おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】192回 キャプテン・スカーレット/江波譲二

キャプテン・スカーレット「うちの本棚」、今回はスーパーマリオネーションの傑作『キャプテン・スカーレット』のコミカライズ作品を紹介いたします。江波穣二が作画を担当した「週刊少年サンデー」版は少ないページ数でありながら、ハードな内容の本作を見事に描いていました。


【関連:191回 レインボーマン/あだち充(原作・川内泰範、脚色・伊藤恒久)】

キャプテン・スカーレット-01 キャプテン・スカーレット-02

  • 本作は『サンダーバード』で知られる、ジェリー・アンダーソンのスーパーマリオネット作品『キャプテン・スカーレット』のコミカライズである。
    映像作品は『サンダーバード』に比べて難解(「死んでも死なない」主人公や姿を現さない敵「ミステロン」など)だったためか、あまり話題にはならなかった印象がある。もっとも大人も含めた視聴者を対象に制作された作品を、子供(特に低年齢層)向けに放送してしまうという日本のテレビ局事情にも問題があったのではないかという気がする。キー局はTBSで、このあと円谷プロの「ウルトラシリーズ」も低年齢層向けにしていった戦犯とも言っていい存在だろう(いいすぎ?)。

    怪獣・特撮やアニメ、マリオネーションを内容に関係なく見た目だけで子ども向けと考える、上から目線の何もわかっていない「大人」の会社である(少なくとも当時は)。

    コミカライズである江波穣二版は、「少年サンデー」のほかにも同じ小学館の「小学四年生」「小学五年生」にも、1月~4月号、1月~7月号にそれぞれ連載されていたようだが、未確認。実は「少年サンデー」版もすべては見ていなくて、手元には連載途中から最終回の11話分があるだけだ。

    テレビ放映中の作品でもあり、週刊マンガ誌の連載であるから、それなりの内容、ボリュームを想像すると思うが、なんと1回のページ数は見開き2ページ。1話につき2回完結という形式だった。したがってコマ割りも細かく、ナレーションも多くなる。

    作画担当は江波穣二だが、構成として北川幸比古がクレジットされているのは30分のドラマを全2回、4ページでまとめるためだったのだろう。『サンダーバード』よりもリアル指向の強くなった映像本作に、江波穣二の作画はぴったりで、もっとページ数があればよかったのにと思う。

    本作にはほかに一峰大二や旭丘光志によるコミカライズがあったようだ。版権等いろいろクリアしなければならない問題は多いのかもしれないが、江波穣二版ともども単行本化していただきたい。

    初出/小学館「週刊少年サンデー」1968年

    (文:猫目ユウ / http://suzukaze-ya.jimdo.com/

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • ニュース・話題

    「新サクラ大戦」がゲームに先駆けコミカライズ化

  • ニュース・話題

    「ぼくらの七日間戦争」アニメ映画化記念しコミカライズ決定

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】195回 ウルトラセブン/一峰大二

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】191回 レインボーマン/あだち充(原作・川内泰範、脚色・伊藤恒久…

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】188回 惑星大戦争/居村真二

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】187回 シルバー仮面/蛭田 充

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学6年生の男児が耳の痛みを訴え受診したところ、耳の奥からシャープペンシルの消しゴムが摘出されました…
    2. マクドナルド非公認レシピ「改造てりたま」

      マクドナルド非公認レシピ!夏のてりたま欲を満たす「改造てりたま」を作ってみた

      春限定の人気商品「てりたまバーガー」を夏でも味わうため、筆者が考案した「改造てりたま」の作り方を紹介…
    3. 江頭2:50の“トルコ伝説”がポテチ化 ファミマ限定「伝説のケバブ風味ポテトチップス」を実食

      江頭2:50の“トルコ伝説”がポテチ化 ファミマ限定「伝説のケバブ風味ポテトチップス」を実食

      江頭2:50さんが60歳の節目に放つ、まさに“レジェンド級”のコラボ商品が登場です。YouTubeチ…

    編集部おすすめ

    1. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    2. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    3. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    4. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    5. 作文嫌いの救世主 親子で楽しむ「魔法のワークシート」が超便利

      作文嫌いの救世主 親子で楽しむ「魔法のワークシート」が超便利

      夏休みの宿題において、多くの小学生が悩まされる「作文」。特に低学年の子どもにとっては「何から書けばいいのか分からない」壁にぶつかることもしば…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト