「うちの本棚」、第六十二回はあべこうじの傑作ギャグ作品『かぐや草紙』です。
あまりに淫乱なかぐや姫のキャラクターに驚かれる読者もいるかもしれませんね(笑)。
絶世の美女ともいわれる「かぐや姫」が淫乱だったら!? という設定のギャグ作品。その後のあべこうじの作品カラーを決定づけたものといえるでしょう。
実はあべこうじ作品を最初に読んだのはこれで、すでに刊行されていた単行本を古本屋等で集めたり、新刊で出るものはチェックしたりするキッカケになりました。
明るくエッチで愛すべきキャラクターかぐや。
この作品はあべこうじの傑作だったのではないかと思います。
しかしながら、単行本での表記は「第1巻」であるにもかかわらずその後2巻以降が刊行された様子はありません。「モーニング」掲載作品にしては下ネタすぎたというのはあるかもしれませんが、他社からも再刊行される機会がないのは大変残念といわざるを得ません。
ぜひ完全収録版の刊行を、と願っております。
ところで作品自体の内容ですが、かぐやのもとに夜這いにやってくる男たちとの艶笑小話といった体のもの。時折時事ネタも織りまぜながら肩の凝らないギャグ作品となっております。
描かれてからだいぶ時間も経っておりますが、いまでもこの雰囲気は十分通じるのではないでしょうか。
書 名/かぐや草紙 著者名/あべこうじ 収録作品/かぐや草紙 発行所/講談社 初版発行日/昭和60年6月18日 シリーズ名/ワイドKCモーニング |
■ライター紹介
【猫目ユウ】
フリーライター。ライターズ集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。