おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

SNSでよくある「預金残高ヤバい額自慢」の画像ってどうなってる?再現してみた

 SNSを利用しているとたまにみかける「高額の預金残高」を見せびらかしている人。

 本稿の見出しに使った写真のような画像を見たことはないでしょうか。スマホやパソコンの中の画面に映し出された、エグいぐらいの預金残高。

 「すごい!こんなにお金が貯まるのか」と思った貴方は実にピュア。もちろん頑張ればそうなるのでしょうけど、実はこの手の画像は簡単に自作できるのです。

  • ■ よくある「預金残高」がすごいことになっている画像

     SNSで「札束画像」と同じぐらいよく見かける「預金残高」がものすごい額になっている画像。

     投稿者は基本「自分が成功者であること」などをアピールしつつ、「お金配り」をするときや、「セレブな生活を見せびらかす」投稿にそえてこの「預金残高画像」を掲載しています。

    【預金残高みせびらかしがちな人のプロフィール例】

    ▼男性起業家
    趣味:旅行/○○(海外)在住/若い頃人にだまされ自己破産→再起をかけがむしゃらに働き会社設立→年商300億達成!/現在:仕事をしながら旅行も楽しむ「旅する起業家」

    ▼大病わずらってる投資家(余命○年のパターンもあり)
    現在末期癌。投資で稼ぎ、総資産は790億円。生きているうちにより多くの人を助けたい

    ▼女社長
    起業家 2人の子供を育てるシンママ 資産40億 困っている人のために現金プレゼント♥

    ▼自由人
    好きなことだけして稼いでいます♥わたしの稼ぎ方はブログにて公開♥たくさんの教え子さんが毎月目標達成中♥人生変えたい人は私に連絡して!

    ※上記プロフィールは実際のものを参考に編集部で起こしたものですが、ほぼほぼこんな感じです。

    - - - - -

     どれもこれも立派なプロフィールですねぇ。ただし、ここで注意したいのが、「お金配り」や「儲け話」自体が嘘であることがほとんどだということ。

     かつて著名人らが実際に「お金配り」を行ったことはありますが、現在SNSで見かける「お金配り」はほぼ全て「詐欺」だと考えて間違いないでしょう。最終目的は個人情報(口座情報など)の取得や、悪質なサイトに誘導して登録させることが主。

     セレブな生活を見せびらかしているアカウントは、「楽して稼ぐための情報商材」などを売りつけることが目的。これがまた結構な額を支払わされるらしいのですよ。ちょっと聞いた話では30万~100万なんてケースも。

     しかしながら、やっぱり気になるのが「高額の預金残高画像」。これがあるだけで「お金配り」や「儲け話」の信ぴょう性が妙に高まってしまいます。

     見た人の中には、「きっとこの人はすごい儲けたんだろうな……」「加工じゃないっぽいから本物のお金持ちなんだ!」なんて信じ込んでしまう人が一定数いるはず。

     しかしこの手の画像、実は簡単に自作できてしまうわけなのです。つまり「フェイク画像」の可能性が高いんです。一見加工に見えないようになっているものでも、「実は加工済み」というものもあります。そこには詐欺師によるさまざまな工夫(悪知恵)がほどこされているからです。

     ではこの手の画像はどうやったら作ることができるのでしょうか?

    ■ 注意と本稿の主旨について

     次の項目から、詐欺犯が実際に行っているであろう手口を公開しますが、公開範囲はWeb知識や画像加工の知識がある人ならばすぐに想像出来る範囲となります。

     また、次の項に行く前に本稿の主旨について伝えておきたいことがあります。

     手口を公開することで「模倣犯」の可能性なども考えましたが、現在ネット上には多数の詐欺アカウントが存在しており、もはや普通に注意喚起したところで止められないところまで来ています。

     そこで「何も知らせない」でいるよりも、逆に公開して手口を広く知らせるほうが「抑止・防犯になる」可能性があるのではないかと考えました。詐欺をする人は、模倣するものがあろうが無かろうがするときはしますし、紹介する手口はさきほど紹介したとおり「少し知識のある人ならば想像つく範囲」だからです。(とはいえ迂闊に模倣しないよう)

     それに手口を記事として残すことで、少しでも不安におもった人が「検索」して答えを見つけやすい状況を作ることも防犯に繋がると考えています。

     そしてもう一つの目的であり、最大の目的が、詐欺師よりもずっと人数の多い「善意ある人たち」にこの手口を知ってもらうことです。手口を知ることで、より周囲に注意喚起がしやすくなるはずです。

     では次からいよいよ説明を……といきたいところですが、その前にしつこく注意を記しておきます。

    ※警告※
    今回は「報道を目的」に各種加工をほどこしましたが、いたずらに行うと重い罪(文書偽造など)に問われる可能性があります。特にだます目的ならその罪もより重くなります。知人間のジョークが目的だったとしても絶対に行わないようにしましょう。冗談では済みません。

    ■ 「預金残高」エグい画像を作る方法 <その1>「画像を加工する」

     まずは古典的に「画像を加工する」という方法です。色々と問題がありすぎるので詳しくは記載しませんが、まず画面キャプチャーを取得し、その後画像加工ツールなどで預金残高の箇所のみ加工するというシンプルな手法。

     その後その画像をスマホに転送すれば完成。加工したことで、若干のフォントや位置などの違いが生じるが、画像の解像度を上げすぎなければ大丈夫。そして肝心なのは、加工画像そのままを載せるのではなく、「画面を“写真”に撮って、その撮った写真の方を掲載すること」。

    残高がエグい事になっている状態その1

     加工画像を直接掲載してしまうと、分かる人にはすぐ加工が見破られてしまいます。一方、一度写真に撮って実写を挟むことで、それがやや分かりづらくなります。やってみて思いましたが、よく考えられた手口だなぁ、と感じます。

     その悪知恵をもっと良い方に使えばいいのに……!

    ■ 「預金残高」エグい画像を作る方法 <その2>「HTMLソースコードを編集」

     もう一つのパターンとして考えられるのが、預金画面のHTMLソースコードを編集するという手法。これも細かい説明は省きますが、いじることであっという間に金額をとんでもないことにできちゃいます。

     もちろん、この金額表示はあくまで自分のブラウザ上だけの表示。見せびらかし用に、あとは画面をキャプチャーすれば完了。HTMLをいじってあるので、フォント等も忠実に再現され、あたかも本物のように見えます。

     あとはスマホに画像を転送して、その1のように写真を撮るだけ。実際にある画面を撮るだけなんですが、これだけでリアリティが増すのは不思議です。ちなみにソースをいじってあるので写真撮影を挟む必要は実はありません。ただ詐欺師の間ではリアリティを求めるのか、わりとこうして一度撮影を挟むパターンが多いように思えます。

    残高がエグい事になっている状態その2

     以上の方法をつかえば、簡単に預金残高をエグい金額にすることが可能となります。つまり逆に言うと、簡単に金額を編集できてしまうので、「この人は凄いお金を稼いだんだー」とか「自分もそうなりたいんだー!」などと、安易にだまされないようにしてもらいたいです。

     仮に、この手の画像に騙され、相手にコンタクトを取ろうものならば、結局ズブズブとハマり、逆にお金を吸い取られ、痛い思いをするだけでしょう。

     うまい話はそんなにないので、地道に稼ぐのが一番。

    (たまちゃん)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一部始終
    インターネット, 社会・物議

    ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一…

  • 偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺
    インターネット, 社会・物議

    偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • 詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは(画像:PhotoACより)
    社会, 雑学

    詐欺電話に“うっかり出た”読者の実体験 あなたの不安に付け入る手口とは

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • 危険なウイルスに侵害というメッセージ
    インターネット, 社会・物議

    サイト閲覧中「危険なウイルス」警告、誘導先のアプリを入れるとどうなる?

  • 通知に偽装しているがメッセージは必死「とりあえず一つ返信してください」
    インターネット, 社会・物議

    「通知バッジ偽装型」のサポート詐欺、最近「必死」に誘ってくることが判明

  • B-CASカード販売サイトの画面
    インターネット, 雑学・コラム

    「BS/CSが無料で見放題」!?甘い言葉に潜むフィッシング詐欺の罠とは

  • ネット詐欺の対策にAIが有効?“相談相手”としての新しい使い方とは
    インターネット, 雑学・コラム

    ネット詐欺の対策にAIが有効?“相談相手”としての新しい使い方とは

  • たまちゃんWriter

    記事一覧

    元秒刊SUNDAYライター。炎上ネタからグルメネタまで得意とするも、現編集部(おたくま)では炎上ネタは封印。おだやかに書いております。静岡県浜松市在住です。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • 危険なウイルスに侵害というメッセージ
    インターネット, 社会・物議

    サイト閲覧中「危険なウイルス」警告、誘導先のアプリを入れるとどうなる?

  • 通知に偽装しているがメッセージは必死「とりあえず一つ返信してください」
    インターネット, 社会・物議

    「通知バッジ偽装型」のサポート詐欺、最近「必死」に誘ってくることが判明

  • iPhoneで、やりなおし・取り消しする方法
    インターネット, 雑学・コラム

    これは便利、iPhoneで簡単に「取り消し」「やり直し」をする方法

  • トピックス

    1. 定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      定番の「のり弁」が“冷やし”スタイルで登場?オリジン新作が猛暑に効く

      夏になると、どうしてもあっさりしたものばかり選びがち。そんな中、「のり弁を冷やして食べる」──気にな…
    2. カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      カレッタ汐留の「ハードコア立ち食いそば」が異次元すぎる 辛つゆと極硬麺がクセに

      東京・汐留の商業施設「カレッタ汐留」にある異色の立ち食いそば屋「そば さやか」がSNSで話題です。極…
    3. キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      キャラ画像の誹謗中傷利用に懸念、「ワタシってサバサバしてるから」公式が注意喚起

      漫画「ワタシってサバサバしてるから」の公式Xが8月5日、登場キャラクター・網浜奈美の画像を、誹謗中傷…

    編集部おすすめ

    1. 誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      誤使用で窒息やケガのおそれ ピジョン、「電動鼻吸い器SHUPOT」改良部品を無償配布

      育児用品メーカーのピジョン株式会社は8月6日、同社が2023年6月より販売している管理医療機器「電動鼻吸い器 SHUPOT(シュポット)」に…
    2. 怨念渦巻く家で、ナダルと村重杏奈が「リフォームホラーハウス」に挑む

      一軒家を魔改築する「リフォームホラーハウス」、MBSテレビで放送

      一軒家を丸ごとホラー仕様に魔改築する前代未聞のホラー×バラエティ番組「リフォームホラーハウス」が、8月8日と15日の深夜にMBSテレビで放送…
    3. RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      RTA in Japan、任天堂作品を2025年夏大会で除外 無許諾利用の指摘受け

      「RTA in Japan」は8月4日、2025年夏大会において、任天堂株式会社のゲームを利用しないことについて、経緯を説明。法人による任天…
    4. Nick Turley氏(@nickaturley)の投稿

      ChatGPT、週次アクティブユーザー7億人目前に 4か月で2億人増加

      米OpenAIが開発する対話型AI「ChatGPT」の人気が、再び急上昇しています。ChatGPTのプロダクト責任者であるNick Turl…
    5. 日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある“アボカドスキャナー”が便利すぎる

      日本でも導入して欲しい!北欧のスーパーにある「アボカドスキャナー」が便利すぎる

      アボカドはギャンブルです。スーパーなどで見かけても、どれくらい熟してるのかは見た目ではわかりません。触って確かめることもできますが確度は高く…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト