おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【特撮映像館】Act.80 ウルトラセブン 地球星人の大地

「特撮映像館」、今回は『ウルトラセブン 地球星人の大地』です。前作の好評を受けてのテレビ特番第2弾として制作されましたが、その後オリジナルビデオシリーズ「平成セブンシリーズ」へとつながっていきます。

前作『太陽エネルギー作戦』が好評だったため半年後に放映されたテレビ特番。今回も資源エネルギー庁とのタイアップで、環境問題をテーマにストーリーが展開されている。


  • 見どころはなんといっても前作ではナレーションのみで登場の機会がなかったモロボシ・ダンとセブンへの変身シーンだろう。さすがにダンはウルトラ警備隊の制服は着ていないが、変身前のダンが活躍してこその『ウルトラセブン』ということを改めて感じた。

    対する宇宙人は、テレビシリーズでも強い印象を残したメトロン星人。そして新怪獣としてメトロン星人がDNA情報を解析して再生させた恐竜が登場し、宇宙人と怪獣というウルトラシリーズらしいキャスティングとなった。ナレーションもテレビシリーズ当時の浦野 光。

    特撮に関しては前作同様切り詰められるところは切り詰めている印象だが、爆発シーンの火薬量など前作より多少予算的に余裕ができたように見受けられるところもある。切り詰めているのはやはり警備隊の作戦室が登場しないなどセットに関する部分だろう。作戦室でひとり指揮をとるフルハシ隊長だが、背景は照明が落とされハッキリとしない。とはいえテレビシリーズでの実相寺演出などを見慣れているとこれもアリと感じられるから面白い。

    せっかくのダン出演ではあったがアンヌは登場せず、ダンとアンヌとしての再会は見られなかったのは少し残念。まあこれはストーリーには絡まないところでのファンの期待にすぎないのでいたしかたない。もっともダンとフルハシの再会も厳密にいえば描かれていないのではあるが。

    しかし時代なのだろうが、前作も本作も地球にとって人間がいかに負担かということをしつこいほど訴えかける。前作のピット星人も今回のメトロン星人も地球侵略や人類抹殺を正面から主張しているのでセブンや警備隊の行動も矛盾を生まないが、ヘタをするとなぜセブンが人類の味方をするのかという根本的な疑問を投げかけかねないほどの人類を否定するセリフが、特に前半では飛び出してくる。まあこういうところがセブンらしいといってしまえばそうなのではあるが…。

    メトロン星人の造形は、初代となるテレビシリーズのものとほぼ同じ印象。第二次ウルトラブームで復活した際には見る影もないほどに変更されていたのにガッカリしたものだが、本作では確かにメトロン星人が再び地球を侵略に来たという印象である。

    このあとオリジナルビデオシリーズとして「平成セブンシリーズ」が展開していき、その世界観は前作と本作を受け継いでいるわけだが、モロボシ・ダンによるセブンはこれが最後となる。

    監督・特技監督/神澤信一
    キャスト/毒蝮三太夫、影丸茂樹、松山鷹志、鈴木亜美、円谷 浩、森次晃嗣、ほか。
    1994年/55分/日本

    (文:猫目ユウ)

    あわせて読みたい関連記事
  • ウルトラマンコスモス(ルナモード)のぐんぐん人形(ネントクさん提供)
    アニメ/マンガ, ニュース・話題

    変身シーンのパースモデルを再現 ウルトラマン「ぐんぐん人形」ファンアート

  • 「ウルトラマン基金」設立10年 特選エピソード10作品無料配信で在宅支援
    アニメ/マンガ, 放送・配信

    ウルトラマンが在宅支援企画 特選エピソード10作品無料配信

  • TV・ドラマ, エンタメ

    全メインキャストが集結!「ウルトラマンZ」オンライン発表会開催  新ポスタービジ…

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】194回 ウルトラセブン/桑田次郎

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】181回 ウルトラマンタロウ/石川 賢

  • ナナメ観!
    コラム, 雑学

    【特撮映像館】Act.79 ウルトラセブン 太陽エネルギー作戦

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「フツーの人」と「デブ」の食意識の違いをイラストで可視化 あなたはどっち?

      「もしかして、フツーの人っておなか空いてる時以外おなか空いてないの?」そんな衝撃の(?)問いかけとと…
    2. コーヒーにごま油……!?かどや公式のちょい足しアレンジを試してみた

      コーヒーにごま油……!?かどや公式のちょい足しアレンジを試してみた

      10月1日は「コーヒーの日」。そんな記念日に合わせて、かどや製油公式Xが提案してきたのは……まさかの…
    3. 「えもじの子(仮)」

      LINEの人気キャラ「えもじの子(仮)」が有料で復活 一部未収録に完全復活を望む声も

      つぶらな瞳ととぼけた表情で人気を集めたLINE絵文字「えもじの子(仮)」の無料配布版が10月1日、有…

    編集部おすすめ

    1. フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      フライドポテトで、白ごはんを食べる……?ドンキ新作が過去イチ理解できなかった件

      「みんなの75点より、誰かの120点」を合言葉にドン・キホーテが展開している偏愛メシシリーズ。10月1日に「本当にこの組み合わせが好きな人が…
    2. 将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      将棋倶楽部24、2025年末でサービス終了 27年の歴史に幕

      オンライン将棋対局サービス「将棋倶楽部24」が、2025年12月31日をもって終了することが発表された。運営する席主の久米宏氏が10月1日付…
    3. pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      pium、“カスハラ声明”きっかけに炎上 接客批判受け謝罪と改善策

      アパレルブランド「pium」が9月30日、店舗スタッフの接客に対する多数の指摘や批判を受け、公式Xにて謝罪文を公開しました。併せて再発防止策…
    4. 「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      「ビー・バップ」クラファン始動、清水で“高校与太郎祭”実現へ 返礼に「鉄橋ダイブ」関連も

      映画「ビー・バップ・ハイスクール」のロケ地として知られる静岡市清水区で、作品ゆかりの企画を集めた大型オフラインイベント「清水 ビー・バップ・…
    5. 第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京アニのセカイ展―』

      京都アニ「第7回ファン感謝イベント」追加情報を公開 新商品や書籍予約、グッズ二次予約も発表

      株式会社京都アニメーションは、10月25日・26日の2日間で開催予定の「第7回京都アニメーションファン感謝イベント『私たちは、いま!! ―京…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト