2020年6月28日、横須賀に前方配置されているアメリカ海軍の空母ロナルド・レーガンが、同じ太平洋艦隊に所属する空母ニミッツとグアム近傍のフィリピン海で共同訓練を開始しました。アメリカ太平洋艦隊の空母2隻が共同訓練を実施するのは2週連続で、中国の動きが目立つ中、アメリカ軍も活動を活発化させています。
空母ロナルド・レーガンは5月末に横須賀を出航。巡洋艦アンティータム、駆逐艦マスティンとともに、これまで沖縄を経て東シナ海やフィリピン海で空母打撃群としての訓練を重ねてきました。
一方の空母ニミッツは、6月8日に母港のカリフォルニア州サンディエゴを出航。第11空母打撃群を形成する巡洋艦プリンストン、駆逐艦スティレットとラルフ・ジョンソンを伴って太平洋を西進し、6月21日~23日には同じくサンディエゴから西太平洋に派遣されている空母セオドア・ルーズベルトとの訓練を実施しています。
空母ニミッツはセオドア・ルーズベルトとの訓練後、6月24日にグアムへ寄港。補給と短い休息を経て、再び海へ戻りました。寄港した海軍のグアム基地は、徹底した消毒と検疫体制が整えられ、現在は新型コロナウイルスの感染がない「安全港(Safe Haven Liberty Port)」となっています。
今回の訓練は、ニミッツ空母打撃群としてはセオドア・ルーズベルト空母打撃群とに続いて2週連続、ロナルド・レーガン空母打撃群にとっては、2018年にジョン・C・ステニス空母打撃群と実施して以来の空母打撃群同士の共同訓練となりました。
ロナルド・レーガン空母打撃群司令官、ジョージ・ウィコフ少将は「我々はあらゆる機会を積極的に模索し、全領域における戦闘任務遂行に必要な能力を強化しています。アメリカ海軍は常に即応状態にあり、世界各地に展開しています。今回のような2つの空母による共同訓練は、このインド太平洋地域における同盟国に対し、アメリカが迅速に戦力を展開可能であり、地域の平和と安定を保障する国際規範に挑戦しようとする全ての存在に対して立ち向かう、という姿勢を示すものです」とのコメントを発表しています。
ニミッツ空母打撃群司令官のジェームズ・カーク少将も「海洋の自由を守るため、これほどの規模で戦力を安定して展開できるのは、アメリカ海軍をおいてほかにありません。世界中にいる1万人以上の兵力が一致団結し、任務にあたることで、どのような事態にも対応することが可能なのです」と、アメリカ海軍の能力についてコメントしています。
インド太平洋地域で、2つの空母打撃群が2週連続で共同訓練を実施するというのは、21世紀に入っては初めてのこと。周辺で中国などの海洋進出が活発化し、地域の平和と安定が揺らぎつつある現状に対し、アメリカが積極的に関与するという姿勢を明らかにするものといえるでしょう。
<出典・引用>
アメリカインド太平洋軍 ニュースリリース
Image:U.S.Navy
(咲村珠樹)