「ナナメ観!特撮映像館」第六回目となる今回は、1970年公開の「ガメラ対大魔獣ジャイガー」。
前作のオリンピックに続いて、本作が公開された70年は大阪万博の年だった。そこで今回の舞台は大阪、万博会場となる。が、さすがに会場を破壊するという映像は許可がでなかったのか、なんとか直前でジャイガーの進行を阻止するという展開である。
本作で印象的なのは「スケスケガメラ」である。
『~バルゴン』から対戦怪獣には1度負けるガメラであるが、今回は体内にジャイガーの幼虫(?)を産みつけられ、血を吸われてしまうことで前足と頭部が透けてしまうのだ。見た目のインパクトもあるが、ここまで瀕死になったのも本作だけである。
過去作品の流用は本作でも見られるが、オープニングに主題歌とともに流されるので、どちらか言えば本編とは別物という扱いではある。と思っていると、大阪市民の避難シーンで過去のフィルムが流用されていたりしていた。
『~バイラス』『~ギロン』と特撮シーンのセットに物足りなさを感じていたが、今回は舞台が大阪ということもあり、かなり手の込んだセットを見ることができる。が、湯浅監督のインタビューを見ると、当時あまりに予算が少なかったため本作に限って上乗せされた予算があり、それで作れたということらしい。そのことから考えると、万博会場の破壊シーンがなかったのも予算の関係だった可能性もある(注:92年に中京テレビで制作された当時のスタッフ座談会によると、会場の破壊シーンを入れないことが、万博会場を登場させる条件のひとつだったようである)。
ジャイガーの武器のひとつにマグネチューム光線というものがあり、それによって人間が白骨化してしまうシーンがある。これはギャオスが人間を喰うシーンについでショッキングな映像だったという印象がある。「ゴジラ」との差別化として「ガメラ」では生物としての存在感をだしたいという観点から、流血シーンが多いのが特徴でもあるが、本作では人間の白骨化と共に、ジャイガーの幼虫を解説するシーンで象の鼻に寄生した虫の映像もあり、なかなかグロかったりもする。ギャオスの場合怪獣の怖さというのが印象に残ったが、本作ではジャイガー以外の映像にインパクトがあったようである。
監督/湯浅憲明、特殊撮影/金子友三
キャスト/高桑 勉、ケリー・パリス、キャサリン・マーフィ、炎三四郎(速水 亮)、大村 崑、ほか。
1970年/日本/83分