全国最多の名字で、約200万人いるとされている「佐藤」姓。ちなみに、筆者も佐藤姓ですが、栃木県佐野市が、「佐藤さんゆかりの地 聖地化プロジェクト」を3月10日に始動。同日から「佐藤の会」を発足しました。な、なんと……!

 「佐藤」姓は、平安時代に佐野で活躍し、平将門の乱を鎮めたとして知られる藤原秀郷(ふじわらのひでさと)公の末裔であることを表すために、「佐野の藤原氏」で「佐藤」とする説があります。

 NHK「日本人のおなまえっ!」にレギュラー出演し、著書「全国名字大辞典」や「名字でわかる あなたのルーツ」などを出版している姓氏研究家の森岡浩さんは、「『佐藤』の『佐』については、大きく2つの説に分かれ、佐渡守をつとめたことに由来する説と、 下野国の佐野に由来する説があります」と話し、「これらの説の共通点を考えると、武家となっていた佐藤氏にとっては、すでに伝説の武将と化していた藤原秀郷に由来を求めたと考えるとすっきりします」と、自身の見解を述べています。

 さらに、「佐藤一族が名乗った『佐』の由来を藤原秀郷に求めるのであれば、藤原秀郷が居城を築いたと伝わる唐沢山は栃木県佐野市にあり、深い関係がある佐野の『佐』であると捉えるのが合理的です」と語っています。

 このような由来を活用し、佐野市では「佐藤さんゆかりの地 聖地化プロジェクト」を展開。全国的な人口減少、少子高齢化が進行する中で、関係人口を拡大させて、地域振興の創出、そして藤原秀郷公が残した歴史・文化的財産や、佐野市の魅力を発信していくとのこと。

 「佐藤さんゆかりの地 聖地化プロジェクト」は、佐野市の新しい関係人口の拡大を目的に、佐藤さん“始まりの地”とされる唐沢山城跡(からさわやまじょうあと)を、全国の佐藤さんとともに聖地化していく「佐藤の会」を3月10日に発足。新しい地域振興の創出につなげて佐野市を活性化させるために、2020年度から佐藤さんと佐野市民をつなぐ“接点”を創出していく予定です。

 佐野市長の岡部正英さんは、「全国的な人口減少、少子高齢化が進行する中で、佐野市は関係人口を拡大させて、地域振興の創出につなげることが必要」と言い、「そのために、新たな切り口となる『佐藤さんのふるさと』づくりを推進することで、全国約200万人の佐藤さんや、この取り組みに関心を持っていただけた方々とつながっていければと考えています」とコメント。

 また、「『佐藤さんゆかりの地 聖地化プロジェクト』を通して、藤原秀郷公が残した歴史的・文化的財産や、佐野市の魅力を知ってもらえると嬉しいです。全国の佐藤さんを本市を挙げてお待ちしております」と話しました。

 「佐藤の会」では、佐野市の新しい関係人口拡大を目的に、佐藤さん“始まりの地”とされる唐沢山城跡を、全国の佐藤さんとともに聖地化していくために、会員を募集中。会員の種類は、年会費の代わりにふるさと納税を活用して佐野市に5000円以上を寄附するプレミア個人会員と、年会費無料の個人会員の2種類を用意。プレミア個人会員からの寄附は、「佐藤の会」の運営費などに充てられます。

 「佐藤の会」発足を記念して、先着310名にプレミア個人会員の年会費が1年間無料になる「『佐藤の会』発足記念 先着310名 年会費無料キャンペーン」を、3月10日~3月31日まで実施。申込者には、天明鋳物(てんみょういもの)製の“佐藤の会”オリジナルピンズと、プレミア個人会員会員証が贈呈されます。

 ちなみに、「天明鋳物」は、千年の歴史と伝統を持ち、現在も続く佐野市の伝統工芸品。藤原秀郷公が平将門討伐の際に、鋳物師を集めたことに由来し、特に茶の湯釜は「西の芦屋に東の天明」と言われ、千利休や豊臣秀吉、徳川家康が愛した名品です。

情報提供:佐野市

(佐藤圭亮)