複数の目標を同時に探知し、追跡するなど、設計した通りに動作したといいます。
サーブでレーダーなどの情報収集・警戒システム部門を統括するアンダース・カープ氏は、今回の第1回空中試験の成功を受け「新しい戦闘機用AESAレーダー開発にとって大きな一歩となりました。このレーダーの素晴らしい能力を確認できましたし、このモジュラー式で様々なシステムに適合する汎用設計は、他社の製品にも取り付けが可能だということを意味します」とのコメントを発表しています。
アンテナ素子に窒化ガリウムを使用したレーダーアンテナは、従来よりも強く、きめ細かな電波ビームを発振することができ、小さな目標(ステルス性の高い航空機を含む)も探知が可能となるほか、電子戦機による電波妨害にも強いという特徴があります。サーブでは、この新しいレーダーアンテナを既存のグリペン運用国にもアップグレード品として売り込むこととしています。
<出典・引用>
サーブ プレスリリース
Image:SAAB
(咲村珠樹)