おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

「在宅ワークは楽で勝ち組」なのか? とあるフルリモートワーカーの「抗議」

 コロナ禍により大きく普及した「在宅ワーク」。一方で現在はオフィスワーク回帰の流れとともに「在宅は楽で勝ち組」など、根拠のない風評まで流れつつあります。

 そんな状況に、フルリモートで仕事を行うTwitterユーザーが抗議の声を投稿。注目が集まりました。

  • 「在宅で楽な職種で勝ち組やねって言われたんやが楽なわけねーだろーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

     感嘆符であるエクスクラメーションマークを20個以上つけ、Twitterで在宅ワークに対する偏見への「抗議」を行ったのはmioさん。新卒から5年間Web制作関係の仕事に就いたのち、半年ほど前にフルリモートで勤務できる企業へ転職。以降は一度も出社せず、在宅で仕事をされています。

     「知人との会話の中で、『フルリモートで働くこと』が話題になったところ、『在宅なら楽に出来て勝ち組だよね』と言われまして。実際に働く身としては、そうとは感じられなかったんです」

     mioさんの仕事は、様々なソースコードを駆使してデザインなどを制作するコーダー。そのため、パソコンとネット環境さえ整っていれば、仕事自体はどこにいても行えます。しかしそれは決して「楽な仕事」ではありません。

    ■ 在宅ワークならではの難しさ

     出退勤が不要のため、特に「時間的節約」に大きなメリットがあるのが在宅ワークです。

     反面それによる課題も少なからず存在。編集部の取材に対し、mioさんは、「切り替え」と「コミュニケーション」に難しさを感じていると言います。

     「私の場合、『仕事』と『プライベート』の切り替えが難しく、無限に仕事をしてしまいがちなんです。また、技術的に“詰まった”ときだと、オフィスのように気軽に質問をすることが難しく、チャットなどでアポイントを取って時間を作ってもらっています。そのため、『相談』のハードルがあがり、『会議(ミーティング)』も増えていますね」

     「そういった時に必要と感じているのが『テキスト・コミュニケーション』です。ただ、コミュニケーションというものは『一方通行』ではできません。相手側も最低限それが出来ないと、上手く取れないものです。人前で話すのが苦手な方がいるように、テキストでの『コミュニケーション』をとるのが苦手な人もいます」

    ■ 「特別な存在」なんかじゃない

     また、フルリモートワーカーのため、より「成果」を求められがちというmioさん。ちなみに筆者も2年半ほど同様の働き方をしていますが、今回のmioさんの発信はただただ共感しかありません。特に感じるのが、「特別な存在だから『ハイパフォーマー』であれ」という押しつけに近い感情。

     私の場合、特定企業に属さないフリーランス(パラレルワーカー)のため、それはある意味必然ではあります。しかし、だからといって自分が特別な存在とは微塵も思っていません。そもそも仕事をする以上、安定したパフォーマンスを残すのは至極当然の話です。

     一方、リモートワークが普及したとはいえ、たとえばサービス業や製造業など、物理的にそれが不可能な仕事は「コロナ時代」においても存在します。今後どれだけ技術が進歩しても、出社が不可避な仕事が消え去ることはないでしょう。

     それによるやっかみではないと思いますが、今回のmioさんの投稿のような発信をすると、一部から「出社より辛いアピールをしている」なんて声が寄せられます。

     しかし、わざわざ言うまでもありませんが、どのフィールドで行おうとも楽な仕事など存在しません。私も元オフィスワーカーなので、出退社って意外と運動になっていたなあと現在の体調管理の難しさをひしひしと感じますし、マーケティング関連の仕事も行っているため、外出だからこそ得られる「情報」の重要性にも気づかされたりします。

     「『リモートが出社より辛い』ということではなく、『リモートも楽ではない』という話ですね」

     今回の投稿意図について語るmioさん。何かを持ち上げるため、何かを卑下するのは日本の悪しき風習ですが、昨今は多様性が叫ばれる時代です。こと「働き方」についても、同様の対応をとってもいいのではないでしょうか。

    <記事化協力>
    mioさん(@mioyucco)

    (向山純平)

    あわせて読みたい関連記事
  • 世界初の4人乗り4足歩行ロボット (c)2025 三精テクノロジーズ株式会社
    イベント・キャンペーン, 経済

    4人乗りロボや対話AIも登場 「ビジネスチャンス EXPO」東京ビッグサイトで開…

  • 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え
    エンタメ, 芸能人

    松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超…

  • 「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題
    企業・サービス, 経済

    「ジョブ型雇用の今」調査レポート発表 評価報酬制度などに課題

  • 三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プロジェクト」開始
    イベント・キャンペーン, 経済

    三井住友海上が挑戦を後押しする目標設計ダイアリーを無料配布 「やってみるカメ?プ…

  • 「出勤日」が「出難日」に
    インターネット, おもしろ

    会社のホワイトボードにまさかの書き間違い 「出勤日」が「出難日」に

  • アメリカンビレッジ
    イベント・キャンペーン, 経済

    ウェルビーイングな働き方を体験 補助金が適用される「沖縄ワーケーション促進事業モ…

  • チャットツールの謎マナー……メンションする際に"さん"付けする?しない?
    インターネット, 社会・物議

    チャットツールの謎マナー……メンションする際に「さん」付けする?しない?

  • 我が家に突撃してきた若いマンション営業マン
    インターネット, おもしろ

    訪問営業を撃退する妻と営業マンを不憫に思う夫 「妻に共感」と「営業マンに同情」の…

  • LINEの起動画面の画像
    ライフ, 雑学

    LINEの返信が遅い人に「イラつく!?」 対する返信遅い人の言い分は……

  • 【体験談】超安定の公務員からフリーランスになって2年 何が変わった?
    ライフ, 雑学

    【体験談】超安定の公務員からフリーランスになって2年 何が変わった?

  • おたくま編集部Editor

    記事一覧

    おたくま経済新聞・編集部による監修or執筆

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    民放連、アニメ作品の“そっくり映像”出回り懸念 生成AIに声明

  • 欧州連合の旗(写真ACより)
    インターネット, 社会・物議

    EU、ネット上での児童性被害対策を強化 日本企業にも影響広がる可能性

  • ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応
    ゲーム, ニュース・話題

    ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

  • ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品
    商品・物販, 経済

    ロッテ「雪見だいふく」が立体パズル化 メガハウスが11月下旬に新商品

  • 100tハンマー
    アニメ/マンガ, イベント・キャンペーン

    伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで…

  • 韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目
    商品・物販, 経済

    韓国発の人気激辛「ブルダック」がじゃがりこに 1年4か月かけた再現度に注目

  • トピックス

    1. 善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      善意の通報が“誤報”に変わるAI時代 女川町のクマ騒動が示した危険性

      宮城県女川町が11月26日、公式Xで発信した「クマ出没情報」が、後に「生成AIによるフェイク画像」に…
    2. 派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      派手なピンクに「マヂでアゲ」……道端に突如現れた「ギャルすぎる工事看板」が話題

      「とても茨城県」というつぶやきとともに、Xに投稿された一枚の写真。そこには、一般的な工事現場のイメー…
    3. この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      この涙は懐かしさ……なのか? 展示「あの職員室」で特大感情を揺さぶられたレポート

      学生時代、入りたくても入れない「聖域」のような場所だった職員室。その風景を再現し、自由に探索できる展…

    編集部おすすめ

    1. ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      ホロアースNPCに「事件に関係した実在人物想起」と指摘 運営が謝罪し削除対応

      バーチャルタレント事務所「ホロライブプロダクション」を展開するカバー株式会社は公式Xにて11月25日、同社のバーチャル空間プロジェクト「ホロ…
    2. エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      エビの代わりに「パイの実」投入!ロッテ公式が送るエビチリアレンジに目を疑う

      ロッテは自社商品の各ブランドサイトで、アレンジレシピを公開しています。その中に「パイの実」をエビチリソースと卵で炒め合わせた「チリ玉パイの実…
    3. 100tハンマー

      伝説のコンビを追体験 40周年「シティーハンター大原画展」上野で12月28日まで開催

      「シティーハンター」連載開始40周年を記念した原画展「シティーハンター大原画展~FOREVER, CITY HUNTER!!~」が、11月2…
    4. 宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      宝塚・宙組特別メニューから“酢”消える 「酢が退団?」とSNSざわつく

      11月22日午前、X(旧Twitter)のトレンドに「宙組公演特別メニュー」が一時浮上し、ファンの間で大きな話題となりました。きっかけとなっ…
    5. ミラノで開催「IQOS Curious X Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      ミラノで開催IQOS X SELETTI「Sensorium Worlds」現地取材 五感に響いたIQOSの“世界観”

      フィリップ モリスが、イタリアでイベント「Sensorium Worlds」を開催。今回は、この壮大なイベントの模様とともに「IQOS To…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト