ガラス細工作家の「Utsusemi_Glassart」さんは、植物を中心に日常にあるものを耐熱ガラスで立体に表現している作品を制作しています。

 Twitterに投稿された作品は、花やザクロなど透明感があり繊細に表現されていて、ついのぞき込みたくなってしまいます。素敵な作品を生み出す、その秘密について話をうかがいました。

 現在、理化学ガラス製造の会社に勤務しているUtsusemi_Glassartさん。ガラス細工をはじめたきっかけは、年1回出展している会社の展示会ブースで、恒例となっているガラス細工の実演を担当したからなのだとか。

UtsusemiGlassさん提供:バラ

 「主に3種類のガラスオブジェ、ブーツ、ランプ、バイオリンのガラス細工の実演を担当社員が交互に行うのですが、そこでオリジナルの物を作りたいと思い、小さな薔薇の花をつくったところ、ブースを訪れた方々に思いのほか好評だったので、もっと精巧に作ったらどうなるだろうと思い、現在に至っています」

UtsusemiGlassさん提供:作成手順

 花をモチーフにしている作品が多いのは、もともと植物の写真作品を作りたいと思い、草月流の生け花を学んでいたのがベースになっているとのこと。花や植物ばかりでなく、身近な物で「ガラスで表現したら面白そう」と思えるモチーフがあったら、そちらも制作していると語ってくれました。

UtsusemiGlassさん提供:ザクロ

 作品づくりでは、単調な表現になりがちな透明なガラス管をあえて使い、精巧な表現をすることにこだわっているのだそう。パーツを細かく分け、光の反射や屈折を計算しつつ表面の質感や手触りを突き詰めた結果、よりきれいなガラス細工になるのだといいます。

 しかしその分ガラス自体に負担がかかり、制作途中でも割れやすくなっていて、完成直前に割れることも多いのだとか。育て上げた作品が完成直前に割れてしまったら、制作意欲を失い立ち直れなくなりそうです。

UtsusemiGlassさん提供:枯葉

 時には、1枚の枯れ葉を表現するのに何日もかかることもあるそうで、割れやすいことも含めて全体的にリスクの高い加工をしているとのこと。しかし、苦心しながらも透明なガラスでどこまで表現できるのか、いつも考えながら制作に取り組んでいるという姿勢には、クリエイター魂を感じずにはいられません。

UtsusemiGlassさん提供:金魚

  凍っている植物と見間違えてしまいそうな作品や、鱗やヒレが繊細で今にも動き出しそうな透明な魚。少しの不注意で割れてしまうガラスが、儚くも生命力に溢れる作品として生まれ変わるのですね。

UtsusemiGlassさん提供:エビフライ

 Utsusemi_Glassartさんによるガラス細工作品は、花や植物の他にも、キノコやスイーツ、ジュエリーや魚、エビフライといった食べ物まで実に多彩。作品はTwitterやInstagram(utsusemi_glasssculpture)にて、画像の他に動画でも発表されています。

<記事化協力>
Utsusemi_Glassさん(@UtsusemiGlass)

(戦魂)