おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

第二次大戦中のソ連装甲列車BP-43のレプリカ完成 モスクワ愛国者公園に展示

 第二次世界大戦中にソ連が運用した装甲列車。その決定版ともいえるBP-43のレプリカが完成し、2020年10月3日(現地時間)に展示先となる、モスクワ郊外の「愛国者公園」でロシア国防省への贈呈式が開催されました。牽引する装甲蒸気機関車も実際に蒸気をあげ、走行可能に作られています。

  •  装甲列車BP-43は、大祖国戦争(第二次世界大戦の独ソ戦)中の1942年~1944年に、全部で21編成が製造されました。それまでの戦訓から、1両あたり2つ設けていた回転式砲塔の設計をやめ、76mm砲を搭載したT-34戦車の砲塔を1両当たり1つとし、車両の軽量化とダメージコントロールの向上を目指したものとなっています。


     贈呈式で、ロシア国防副大臣のアンドレイ・カルタポロフ大将は「トゥーラの職人による尽力のおかげで、ここ愛国者公園の中央展示エリアに伝説的な「勝利の兵器」、最も強力な装甲列車であるBP-43のレプリカを展示できることになりました」と挨拶し、レプリカ作成に尽力した人々に感謝を捧げています。



     今回製作された装甲列車BP-43のレプリカは、牽引する装甲蒸気機関車兼司令車と火砲車、対空機銃車に装甲貨車の編成。蒸気機関車はボイラーが健在で、実際に蒸気で走行できるもの。


     展示場所となる特設ホームでは、煙突から煙がたなびき、排出された蒸気も白い湯気になって漂う……という当時を思わせる光景。車両には当時のソ連軍(赤軍)に扮した人々が乗っており、装甲貨車には負傷兵と従軍看護婦の姿も。


     式典では戦争当時、BP-43が飛行機から攻撃された際の対空戦闘を再現したリナクトメントも実施。飛来した飛行機に対し、対空機銃を向ける様子を見せていました。



     自分が生まれる遥か前にあった鉄道車両、しかも現在は存在しない装甲列車ということもあり、子どもたちも興味津々。車両の内部を覗き込む様子も見られました。

     2015年に開設され、少しずつ展示品が増えている愛国者公園。新たに加わった装甲列車BP-43のレプリカも、人々に戦争の歴史を伝える大事な役割を担うことになります。

    <出典・引用>
    ロシア国防省 ニュースリリース
    Image:ロシア国防省

    (咲村珠樹)

    あわせて読みたい関連記事
  • INCSEAの合意書に署名するアメリカ(左)ロシア(右)両海軍の代表(Image:U.S.Navy)
    宇宙・航空

    アメリカ海軍とロシア海軍 海上事故防止の定期協議を開催

  • 赤の広場を進むT-34戦車の一群(Image:ロシア国防省)
    宇宙・航空

    当時の戦車も参加!対独戦勝記念日にロシア各地で軍事パレード

  • 実家から見つかった十四年式拳銃(でみすけさん提供)
    宇宙・航空

    実家で旧日本軍の拳銃発見 警察に届け出た結果「やっぱこれか」

  • 北極圏に試験配備されたMiG-31BM(Image:ロシア国防省)
    宇宙・航空

    めちゃ寒い!ロシア北極圏防空のMiG-31試験派遣部隊が第2陣と交代

  • 宇宙・航空

    ロシアの次世代ロケット「アンガラA5」6年ぶり2回目の打ち上げ試験に成功

  • 宇宙・航空

    ロシアの通信衛星「Gonets-M」と軍事衛星「ERA-1」打ち上げ成功

  • 宇宙・航空

    アメリカ駆逐艦が日本海で「航行の自由作戦」 ロシアは失敗と発表もアメリカは否定

  • 宇宙・航空

    ロシア軍向けの最新大型輸送機Il-76MD-90Aの1号機が完成

  • 宇宙・航空

    第3世代のロシア版GPS「GLONASS-K」3号機打ち上げ成功

  • 宇宙・航空

    「国際シェフの日」を祝い各地のロシア軍部隊がごちそう作り

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み
    エンタメ, 芸能人

    松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み…

  • 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

  • 11月17日からの平日限定で、「かっぱの挑戦 感謝祭」をスタート
    イベント・キャンペーン, 経済

    かっぱ寿司、おにぎりとかけうどんが平日限定で各82円に 「かっぱの挑戦 感謝祭」…

  • 「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる
    エンタメ, 映画

    「ウォーキング・デッド」特化オークションが初開催 総額3億円超の落札集まる

  • ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設
    企業・サービス, 経済

    ヤマト運輸、「当日配送サービス」開始 同一都道府県内運賃も新設

  • 嵐・四宮社長が偽アカウント多発に注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定もなし」
    エンタメ, 芸能人

    嵐・四宮社長が偽アカウント多発で注意喚起 「来年のツアー用新アカウントの予定も現…

  • トピックス

    1. 汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      汗冷え対策は「ヒートテックの下にエアリズム」 ユニクロ公式発の裏ワザが再び話題

      屋内と屋外で寒暖差が大きく、着る服に悩みがちなこの季節、SNS上で「エアリズムの上にヒートテックを着…
    2. 「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      「ドラクエ7リメイク」にキーファ再会エピソード追加 衝撃展開にSNSでは「恨み節」も

      2025年11月12日午前7時に配信された「State of Play 日本」にて、「ドラゴンクエス…
    3. アカウント1の投稿

      【前編】それでも私は、書くことを選んだ―― Temu不審アカウントに挑んだ無名記者の記録

      ある日の調査作業の過程で、SNS「X」上において、急成長中の越境EC大手「Temu」のサポート担当を…

    編集部おすすめ

    1. 松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      松山ケンイチ「誰も傷つけない悪口選手権」を開始 SNS時代に投げかける新たな試み

      俳優の松山ケンイチさんが11月17日、自身のXアカウント「松山ケンイチ(@K_Matsuyama2023)」でユーモア企画「誰も傷つけない悪…
    2. 悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      悔しさと葛藤を語った「シテの花」作者 掲載順問題が大きな反響呼ぶ

      小学館「週刊少年サンデー」で連載中の漫画「シテの花 -能楽師・葉賀琥太朗の咲き方-」の作者・壱原ちぐささんが11月17日、作品の掲載順に関す…
    3. 今年もやってきた“本番環境の事故録” Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      本番環境などでの失敗談が集結 Qiitaの「やらかしアドベントカレンダー2025」開幕

      稼働中のサーバーでの作業ミスによるトラブルの顛末をつづる「本番環境などでやらかしちゃった人 Advent Calendar 2025」が12…
    4. 床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      床掃除はおまかせ!「モップ機能つき生ルンバ」と化すビションフリーゼがかわいい

      頭をぐりぐり動かしながら、床の上を滑っていく1匹のワンちゃん。飼い主さんが「モップ機能つき生ルンバ」と呼ぶビションフリーゼ・せとくんの動画が…
    5. 工場労働者2138人、1万時間の作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場労働者2138人、1万時間の手作業映像をオープンソース化 ロボット向け学習に活用

      工場向け自動化ロボットの研究開発を行うテクノロジー企業、Build AIが、工場労働者2138人による合計1万時間の作業映像をオープンソース…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト