一見、普通の猫のフィギュアに見える作り物の小さな猫。このままブローチになっていてもおかしくないのですが、実はこれ、お菓子なんです。

 チョコフィギュアという、チョコレートでできた緻密なつくりのフィギュアを作っているのは、パティスリーで働きながら、個人で「フリーパティシエ」としても活動中のフィギュアパティシエのranranさん。

「チョコフィギュアの猫

しっぽ除いて3cmほどのプチフィギュア。
通販で販売したいと思っておりますっ」

 と、2枚の写真をツイッターに投稿。猫好きの筆者、あまりにも猫なフィギュアに「ホントにチョコでできているの??」と驚きを隠せませんでした。同時に、猫好きの血が騒ぐ……。お取り寄せしたい!でも食べるのかわいそうになりそう!これは……葛藤が大変な事になるやつだ!!しかしこんな可愛く緻密な、しかも彩色も完璧なチョコ……どうしたら出来上がるの!?

 そこで、ranranさんにチョコフィギュアを制作するに至った事など根掘り葉掘り聞いてみました。

 ranranさんは、5年前に製菓学校を出てパティスリーに就職。そのパティスリーはオーダーメイドの特別なケーキを作る機会の多いケーキ屋さんだったのだそう。様々な造形をケーキで表現するのに使われるのが、チョコレートの飾り。ただの飾りではなく、緻密な形のフィギュアとして造形していく事も多いパティスリーだった事から、ranranさんも徐々にその技術を身につけていきました。

 オーダーメイドのケーキは様々な造形に対応するため、お値段も高くなりがち。それでもとても特別な日などに、思い入れのあるものやキャラクターなどをオーダーする人も少なくないのだそう。そんな大型ケーキや高級ケーキは、複数の職人で作り上げられます。

 そんな高級オーダーケーキに使われるようなフィギュアを少しでも手の届きやすいように、身近に楽しんで頂けるようにと、ここ半年~1年ほど前からインターネットでの個人活動を始めました、とranranさん。

 このチョコフィギュアは、基本的にはホワイトチョコを元に作りたいものの色に着色したものを、粘土細工のように練って成形していく手作業で出来上がっています。ホワイトチョコがカラフルな粘土のようになり、そこから細かい作業に入っていくので、温度管理が難しく扱いにくいそうですが、出来上がったチョコフィギュアはキャラクターそのままの造形。

 基本的に、写真資料を見ながら手作業で成形していくので、「知らないキャラクターや、複雑な服装の人形などは、10~20時間かかるものも少なくありません。ケーキを含めると、何十時間かかったか…というレベルですね」との話。……何とも気が遠くなりそうな作業です。ちなみに、この猫のミニチョコフィギュアの様に姿形を把握していて、ミニサイズで比較的簡素に作った場合は1~2時間で作れるそう。

 個人的に作ったものはツイッターやインスタグラムに出来上がりをアップしているというranranさん。インスタグラムには個人製作した作品がズラリ。これが、チョコでできているって!?と思わずびっくりするような造形の作品ばかり。お菓子の城からキャラクターもの、そしてゴシックファンタジーな雰囲気を醸し出すお城のウエディングケーキも。思わずみとれてしまいました……。

 こんな素敵な作品を作り出せるパティスリーが近くにあったら良かったのにな、そしたら好きなキャラクターのケーキを何かの記念の日に作ってもらうのにな。そう思わずにはいられない作品ばかりのranranさんのミニチョコフィギュアは、クリエイターズマーケットで販売を考えているそう。販売開始が待ち遠しくなりますね。

<記事化協力>
ranran・フィギュアパティシエさん(@ranran_cakes)インスタグラムはranran_cakes

(梓川みいな)