周りに何もない宇宙というところで活動する宇宙飛行士にとって、食事というのは数少ない楽しみの一つです。今はNHKの連続テレビ小説「まんぷく」のモデルになった会社が開発した「宇宙食ラーメン」をはじめ、宇宙日本食のメニューも豊富になっている時代。そんな「宇宙食」に注目した企画展「宇宙(そら)の味ー宇宙日本食と食品保存技術ー」が、千葉県市川市の千葉県立現代産業科学館で10月13日から開催されています。
宇宙での食事は、無重量状態でものが飲み込めるのか、という実験から始まりました。最初の頃の宇宙食は栄養補給に重点を置いていたために、見た目や味の点でイマイチで、サンドイッチを隠し持って飛んだ宇宙飛行士(1965年ジェミニ3号のジョン・ヤング)もいたくらいです。それが今や「宇宙日本食」として、お餅(越後製菓)やバランス栄養食(大塚製薬)、サバの味噌煮缶(マルハニチロ)に柿の種(亀田製菓)までが加わるようになりました。
この企画展では、JAXAに認証された「宇宙日本食」をはじめ、アメリカやロシアの宇宙食を展示。なかでも、普段目にする機会の少ないロシアの宇宙食展示が充実しています。真空パックだけでなく、プルタブ式の缶詰など様々な包装にも注目したいところ。また、ファストフードとしてロシア国内の自販機で買える宇宙食も展示しています。
宇宙食はある意味、究極の保存食ともいえます。そこで、鰹節や塩引き鮭、鮒ずしなど日本に古くから伝わる保存食も展示し、宇宙食とのつながりについて考えることもできるようになっています。また、現在JAXAからの認証を受けるべくオリジナルの宇宙食開発に挑戦している、福井県立若狭高校の取り組みやその製品も紹介。このほかにも、災害時に備えたフィンランド製の乳児用液体ミルクをはじめとした保存食についても紹介しています。
2018年10月13日~12月2日の会期中、土日や祝日には、JAXAによる宇宙日本食講座や、鰹節、だしなどを使った教室、缶詰の巻締め実演といった関連行事も開催。身近な保存食から宇宙食まで、食べることについていろいろな見方を提供してくれる企画展です。
■千葉県立現代産業科学館企画展「宇宙(そら)の味ー宇宙日本食と食品保存技術ー」
会期:2018年10月13日~12月2日(月曜日休館)
入場料:一般500円(20名以上の団体400円)/高校・大学生250円(20名以上の団体200円)
※中学生以下、65歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方と介護者の方は無料
※11月3日(文化の日)は入場無料
アクセス:JR総武線 下総中山駅・本八幡駅 徒歩15分/京成電鉄 鬼越駅 徒歩13分
千葉県立現代産業科学館公式サイト:http://www2.chiba-muse.or.jp/www/SCIENCE/
情報提供:千葉県立現代産業科学館
(咲村珠樹)