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航空自衛隊もプレゼントを投下 恒例の「クリスマス・ドロップ作戦」始まる

 太平洋に浮かぶ離島にクリスマスプレゼントを届ける、恒例の「クリスマス・ドロップ作戦」が2020年12月7日(現地時間)、グアム島アンダーセン空軍基地で始まりました。今年も航空自衛隊小牧基地から第401飛行隊のC-130Hが参加し、アメリカ空軍の輸送機とともにプレゼントを届けています。

  •  クリスマスを前に、太平洋の離島に住む人々へ支援物資を届ける「クリスマス・ドロップ作戦」。1952年、ミクロネシアのカピンガマランギ環礁上空を哨戒飛行中のアメリカ空軍WB-50(B-29の改良型)から、乗員が「クリスマスのおすそ分け」として離島に物資を投下したことから始まりました。

     現在は、輸送機部隊による「低高度での物量投下訓練」という名目で実施しているクリスマス・ドロップ作戦。航空自衛隊は2015年から参加し、アメリカ空軍、オーストラリア空軍(2020年は不参加)とともに南太平洋の島々に住む、およそ2万人の住民へクリスマスの支援物資を届けています。



     今年は世界的な新型コロナウイルスの感染拡大により、これまでとは異なる形になりました。支援物資を受け入れるミクロネシア連邦政府が、健康上の懸念から一部の島々への物資投下を辞退したのです。

     その島々へ届ける予定だった物資は、パラオ共和国へ贈られることになりました。パラオの7つの島へ物資を届けるのは、航空自衛隊の第401飛行隊とアメリカ空軍の第36空輸飛行隊が担当します。

     届けられる物資は新型コロナウイルス汚染を防ぐため、アメリカ公衆衛生当局の指針に従って消毒された後、汚染のない環境で24時間以上保管してウイルスが存在しない状態にした上で注意深く梱包されました。パラオ向けの物資はさらに厳密に、消毒された場所で最低72時間の保管が実施されています。

     支援物資の梱包を輸送機に積み込み、作戦の始まりを告げる「プッシュオフ・セレモニー」に際し、作戦の指揮を執るアメリカ空軍第36航空団司令官のジェレミー・スローン准将は「世界的な新型コロナウイルスの感染拡大は、我々から様々なものを奪いましたが、この季節にプレゼントを届ける気持ちは押しとどめられませんでした」と語り、クリスマス・ドロップ作戦を始める強い意志を示しました。


     島々へ届けられる支援物資は、救急用品や長期保存のできる食料品のほか、学用品やおもちゃなど。軍や民間ボランティアから寄付された品々です。


     スローン准将は「2020年も年末となり、大きな不確実性とともに、社会的、物理的に離れ離れとなった1年が終わろうとしています。クリスマス・ドロップ作戦は、希望と人間性の道しるべとなり、我々のコミュニティや地域、そして世界的な連帯に光を当てるものです。また、一部の島には物資を届けることができませんが、我々はサンタクロースのように、いつでも届けられるように準備しています」と語り、状況が好転すれば、今回支援物資を届けられなかった地域へも届ける姿勢を明らかにしています。


     2020年のクリスマス・ドロップ作戦は、12月7日から10日まで実施され、太平洋の島々へサンタクロースのように空からプレゼントを届けます。

    <出典・引用>
    アメリカ空軍 ニュースリリース
    Image:USAF

    (咲村珠樹)

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