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アメリカ第7艦隊旗艦ブルーリッジ 就役50周年を迎える

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 神奈川県横須賀に前方配置されている、アメリカ第7艦隊の旗艦ブルーリッジが2020年11月14日、就役から50年を迎えました。実戦状態にあるアメリカ海軍艦艇で最も艦齢を重ねたブルーリッジでは、お祝いの飾り付けが実施されています。

  •  ブルーリッジ(LCC-19)は1970年11月14日、後に軍事海上輸送司令部司令官となるケント・キャロル大佐(当時)を初代艦長に迎え、建造されたペンシルベニア州のフィラデルフィア海軍造船所で就役しました。名前の由来はアパラチア山脈を形成するブルーリッジ山脈からで、全長193.2m、排水量1万9000トンクラスという、ブルーリッジ級揚陸指揮艦の1番艦。姉妹艦にマウント・ホイットニー(LCC-20)がいます。

     ブルーリッジ級揚陸指揮艦は、アメリカ海軍における揚陸(水陸両用)作戦の前方司令部となるために設計されたもの。武装の代わりに指揮・通信設備などの司令部機能が充実した、まさに艦隊の旗艦となるべく誕生した船です。

     第7艦隊水陸両用部隊の旗艦として実任務に就いたのは1972年。同年3月末から始まったベトナム戦争の「イースター攻勢」が初陣となり、4月~7月の期間における揚陸作戦の指揮をとりました。


     横須賀にブルーリッジが前方配置されるようになったのは、1979年12月から。同時に、退役する軽巡洋艦オクラホマシティ(CL-91)に代わり、第7艦隊の旗艦となりました。

     またこの間、ベトナムを逃れてきたボートピープルの救出活動や、インド太平洋地域における災害時の支援活動も実施してきました。2011年の東日本大震災でも、第7艦隊司令官専用ヘリコプターまで動員し、支援物資の輸送に従事しています。

     第7艦隊司令官のビル・マーツ中将は「私たちの旗艦として、これ以上の船はありません。毎年、最大の前方艦隊の作戦を可能とし、同時に共同任務や多国間共同訓練、そして災害救援活動に従事してきました。ブルーリッジは、この地域で長い年月を過ごしており、誰もがその名を知っています」と語り、ブルーリッジが50年間果たしてきた役割を称えています。



     2019年12月からブルーリッジ艦長を務めるクレイグ・シコラ大佐は「艦隊で最古参の船ですが、今でも新品のように航行することができます。これは地元横須賀の皆さんによる支援なしには不可能なことです。40年以上にわたり、地元のメンテナンス施設やコミュニティの皆さんは、この船を運用可能な状態に維持し、いつでも地域に貢献できるようにしてくれています」と、ブルーリッジを支える横須賀海軍施設(CFAY)の人々の献身に感謝するコメントを発表しました。

     アメリカ海軍籍にある「現役艦」として最古参は、ボストンにある帆走フリゲートのコンスティチューション(1797年就役)ですが、これは記念艦として動態保存されているもの。ブルーリッジは実戦状態にある艦として最古参となりますが、まだまだ現役にとどまり、横須賀を拠点に活動を続けます。

    <出典・引用>
    アメリカ海軍太平洋艦隊 ニュースリリース
    Image:U.S.Navy

    (咲村珠樹)

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