空を飛ぶ人々や、それを見上げる人々にとって「空の安全」というものは、何よりも大事なものです。そんな空の安全を守るための取り組みとして、環太平洋地域の空軍関係者が集まって情報交換する、恒例のアジア太平洋航空安全専門家研修(APASS)が、2018年8月14日~16日の3日間、ハワイのホノルルで開かれました。
アジア太平洋地域における空の安全保障や、航空機の安全な飛行を行うためには、普段から担当する部署同士の緊密な連携が欠かせません。この地域で空の安全を守っている各国の空軍関係者が集まり、空の上の交通の安全と、安全保障について情報交換し、認識を共有するための会合であるAPASS(Asia-Pacific Aviation Safety Subject Expert Exchange)。日本の航空自衛隊からは、航空幕僚監部の中島良平2佐(テストパイロット第62期生)が参加しました。
開会に際して、太平洋空軍(PACAF)の司令官であるブライアン・M・キロウ少将から挨拶。環太平洋地域は非常に多くの国々が存在するので、地域によって様々な事情や固有の脅威などが存在します。これらに関する情報を各国間で共有し、安全保障と同時に航空路の安全を含めた、安全で開かれた空を実現することが重要です。
太平洋地域は島が多いのも特徴です。小さな島々が集まってできた国も多く、災害などが起きた場合、それぞれが孤立してしまうことも。もちろん、そんな場所に不時着した場合も、助けが来るまで時間がかかることもあります。そんな状況を想定した講習も行われました。
出席した各国の担当者たちの表情も真剣そのもの。空の安全を守る当事者意識にあふれ、熱心にメモを取ります。
様々な国から来ているとはいえ、空の世界では管制通信の公用語は英語となっているので、みな英語がしゃべれます。しかも空に関する仕事をしている人々なので、オフの時には話も弾んだようです。航空自衛隊から参加している中島2佐も、アメリカ太平洋空軍の航空マネジメント部門責任者であるダニエル・ロバーツ中佐と談笑していました。
時期を同じくして、ハワイのパールハーバー・ヒッカム統合基地には8月15日、ミズーリ州のホワイトマン空軍基地からB-2が定期遠征任務のために飛来。複雑化するインド太平洋地域の安全保障に、アメリカが深く関与していくことも感じさせました。
安全保障の面も含めて、平和で安全な空が実現されるには、各国の当局者による交流と努力が不可欠です。今回のAPASSも、実りある結果になったことでしょう。
Image:USAF
(咲村珠樹)