海上自衛隊のカレーと言えばすっかり有名になった感がありますが、先日初めて実際に食べる機会をいただきました。
場所は、千葉県にある海上自衛隊下総航空基地で、主に哨戒機P-3Cの搭乗員教育などが行われています。
海上自衛隊の基地ではありますが、海から離れた内陸に所在しています。
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ご存知の方も多いと思いますが、海上自衛隊では、毎週金曜日の昼食にカレーを食べる習慣があります。
そして、その味は実に美味しく、艦艇や基地毎で工夫が凝らされたレシピの数は海上自衛隊全体で200以上もあるそうです。
しかも調理を担当する給養員の皆さんは、海上自衛官であると同時に、専門の教育を受けたプロの料理人。
給養員は入隊してから退職するまで一貫してその職にありつづけるとかで、給養員長ともなればその料理の腕はトップシェフクラス。
そんなプロ中のプロが作り上げる伝統のカレー。期待に胸を膨らませていそいそと基地を訪ねました。
幹部と航空機搭乗員用の食堂に案内されると、既にカレーの芳香が漂っています。
この日の献立は、ビーフカレーでした。
他に生野菜、ゆで卵、福神漬、楽京漬(らっきょうづけ)、みかん、牛乳が付きます。
標準的な盛り付けで約1,500kカロリーだそうですが、希望により大盛りも可能とのこと。
パイロットには、さらに加給食としてフルーツビスケットが用意されていました。こちらは、約100kカロリーあります。
見た目は、具がゴロゴロしていて家庭のカレーのような雰囲気。
早速食べてみると、さすが名高い海上自衛隊のカレーだけあって、市販のカレールーとはレベルの違いが感じられます。
辛さは控え目で、旨味や野菜の甘みが感じられますが、爽やかなスパイスの風味が強く、良いアクセントになっています。
後で給養員の方に聞くと、スパイスに関してはカレー粉とガラムマサラの配合にプロの技があるようでした。
デミグラスソースとコーヒーが隠し味だそうです。
ビーフカレーの他にもポークカレー、チキンカレーはもちろん、季節の旬の食材を使用した春野菜のカレー、夏野菜のカレー、秋野菜のカレー、そして冬はカキフライカレーなど様々なバリエーションがあるそうで、毎週食べに通いたいなんて思ってしまいます。
ちなみに、カレー以外の人気メニューを聞いてみたところ、若い人の多い職場なので、焼肉が特に人気だそうです。
下総航空基地名物メニューには、『肉の香草焼き』、『魚の柚子胡椒焼き』、『季節のご飯』など、美味しそうな料理名が次々と出てきました。(そして間違いなく美味しいはずです!)
実にうらやましい職場ですね。
お話を聞いた給養員の方は、長く艦艇でも勤務された超ベテランで、面白いお話を色々と聞かせていただきました。
艦内で調理中、揺れた拍子に包丁が落下して足に刺さったことがあるという武勇伝(?)などなど。
そして調理場も見せていただきました。
陸上の基地の調理場でも、艦艇と同じく蒸気の熱で調理するそうですが、ご飯を炊くにも熱湯の状態から米を入れて炊き始めるなど、ガスや電気の調理器具とはかなり違うコツがいるそうです。
この写真の鍋1つで約800人分のカレーを作ることができるそうで、これがいくつも並んでいます。
他にも大量の食事を作るための珍しい設備や器具がたくさん設置されていました。
最後に基地の指揮官クラスの幹部の皆さんが会食する専用の食堂を見せていただきました。
隊員用の食堂と違って立派な椅子とテーブルクロスが重厚な雰囲気を醸し出していますね。
でも出される食事は、隊員用ものと同じだそうで、ここだけ高い肉を使っていたりはしないそうです。
噂に違わず海上自衛隊のカレーが絶品であることは確認できましたが、こうなると他の基地や艦艇のカレーもぜひ食べてみたいものです。
「うちのカレーは世界一!」と自負する全国の海上自衛隊給養員の皆様、ぜひ我々にご自慢のカレーを食べさせて「参った!」と言わせてみませんか?
■取材協力:
海上自衛隊 下総航空基地
■注意:
取材に際し撮影・試食させていただいたカレーは、費用を編集部にてお支払いしています。また、取材は実際にカレーが出される金曜日に合わせて行っています。
(取材:Dacho/写真:咲村珠樹)