皆様こんにちは。ミリタリーにおける『食』、特にレーションについてご紹介していくDachoの『ミリヲタ的グルメ』。
第六回目は、ロシア軍のレーション、IRP-Bをご紹介します。
見た目はちょっと風変わりですが、そこがまたロシアっぽくて期待させてくれるレーションです。
●ロシアのレーション
写真は、ロシア軍のレーションです。
戦闘機が描かれた派手な箱は、ロシア空軍の航空機搭乗員用レーションで、濃い緑で取っ手の付いたプラスチックのケースが今回ご紹介するIRP-Bです。
IRP-Bとは、「個人用食料-戦闘用」といった意味のロシア語の略称です。他に、見た目もそっくりなIRP-P「個人用食料-日常用」というのもあります。
写真は、そのIRP-Pの市販用コピー商品です。
軍用と同じメーカーの品目が入っていたりしますが、雑で適当な作りの劣化コピーでした…
プラスチックのケースに入ったレーションというのは、世界的に見てもかなり珍しいです。私の知る限り、他にはウクライナしかありません。
どちらも旧ソ連の構成国なので、プラスチックケースのルーツはそこにあるのかも知れませんね。
●IRP-Bメニュー3
今回試食するのは、メニュー3です。ケース表面のラベルに内容物の一覧が書かれています。表の左から品目名、重量、1日の分量、朝食の分量、昼食の分量、夕食の分量になっています。品目名だけで重量、分量が全く空の行は、他のメニュー用の品目です。
私は、もちろんロシア語を読めませんので、この品目のリストをかなり苦労して翻訳しました。
翻訳しても意味不明な品目もあり、実際に食べてみて補正しました。
・クラッカー 6パック
・牛肉ナチュラル(料理名)
・挽肉アマチュアスペシャル(料理名?)
・牛肉のスラヴ風カーシャ(料理名)
・魚の缶詰
・トマトソース
・エンドウ豆の固形食糧
・粉ミルク飲料
・フルーツジャム 2パック
・濃縮飲料
・インスタントコーヒー
・砂糖入りインスタント紅茶
・砂糖 5パック
・総合ビタミン剤
・ヒーターセット
・紙ナプキン
・缶切り
・ウェットティッシュ 3パック
・浄水剤 3パック
・防風防水マッチセット
・プラスティックスプーン
開封すると、砂糖1パックが破れてケースの中が砂糖だらけになっていました。さらにジャムが少し漏れ気味で、一部ベタベタしているものも。
掃除に手間がかかりましたが、手荒に扱われるレーションにはよくあることなのです。
●ロシア料理
▼牛肉ナチュラル
早速実食です。まず「牛肉ナチュラル」ロシア語からの直訳です。
何でこんな名前なのか分かりませんが、そんな料理名です。
薄い素材の缶詰になっていて、プラスチックの缶切りで開けます。食べてみたところ、牛ミンチのコンソメスープ煮といった感じです。
とても素朴な感じでボリュームもありそうですが、結構美味しくてぺろりと食べてしまいました。
▼挽肉アマチュアスペシャル
「挽肉アマチュアスペシャル」。一体何の事だか分りませんが、これもロシア語の直訳です。
丸いアルミのカップを開封してみると、ソーセージでした。
日本では、カップ入りソーセージを見たことはありませんが、ドイツ軍レーションなどにもこのスタイルのソーセージが入っています。
軽い感じのソーセージで、味も悪くありません。
▼牛肉のスラヴ風カーシャ
「牛肉のスラヴ風カーシャ」。カーシャというのは、穀物をスープや牛乳などで煮込んだ粥のような料理です。
何かの穀物を牛ミンチでコーティングしたような状態になっていました。粥と言うには、ちょっとヘビーな料理です。
塩味が強すぎて食べにくかったのでトマトソースをかけてみると、結構美味しく食べることができました。
一緒に写っている丸いカップは、「魚の缶詰」です。「魚の缶詰」ということで、オイルサーディンのようなものを想像していましたが、いわゆる魚肉ソーセージでした。
フワフワな食感ですが、癖の強い味で、日本の魚肉ソーセージの方が何倍も美味しいです。
▼エンドウ豆の固形食糧
「エンドウ豆の固形食糧」は、粉状の粒を押し固めた物です。一口かじると強烈な豆の味がします。軽い塩味で、濃厚豆スープの素という感じです。
さらに、口中の水分がすべて吸い取られてしまい、強烈な味と相まって、食べるのが非常につらかったです…
そのほか、クラッカーやジャム、色々な飲み物など、どれも美味しく食べることができました。
素朴な印象を持ったロシア軍レーションでしたが、その実力は結構高いと思います。
【注意してください!!】
ロシア軍IRP-Bを初めとする各国のレーションは、我々民間人が手に入れて食べることを前提としていません。これらを販売する業者なども、あくまでコレクション品として取り扱っています。
食品としての安全性は、各国政府、製造業者、販売者の誰も保証してくれませんので、万が一食べる場合は、すべて自己責任になります。
■ライター紹介
【Dacho】
中学時代に「エリア88」と出会い、ミリタリーに目覚める。数年前、以前から気になっていたMRE(米軍のレーション)をミリタリーショップで発見し、レーションオタクの道へ。急速に自宅の空きスペースを浸食していくレーションの山と日々闘い続けている。