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天皇陛下の映像使った詐欺広告が出現 ネットでは「ダメだろ」など指摘や怒りも

 2023年のSNSといえば、欠かせない話題が「著名人を利用した詐欺広告問題」。著名人の写真や名前を無断で宣伝に使用したものですが、10月頃から天皇陛下のスピーチ映像を改変した、いわゆる「ディープフェイク(偽動画)」の詐欺広告がFacebookに出現。

 ネットでは「さすがにやりすぎ」「天皇陛下を利用するのはダメだろ」といった指摘や怒りの声があげられています。

  • ■ 多くの著名人がこれまで被害に

     SNSで横行している詐欺広告は主に、「投資」に関するもの。掲載されている場所の多くは、Meta社が運営するFacebookとInstagramです。

     この手の詐欺広告は前から多少存在してはいましたが、目立ち始めたのは2023年3月頃から。これまで実業家の堀江貴文氏、楽天・三木谷浩史氏、ソフトバンク・孫正義氏、ZOZOの創業者である前澤友作氏などの写真や名前が無断で使用されてきました。

     FacebookやInstagramにおける詐欺広告問題は、広告を出稿した広告主が悪いのはもちろんのこと、Meta社の広告審査の甘さも指摘されています。被害者の一人である前澤氏はこの点強く問題視しており、9月2日に自身のSNSを通じてMeta社に対し責任追及する姿勢を表明しています。

     しかしながら、その後もできては消えてを繰り返している、著名人を利用した詐欺広告。編集部ではこれまで、複数の詐欺広告から潜入を試みていますが、結果はもちろん全て黒。投資とは名ばかりで、金銭や個人情報をだまし取るのが目的でした。

     10月頃から登場している、天皇陛下のスピーチ映像を改変したディープフェイクでは、音声と口元の動きを加工。「このプラットフォームを全ての日本人におすすめします。ここでは投資を安定して簡単に増やすことができます」と語らせ、特定のサービスを推奨する内容となっています。

    実際にある詐欺広告

     この広告は、さすがに通報が殺到するのか、比較的短時間で消滅。しかし、これまでと同じく「できては消えて」を繰り返しており、かなり悪質です。

     なお、2023年12月13日に出現した際にも、編集部で潜入を試みています。まず最初に飛ばされるランディングページ自体がフィッシングサイト。ウイルス対策ソフトを使用している環境ならば即座にブロックされてしまいますが、スマートフォン経由の場合からだと踏んでしまう人は多いことでしょう。

     もしみかけることがあったら、通報だけにとどめて、決してクリック(タップ)しないように注意してください。

     そして本来ならば、Meta社による本腰を入れた対応にも期待したいところ……ですが、この1年観察し続けている限りでは期待できそうにもない、としか言えません。引き続き、ユーザー側の自衛が大切となってくるでしょう。

    ■ 潜入調査報告(詳細版)

    (1)Facebookにて、天皇陛下が登場するディープフェイク広告を発見

     広告内容は投資に関する特定のプラットフォームを推奨するもの。楽天の三木谷氏の名前を無断で使用し、三木谷氏が出稿しているかのように見せかけている。

     広告はニュース番組風に作られた動画がメイン。映像には天皇皇后両陛下が登場するものの、加工されたディープフェイク。口元と音声を加工した映像となっていた。

    詐欺広告

    【偽番組の音声書き起こし】
    ・コメンテーター
    「日本の天皇と皇后はミキーターニチに感謝のヤキを表し、プラットフォームを全ての日本人に推奨しました」
    (ミキーターニチ=おそらく「三木谷氏」/ヤキ=おそらく「意」)

    ・加工された天皇陛下の音声
    「このプラットフォームを全ての日本人におすすめします。ここでは投資を安定して簡単に増やすことができます」

    ・ナレーション
    「稼ぐには登録を済ませてマネージャーからの電話をお待ちください。マネージャーが個人工作の有効化とプログラムの使い方をサポートします」
    (個人工作=おそらく「個人口座」)

    (2)広告をクリックするとランディングページ(LP)へ移動

     広告をクリックするとランディングページ(LP)へ移動させられる。ランディングページには、三木谷氏の写真や名前を勝手に掲載。

     内容は、「三木谷浩史が開講した無料の投資教室」への勧誘。「先生のLINE」登録をするよう促しており、この時点で広告とはかなり話が違う。

     プラットフォームの登録については話がなし、さらにマネージャーが間に入るのではなく、三木谷氏直接のやりとりという内容に変わっている。

     なお、このランディングページ自体、ウイルス対策ソフトによっては「フィッシングサイト」の警告が出る。

    ランディングページ

    (3)「みきたに ひろし」と名のる、偽三木谷氏のLINEアカウントとフレンドになる

     ランディングページにあった「先生のLINE」から誘導されたのは、「みきたに ひろし」と名のるLINEアカウント。もちろん偽三木谷氏。

     余談だが、編集部では詐欺アカウントに度々接触しており、接触用のLINEアカウントがある。三木谷氏を騙るアカウントとのフレンドはこれで3人目。他にも偽ひろゆき氏2名、偽堀江貴文氏4名などともフレンドになっている。

     話をもどすと、偽「みきたに ひろし」にフレンド申請をかけると、すぐさまメッセージが届いた。そこで「三木谷さん本人ですか?」と問うと「本人です」と言い張る。

    「三木谷さん本人ですか?」と問うと「本人です」と言い張る

     次に「天皇陛下のお言葉は本物ですか?」と問うと、途端にはぐらかそうとする。3度問いただすと、既読が付かないように。ここで接触終了。ブロックされたものと思われる。その後再度確認すると、アカウントは削除済みの状態となっていた。

    「天皇陛下のお言葉は本物ですか?」の質問ははぐらかす

    ※公開後に説明を一部追記しました。(追記箇所、前澤氏によるMeta社責任追及の箇所です)

    (宮崎美和子/たまちゃん)

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  • 宮崎美和子編集長

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    鹿児島県産。放送関連、印刷、ソフト開発会社を渡り歩きさまざまな職種を経験。ライターデビューもこの頃。その後ゲーム会社に転職しMD(主にサブライセンス管理)、マーケを経験。運営・システム関連では管理職も務める。2008年にWEBライターとして独立。得意分野はオカルト、ネットの話題、過去職の経験から著作権と雑多。趣味は読書。40才すぎてバレエを習い始めました。

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