「特撮映像館」、今回は『ウルトラセブン 地球星人の大地』です。前作の好評を受けてのテレビ特番第2弾として制作されましたが、その後オリジナルビデオシリーズ「平成セブンシリーズ」へとつながっていきます。
前作『太陽エネルギー作戦』が好評だったため半年後に放映されたテレビ特番。今回も資源エネルギー庁とのタイアップで、環境問題をテーマにストーリーが展開されている。
見どころはなんといっても前作ではナレーションのみで登場の機会がなかったモロボシ・ダンとセブンへの変身シーンだろう。さすがにダンはウルトラ警備隊の制服は着ていないが、変身前のダンが活躍してこその『ウルトラセブン』ということを改めて感じた。
対する宇宙人は、テレビシリーズでも強い印象を残したメトロン星人。そして新怪獣としてメトロン星人がDNA情報を解析して再生させた恐竜が登場し、宇宙人と怪獣というウルトラシリーズらしいキャスティングとなった。ナレーションもテレビシリーズ当時の浦野 光。
特撮に関しては前作同様切り詰められるところは切り詰めている印象だが、爆発シーンの火薬量など前作より多少予算的に余裕ができたように見受けられるところもある。切り詰めているのはやはり警備隊の作戦室が登場しないなどセットに関する部分だろう。作戦室でひとり指揮をとるフルハシ隊長だが、背景は照明が落とされハッキリとしない。とはいえテレビシリーズでの実相寺演出などを見慣れているとこれもアリと感じられるから面白い。
せっかくのダン出演ではあったがアンヌは登場せず、ダンとアンヌとしての再会は見られなかったのは少し残念。まあこれはストーリーには絡まないところでのファンの期待にすぎないのでいたしかたない。もっともダンとフルハシの再会も厳密にいえば描かれていないのではあるが。
しかし時代なのだろうが、前作も本作も地球にとって人間がいかに負担かということをしつこいほど訴えかける。前作のピット星人も今回のメトロン星人も地球侵略や人類抹殺を正面から主張しているのでセブンや警備隊の行動も矛盾を生まないが、ヘタをするとなぜセブンが人類の味方をするのかという根本的な疑問を投げかけかねないほどの人類を否定するセリフが、特に前半では飛び出してくる。まあこういうところがセブンらしいといってしまえばそうなのではあるが…。
メトロン星人の造形は、初代となるテレビシリーズのものとほぼ同じ印象。第二次ウルトラブームで復活した際には見る影もないほどに変更されていたのにガッカリしたものだが、本作では確かにメトロン星人が再び地球を侵略に来たという印象である。
このあとオリジナルビデオシリーズとして「平成セブンシリーズ」が展開していき、その世界観は前作と本作を受け継いでいるわけだが、モロボシ・ダンによるセブンはこれが最後となる。
監督・特技監督/神澤信一
キャスト/毒蝮三太夫、影丸茂樹、松山鷹志、鈴木亜美、円谷 浩、森次晃嗣、ほか。
1994年/55分/日本
(文:猫目ユウ)