イギリス陸軍のロイヤル・スコットランド連隊で、軍楽隊の指揮者役「ドラムメジャー」とコンサートマスター役の「パイプメジャー」を、兄弟が同時に務めることになりました。これはロイヤル・スコットランド連隊で史上初のこと。イギリス陸軍によると、数百年に及ぶ陸軍全体の歴史でも初めてのケースではないかとのことです。

 ロイヤル・スコットランド連隊は、スコットランドの戦列歩兵連隊らを再編し、2006年に発足した部隊で、部隊の所有者であるカーネル・イン・チーフはエリザベス女王。連隊本部はエディンバラ城に置かれ、ロイヤル・スコットランド連隊軍楽隊は、毎年エディンバラ城で開催される世界的な軍楽隊のフェス「エディンバラ・ミリタリー・タトゥー」でホストを務めます。

ルアリド・グラント軍曹の指揮で行進する第4歩兵大隊(4 SCOTS)の音楽隊(Image:Crown Copyright)

 ロイヤル・スコットランド連隊では、各大隊にマーチングの指揮をする「ドラムメジャー」と、バグパイプ奏者のトップである「パイプマスター」がいます。今回、兄弟で初めて同時に務めることとなったのは、パイプメジャーのピーター上級軍曹(33歳)とドラムメジャーのルアリド軍曹(28歳)のグラント兄弟。

 スコットランドのブレイマー出身で2005年と2010年に陸軍に入隊した兄弟は、キャタリックの歩兵訓練センターで開催されたパレードで、初めて同じ第4歩兵大隊(4 SCOTS)のドラムメジャーとパイプメジャーとして共演しました。一足先にパイプメジャーとなっていたピーター上級軍曹は、2021年4月にウィンザー城内の聖ジョージ礼拝堂で行われたエディンバラ公フィリップ王配の葬儀で、カーネル・イン・チーフであるフィリップ王配の魂に捧げる演奏をする「ローンパイパー(独奏者)」の大役も務めています。

ドラムメジャーとして行進を指揮するルアリド・グラント軍曹(Image:Crown Copyright)

 ピーター上級軍曹は「10代の頃から4 SCOTSのパイプメジャーを夢見てきました。1年以上前に念願のパイプメジャーに就任したとき、まさか弟が同じ隊のドラムメジャーになるなんて思いもよらぬことでした。これにより、私のパイプメジャーとしての任期は、いくぶん特別なものになるでしょう。先週、一緒にパレードをしたのはとても心地よい経験でした。弟は素敵なドラムメジャーと言わざるをえません!」と、望外の喜びであると語っています。

パイプメジャーとして行進に参加するピーター・グラント上級軍曹(Image:Crown Copyright)

 弟のルアリド軍曹は「私とピーターは4人兄弟の2人で、とても良い関係です。ピーターは一番上の兄で、私にいつもアドバイスしてくれます。兄はこの仕事に情熱を傾けており、それは何年も私を刺激してきました。先週、ともにパレードできて非常に誇らしい気持ちでした。私たち兄弟にとって忘れられない出来事です」と語っています。

ドラムメジャーとして行進を指揮するルアリド・グラント軍曹(Image:Crown Copyright)

 イギリス陸軍によると、兄弟が同じ部隊でドラムメジャーとパイプメジャーを同時に務めるのは、ロイヤル・スコットランド連隊だけでなく、イギリス陸軍全体でも史上初ではないかとのこと。今後グラント兄弟をはじめとする第4歩兵大隊の軍楽隊は、大作映画の撮影に参加するほか、休戦記念イベントで演奏し、2022年のコンテストシーズンに向け準備を進めるそうです。

<出典・引用>
イギリス陸軍
ニュースリリース
Image:Crown Copyright

(咲村珠樹)