おたくま経済新聞

ネットでの話題を中心に、商品レビューや独自コラム、取材記事など幅広く配信中!

【うちの本棚】第九十一回 レッドマスク/横山光輝

「うちの本棚」、今回は横山光輝の代表作のひとつであり、半ば伝説的に語られる『レッドマスク』を取り上げます。「スーパーマン」と同じ能力を持つレッドマスク。そのストーリーはなかなか複雑で読み出すと止まりません。

奄美大島から転校してきた秋庭五郎という少年は、成績優秀の上に運動神経もずば抜けていい。五郎が転校してきたころ、ギャングの逮捕に協力する謎の空飛ぶ超人が新聞で報じられた。


  • 赤いマスクをつけいてることから自らレッドマスクと名乗るその超人こそ、五郎だったのだ。

    実は五郎の父はX星という惑星の生き残りであり、地球人の女性との間に生まれたのが五郎であった。ちなみにアメリカで活躍する「スーパーマン」も五郎の父と同じX星人だという。

    空を飛び超人的な力を発揮し弾丸も受け付けない身体であるレッドマスク・五郎だが、かかとだけが弱点であった。そのため五郎の父も同じマスクをつけて五郎を手助けするようになっていく。

    物語は「スペード団の巻」「透明人間の巻」の2話からなっているが、それぞれのエピソードの中でも五郎がプロ野球の球団にスカウトされて試合に出たり(「スペード団の巻」)、敵である透明人間が途中で殺され闘う相手が変わるなどなかなか複雑な展開を見せている。

    また本作は「スーパーマン」に言及シーンがあることから単行本化できないという噂もあったのだが、言及シーン自体1ページ強であり、その気になればいくらでも描き変えできるシーンであり、作品のストーリーに影響はない。さらに中村書店で刊行されている事実もあるので、別の理由で再刊行されなかったと考えるべきだろう。
    『宇宙船レッドシャーク』そしてこの『レッドマスク』と横山の代表作としてプロフィールなどでたびたび作品名があげられていながら気楽に読めない状況が続いていたのは、作者自身に単行本化をためらう理由があったのではないだろうか。共に「レッド」が付くのも奇妙な感じだ。

    中村書店版そしてアップルBOXクリエート版と共に現在では入手の難しい本作なので、ぜひ復刻および再刊行してほしい作品である。

    初出/講談社・おもしろブック(1958年~1960年)
    書誌/中村書店・横山光輝全集(刊行巻数未確認)
       アップルBOXクリエート(全5巻)

    (文:猫目ユウ)

    あわせて読みたい関連記事
  • 華の会メール・バナー
    PR

    オトナ世代の恋愛マッチング

  • 華の会メール・バナー
    PR

    趣味でつながる30代からの恋愛マッチング \華の会メール/

  • ニュース・話題

    『魔法使いサリー』への道が判る横山光輝幻の作品が初単行本化

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第九十四回 まんが集/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第九十三回 くれない頭巾/横山光輝

  • うちの本棚
    コラム・レビュー

    【うちの本棚】第九十二回 ジャイアント・ロボ/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第九十回 宇宙警備隊/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第八十九回 仮面の忍者 赤影/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第八十八回 野獣/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第八十七回 マーズ/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第八十六回 サンダー大王/横山光輝

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】第八十五回 闇の土鬼/横山光輝

  • 猫目 ユウWriter

    記事一覧

    フリーライター。ライター集団「涼風家[SUZUKAZE-YA]」の中心メンバー。
    『ニューハーフという生き方』『AV女優の裏(共著)』などの単行本あり。
    女性向けのセックス情報誌やレディースコミックを中心に「GON!」等のサブカルチャー誌にも執筆。ヲタクな記事は「comic GON!」に掲載していたほか、ブログでも漫画や映画に関する記事を掲載中。
    本コラム「うちの本棚」は作者・テーマ別にして「ブクログのパブー」から電子書籍として刊行しています。
    また最近は小説の執筆に力を入れています。
    仮想空間「Second Life」やってます^^

    ▼こちらのライターの最新記事▼

  • コラム・レビュー

    複数社から発売された『墓場鬼太郎(ゲゲゲの鬼太郎)』を振り返る

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】262回 こいきな奴ら/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】261回 ティー・タイム/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】260回 5(ファイブ)愛のルール/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】259回 デザイナー/一条ゆかり

  • コラム・レビュー

    【うちの本棚】258回 わらってクイーンベル/一条ゆかり

  • トピックス

    1. 伝説のカンフー映画「酔拳」吹替版、YouTubeで1か月限定無料配信

      伝説のカンフー映画「酔拳」吹替版、YouTubeで1か月限定無料配信

      ジャッキー・チェン主演の名作アクション映画「酔拳(吹替版)」が、Prime Videoの「シネフィル…
    2. 小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学生の耳からシャーペン消しゴム 耳鼻科で無事摘出

      小学6年生の男児が耳の痛みを訴え受診したところ、耳の奥からシャープペンシルの消しゴムが摘出されました…
    3. マクドナルド非公認レシピ「改造てりたま」

      マクドナルド非公認レシピ!夏のてりたま欲を満たす「改造てりたま」を作ってみた

      春限定の人気商品「てりたまバーガー」を夏でも味わうため、筆者が考案した「改造てりたま」の作り方を紹介…

    編集部おすすめ

    1. 松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      松浦勝人会長「月1時間で100万円」“松浦顧問制度”始動 応募殺到で定員の5倍超え

      エイベックスの松浦勝人会長は9月4日、自身のX(旧Twitter)で新たに「松浦顧問制度 シーズン1」を立ち上げたことを報告した。内容は「月…
    2. 「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる」4羽の文鳥 まるで連続写真?

      「なんかやってる……」Xで飼い主さんにこうつぶやかれたのは、4羽の白文鳥さんたち。添えられた写真には、4羽が棚の上に連なって集まり、まるで連…
    3. 法事でオリジナルTシャツ!?音楽フェスのような斬新な引き出物が話題

      法事で配られた家紋&没年入りTシャツが話題 “フェス感”漂うセンスに爆笑

      法事の引き出物(お返し)といえばお菓子やカタログギフトが王道ではないでしょうか。しかしときには予想だにしない品をもらうこともあるようで……。…
    4. 災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      災害関連死ゼロを目指す「EDAN」発足 フィリップ モリスら民間団体が連携

      フィリップ モリス ジャパン(PMJ)が、全国災害ボランティア支援団体ネットワーク(JVOAD)と共同で、避難生活に特化した支援ネットワーク…
    5. 「週刊文春」2025年9月4日号(8月28日発売)

      週刊文春、最新号表紙は「白紙」 48年続いた和田誠さんの表紙絵に幕

      総合週刊誌「週刊文春」は、2025年8月28日発売の9月4日号で48年間にわたり表紙を飾り続けたイラストレーター・和田誠さんの絵を終了し、大…
    Xバナー facebookバナー ネット詐欺特集バナー

    提携メディア

    Yahoo!JAPAN ミクシィ エキサイトニュース ニフティニュース infoseekニュース ライブドア LINEニュース ニコニコニュース Googleニュース スマートニュース グノシー ニュースパス dメニューニュース Apple ポッドキャスト Amazon アレクサ Amazon Music spotify・ポッドキャスト