「うちの本棚」、今回はスーパーマリオネーションの傑作『キャプテン・スカーレット』のコミカライズ作品を紹介いたします。江波穣二が作画を担当した「週刊少年サンデー」版は少ないページ数でありながら、ハードな内容の本作を見事に描いていました。
【関連:191回 レインボーマン/あだち充(原作・川内泰範、脚色・伊藤恒久)】
本作は『サンダーバード』で知られる、ジェリー・アンダーソンのスーパーマリオネット作品『キャプテン・スカーレット』のコミカライズである。
映像作品は『サンダーバード』に比べて難解(「死んでも死なない」主人公や姿を現さない敵「ミステロン」など)だったためか、あまり話題にはならなかった印象がある。もっとも大人も含めた視聴者を対象に制作された作品を、子供(特に低年齢層)向けに放送してしまうという日本のテレビ局事情にも問題があったのではないかという気がする。キー局はTBSで、このあと円谷プロの「ウルトラシリーズ」も低年齢層向けにしていった戦犯とも言っていい存在だろう(いいすぎ?)。
怪獣・特撮やアニメ、マリオネーションを内容に関係なく見た目だけで子ども向けと考える、上から目線の何もわかっていない「大人」の会社である(少なくとも当時は)。
コミカライズである江波穣二版は、「少年サンデー」のほかにも同じ小学館の「小学四年生」「小学五年生」にも、1月~4月号、1月~7月号にそれぞれ連載されていたようだが、未確認。実は「少年サンデー」版もすべては見ていなくて、手元には連載途中から最終回の11話分があるだけだ。
テレビ放映中の作品でもあり、週刊マンガ誌の連載であるから、それなりの内容、ボリュームを想像すると思うが、なんと1回のページ数は見開き2ページ。1話につき2回完結という形式だった。したがってコマ割りも細かく、ナレーションも多くなる。
作画担当は江波穣二だが、構成として北川幸比古がクレジットされているのは30分のドラマを全2回、4ページでまとめるためだったのだろう。『サンダーバード』よりもリアル指向の強くなった映像本作に、江波穣二の作画はぴったりで、もっとページ数があればよかったのにと思う。
本作にはほかに一峰大二や旭丘光志によるコミカライズがあったようだ。版権等いろいろクリアしなければならない問題は多いのかもしれないが、江波穣二版ともども単行本化していただきたい。
初出/小学館「週刊少年サンデー」1968年
(文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/)