静岡県伊豆半島にある有名なB級観光地と言えば、ちょっとHで笑える大人のためのテーマパーク「熱海秘宝館」(熱海市)を思い浮かべる方も多いはず。
しかし、伊豆にはもう一つパンチの効いた珍名所が存在しています。伊豆半島の主要道路、国道135号を下田方面にすすむと突如現れるのが、今やニューカルチャーの聖地とも言われる「まぼろし博覧会」(伊東市)。
「キモ可愛い」がコンセプトで、ホームページの説明によれば「アホとボケの楽園」なんだとか。最近では、2017年9月に欧州チェコの国営テレビが取材に来たり、日本テレビの「有吉ゼミ」、「嵐にしやがれ」など多数メディアで紹介されたりと、徐々に認知度が高まっているようです。
ちなみにすぐ近くにある、怪人風巨大オブジェが目印の「怪しい少年少女博物館」は姉妹館です。旅行で行った際に通りすがりで「この2つ空気が似てるな……」と感じた方は大正解!
そして「まぼろし博覧会」に実際訪れた方のSNSでの感想を見ると「カオス」「怖い」「精神崩壊しそう」などのコメントがほとんど。尋常ではない非日常を目の当たりにした人たちは、精神崩壊を起こしかけるほどの衝撃を目の当たりにしたようです。
展示スペースは6つに分かれており、「密林にたたずむ大仏と古代文明」。「昭和の時代を通り抜け」、「魔界神社 祭礼のゆうべ」、「悪酔い横丁(未確認生物)」。「建物外観、外周り」、「特別ブース(エスパー伊東、R指定、世直し王様、ストロベリーオーケストラ)」。この5月には新エリア「まぼろし島」もオープンしています。エッジの効いた個性溢れる展示物が、東京ドームのグラウンドほどの敷地にてんこ盛り状態でつめこまれています。
展示物だけでもお腹いっぱいになってしまいそうですが、まぼろし博覧会の館長「セーラちゃん」の行動にも目が離せません。セーラちゃんが、突然人魚姫の生態を明らかにしたり、通りに向かってお立ち台で踊り狂ったりと、摩訶不思議な行動に、ちょっと怖い、でも見たい……の気になる連鎖が襲い来る!
さらにセーラちゃんのようにコスプレをする方も多く訪れているそうですよ。それにしても、なぜこのような時空の針が振り切れた世界を作ろうと思ったのか、まぼろし博覧会の謎を解き明かすべく館長のセーラちゃんに話を伺いました。
――聞いて良いのかわかりませんが、セーラちゃんは、何歳ですか?
2016年夏に誕生して3歳です。
――あっ、はい!では次に、セーラちゃんがまぼろし博覧会を作ったとのことですが、なぜ普通とは違う珍妙な博覧会を作ろうと思ったのですか?
現実社会に存在する事象の極端なものを排除しないコラージュ。面白いものを排除したものが普通だとすれば、それはつまらないものになります。
――ありがとうございます。さて、次に、まぼろし博覧会の営業し始めの頃の思い出を教えてください。
大震災がありました。そのため工期3か月の超スピードオープンでした。
――かなり短期間でオープンしたんですね。まぼろし博覧会を開館してから、何人ぐらいの来場者が訪れましたか?
平日50人、祝休日100人~800人。
――こちらの展示物は全てセーラちゃんが制作されたものなのでしょうか?また、こちらの展示物を揃えるのにどのぐらいの月日がかかりましたか?
作ったものは少ないです。20年かけて収集してきました。
――すごい!20年!展示されているものを拝見したのですが、いい意味で統一感がなく飽きのこない展示物が多い印象を受けますが、少しアダルトな物も展示されていて、お子様にビックリされたり、怖がられたりすることはないのでしょうか?
お子様からお年寄りまで特定の好奇心を持たない方でも驚いたり呆れたりしながら無邪気な笑顔になっていただけています。
またエログロも強調はしませんし、現実社会に存在するものですから排除もしません・現実社会はカオスです。
――特にマネキンやレトロな展示物も多く、幽霊が出そうな勢いですが、セーラちゃんは、霊感があるほうですか?
特にありません。見えないものや非合理的なものに関心がないからです。
――今年での夏で7周年を迎え、8月には恒例の「真夏のキモ可愛い文化祭」を開催予定とのことですが、毎年イベントを開催されている中で、印象に残るエピソードなどあれば教えてください。
出会ったことのない無邪気な笑い声と笑顔にたくさん会えます。
キモ可愛い文化祭(201708)「まぼろしオンボロバスごっこ」にモスラ~や!モスラー!あの南海の土人踊りを伊豆高原で再現した「モスラ踊り with異色肌」パレードにセーラちゃんをお姫様抱っこするイベントなど pic.twitter.com/lvxIG5GS2L
— まぼろし博覧会[公式] (@_fushiginamachi) July 5, 2018
――セーラちゃんが一番こだわっている展示物などあれば教えてください。
全体空間にはこだわりますが、一点一点にこだわりはありません。
――言われてみたら確かに……!一点一点の展示はカオスだったり、コンセプトがよく分からない感じだったりバラバラな感じがしたのですが、全体で言われるとピンときました!ちなみに今後、まぼろし博覧会をどのようにしていきたいですか?
これからも日々進化して、来ていただいたお客様がどんな趣味嗜好の人でも、たとえ趣味がなくても、帰りには能天気な気分になって「なんだか明日という日が楽しそうな気がする」そんなポジティブな心になっていただけるような夢のパラダイスを目指しております。
今日のセーラちゃんです🎵
今日も一日、お待ちしています😍💖🌸 セーラちゃんは元気いっぱいです🌴🎉 pic.twitter.com/2cAHyK3adO— セーラちゃん まぼろし博覧会 (@maboroshimusume) July 1, 2018
筆者は何度か「まぼろし博覧会」に足をはこんだことがあるのですが、セーラちゃんはとにかくサービス精神旺盛。通りに向かってダンスアピールや旗振り、とにかく遠くからでも目立つ目立つ。そして展示や外観はかなりハイスピードで実はバージョンアップが繰り返されています。だから何度いっても新しい発見があるという……。そしてセーラちゃんの中毒性の高さよ。一度訪れたら、ついつい何度も訪れ、セーラちゃんにまた会いたくなるハズ。
なお、「まぼろし博覧会」、「怪しい少年少女博物館」の他に、猫と触れ合える「ねこの博物館」(伊東市)という姉妹館もあります。どれも個性的だけど、ちょっと癒やしもあったり。全て近くにあるので伊豆半島を観光する際には、ぜひ立ち寄ってみてはいかがでしょうか。
<取材協力>
まぼろし博覧会(Twitter:@_fushiginamachi / HP: http://maboroshi.pandora.nu/)
所在地:〒413-0231 伊東市富戸梅木平1310-1(まぼろし博覧会)
営業時間:通常 AM9:15~PM5:00
※8月のみAM9:00~PM5:30 入場は30分前まで。
(年中無休)
入場料:大人1200円/小中学生600円※特別料金
(障がい者手帳の提示でご本人は半額、同伴者は100円引 ※坂や階段があるため車 椅子の介護者は2名必要)
(黒田芽以)