おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

ひろゆき氏かたる詐欺アカウントに接触→おっちょこちょいな「偽ひろゆき」登場

 2023年春頃からSNSで見かけるようになった、有名人の写真や名前を無断で使った「詐欺広告」。広告をクリックすると「投資案件」に誘導されるという流れで、いまだ流行中です。

 編集部では過去に、この手の「詐欺広告」から潜入して、堀江貴文氏をかたる「偽ホリエモン」と接触した記事を公開していますが、実は同時にその他の著名人をかたる詐欺師たちとも接触をしていました。

  •  しかしながら、偽ホリエモンほどのインパクトある内容ではなかったため、ずっとお蔵入りにしていたものがいくつかあります。今回お蔵出しするのはその一つ。

     匿名掲示板2ちゃんねる創設者の「ひろゆき」こと西村博之氏をかたる「偽ひろゆき」と接触したときの記録です。

    偽ひろゆきの投資アカデミー

     最初に説明しておくと、出すか迷うほど特筆すべきことはありませんでした。よって、お蔵入りにしていたわけですが、「偽ひろゆきがどんな感じか興味がある」といった声をネットで見かけたので今回出してみることにしました。

    ■ 有名人を無断で使った「詐欺広告」とは

     SNSで流行中の、有名人を無断で使った「詐欺広告」とは、あたかも有名人が投資を勧めているかのような広告です。「有名人詐欺広告」などとも呼ばれています。

     たいがい、アクセスすると、LINE友達追加などを誘われ、その後、投資セミナーへと誘導するという流れ。結果的に、投資に勧誘されお金をだまし取る手口です。

     この手の詐欺広告は、Facebook、Instagramなどで見かけることが多く、堀江貴文氏や、楽天の三木谷浩史氏、森永卓郎氏などの名前と写真が悪用されています。

     もちろんご本人たちはこれら広告との関与を否定しており、アクセスしたところで本人が出てくることは一切ございません。

    ■ 偽ひろゆきと、LINEでやりとりしてみた

     ということで、今回も潜入スタート。SNSでみつけた、ひろゆき氏の写真を無断で使った「詐欺広告」から入っていきますが、先にお約束の注意点を。

     おたくま経済新聞では、「ネット詐欺潜入」の作業にあたり、万全の準備をしてから取り組んでおります。記事内容は一見すると簡単に見えるかもしれませんが、一般の方が真似をすると大変危険です。絶対に真似しないでください。

    広告本文

     ではここからはいつもどおり……まずは広告をタップ……。LINE友達を追加しますよ……と。

     すると、ひろゆき公式LINEなるものを追加することができました。

    偽ひろゆき公式LINE

     そこからは適当なスタンプを投稿して、反応まつこと約半日……

     ついに、偽ひろゆきキタ━━━━(゚∀゚)━━━━!!。

    半日たって偽ひろゆき登場

     ……といっても本人ではないことは明らかですので、とりあえず「誰?」と突っ込んでみます。反応は?

     自分は「ひろゆき」だと言い張ります。やれやれ。

    ひろゆきだと言い張る偽ひろゆき

    ■ 偽ひろゆきに証拠を求め嘘を嘘と見抜いてみる

     本人だというならば、何かしらの証拠があるはずです。例えば今の写真など。

     「嘘を嘘と見抜く」ために写真の提供をもとめてみました。

    写真を求めてみた

     ちなみに偽ホリエモンと接触したときには、ビデオ通話をかけてくるという高度なテクニックを使ってきましたが……

    ▼話題の「偽ホリエモン投資広告」に釣られると何が起きる!?衝撃の展開に
    https://otakuma.net/archives/2023091906.html

     なんと、偽ひろゆきとは会話がまったく噛み合わず。「仕事が忙しい」を理由になんとか言い逃れしようとしてきます。

    雑なへりくつをこねる偽ひろゆき

     加えてやはり投資に関する誘いを推してきつつ、「真実は証明される必要はありません」なんてへりくつこねてきました。

     ここはちょっと本物っぽいけど、本物はもっと正論ぽい理由をあげてくるので、やはり「ひろゆき劣化版」でしかありません。

     これまで色んな詐欺師と接触してきましたが、このゴリ推しパターンは後にぶち切れて暴言はかれるか、ブロックされて終わりになるかの2択。もう先が見えてきましたが、仕方ないのでしばらく付き合ってみます。

    ■ とりあえずLINEを続けてみる

     この後はどうせ、投資セミナーへのグループLINEか何かに誘ってくるだろう……と、いつもの展開をまっていたのですが、一向にその気配がありません。

    とりあえずLINEを続けてみる

     正直、始終話が噛み合わないので、相手が何をしたいのかよくわかりません。相手の目的の第一段階はおそらくセミナーへの誘導。しかし、筆者をうまく誘導できず、正直「おいおい、大丈夫か」と心配になってしまいました。

     こちらとしては、NO被害で良いことですが(ただし、公式LINEなので一部個人情報は渡してしまっている)これでは一向に進展しません。

     もう飽きてきたので、こちらも「ひろゆきになりきって」対抗してみることに。この辺で記事化も当時は諦めていました。

     まずは「おいらもひろゆきですけど」と送ったところ……無反応。ちなみに送った日付は2023年11月3日。

     そしてしつこくに翌日も「もうおわりか」と送ってみるも無反応。

    ひろゆきになりきってみる

     もうこれで終わったんだろうなぁ~、と思っていた約2か月後の2024年1月22日。いきなり偽ひろゆきからメッセージが送られてきました。

     「なぜいつもメッセージを読んでいるのに返信しないのか教えてもらえますか?」

    約2か月ぶりのLINE

     それはこっちのセリフーーーー!

     思わず「それはあなたの感想ですよね?」と送ってしまったのは言うまでもありません。

     多分、他のアカウントと間違えて誤爆しちゃったんだろうなぁ。おっちょこちょいな偽ひろゆき。

    最後のやりとり

     ここからさらに返信を待ってみたのですが……偽ひろゆきLINEにとって「それはあなたの感想ですよね?」が相当な禁句だったのか、これ以降返信は完全に途絶えてしまいました。

     もしかすると、「目には目を」ではありませんが、「ひろゆきにはひろゆきを」が一番効果的なのかも。もしくは誤爆が相当恥ずかしかったか。

     なお、重ね重ね申し上げますが、この手の広告には一切付き合わないことが一番です。何一つメリットはありません。くれぐれも真似しないようご注意を。

    (たまちゃん)

    あわせて読みたい関連記事
  • 菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた
    インターネット, おもしろ

    菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • 怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題
    インターネット, おもしろ

    怪しい電話を意図せず撃退してしまう?黒電話ユーザーの詐欺対応が話題

  • 見える見える……木目に現れた“ひろゆき”に本人も反応「気付いてしまいましたか」
    インターネット, おもしろ

    見える見える……木目に現れた“ひろゆき”に本人も反応「気付いてしまいましたか」

  • 「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?
    インターネット, 社会・物議

    「ふくぎょうのおしごと!」既視感満載の怪しい広告が勧めてくる“副業”とは?

  • 偽ファッション広告
    インターネット, 社会・物議

    偽ファッション広告がGoogle広告に大量出現 サポート詐欺被害に注意

  • 前澤友作さん、新SNS立ち上げへ 偽広告問題に危機感
    インターネット, 社会・物議

    前澤友作さん、新SNS立ち上げへ 偽広告問題に危機感

  • ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一部始終
    インターネット, 社会・物議

    ちょ、まてよ。それ何のドラマだよ!「勇者」出演の偽キムタクとLINEで対峙した一…

  • 偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺
    インターネット, 社会・物議

    偽公式からの当選通知を追跡!行き着いたのは「能登半島応援」を騙る悪質詐欺

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • たまちゃんWriter

    記事一覧

    元秒刊SUNDAYライター。炎上ネタからグルメネタまで得意とするも、現編集部(おたくま)では炎上ネタは封印。おだやかに書いております。静岡県浜松市在住です。

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • 警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠
    インターネット, サービス・テクノロジー

    警告ポップアップで強引に広告誘導 悪質業者が仕掛ける正規サービスを悪用した罠

  • マクドナルド非公認レシピ「改造てりたま」
    グルメ, 作ってみた

    マクドナルド非公認レシピ!夏のてりたま欲を満たす「改造てりたま」を作ってみた

  • LINEの画面って拡大できないの?タイトル画像
    インターネット, サービス・テクノロジー

    ピンチ操作が効かないLINE画面も拡大!iPhoneの隠れ便利機能「ズーム」活用…

  • AIで生成されたフェイク動画
    インターネット, 社会・物議

    一瞬本物かと……有名人の顔と声までAIで再現!進化する投資詐欺の実態とは

  • “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート
    インターネット, 社会・物議

    “ネット詐欺のベストアルバム”に遭遇!「○○プレゼント」詐欺体験レポート

  • フッション系と思わせるサポート詐欺サイト
    インターネット, 社会・物議

    ファッション広告のフリをした罠 ますます巧妙化する“サポート詐欺”

  • トピックス

    1. ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      ガシャポンの魅力&世界観を全身で体感!「ガシャポンに超夢中展2025」内覧会レポ

      10月31日から11月2日までの3日間、池袋・サンシャインシティにて「ガシャポンに超夢中展2025」…
    2. 缶コーヒーの「#マーク」に隠された意味 コカ・コーラ社に聞いた“色が変わる理由”

      缶コーヒーの「#マーク」に隠された意味 コカ・コーラ社に聞いた“色が変わる理由”

      徐々に寒さが増し、そろそろ温かい飲み物が恋しくなってくる季節。近ごろSNS上で、「ホットコーヒー缶に…
    3. イーロン・マスク氏、Xの不具合を報告 「フォローしている人の投稿が少ない」原因はバグだった

      イーロン・マスク氏、Xの不具合を報告 「フォローしている人の投稿が少ない」原因はバグだった

      SNS「X(旧Twitter)」のオーナーであるイーロン・マスク氏が、日本時間10月27日深夜、自身…

    編集部おすすめ

    1. 集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社、生成AIによる権利侵害へ厳正対応を表明 Sora2公開後の「類似映像大量発生」を受け

      集英社は10月31日、生成AIを利用した権利侵害への対応について声明を発表しました。今秋、OpenAI社の生成AIサービス「Sora2」が公…
    2. 菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

      菊水産業「お菊社長」なりすましに接触 ウザ絡みして目的を探ってみた

      10月14日、国産つまようじ製造を手掛ける「菊水産業株式会社」の公式Xアカウントが、同社代表取締役・末延秋恵さんのなりすましアカウントが出現…
    3. 職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      職員室を自由に物色! 体験型展示「あの職員室」が11月15日より開催

      株式会社チョコレイト(CHOCOLATE Inc.)は、あの頃入りたくても入れなかった職員室を体験できる展示企画「あの職員室」を、11月15…
    4. カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      カービィのエアライダー、桜井政博こだわりの「酔い対策」が話題 アクセシビリティ配慮に称賛の声

      2025年10月23日22時より配信されたNintendo公式番組「カービィのエアライダー Direct 2」にて、ゲームクリエイター・桜井…
    5. 「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      「なぜ誹謗中傷は起きたのか」 にじさんじ運営が加害者心理を公表

      ANYCOLOR株式会社は10月22日、所属ライバーである甲斐田晴さんをめぐる極めて悪質な誹謗中傷・荒らし行為への対応結果を、加害者側の意識…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト