ある程度の知能を持つ生き物には、何かしらの感情を持っていると言われています。喜怒哀楽の表現が激しい子もいれば、色々と無頓着だったりする子など、性格も様々。そして妙なところで賢さを発揮する不思議。今回は、筆者こと私の家にいる猫たちの違いを紹介してみます。
※猫と編集部:ひょんなことから猫社員が所属するようになった編集部を巡る、猫と猫好き編集部員たちの実話の物語。複数担当で不定期連載しています。本稿の主人公は、猫嘱託社員(広報担当)のぴー&みゅー。その他2匹の猫社員についてはまた別のお話で。
■ 拾われっこその1・みゅー
私が昔住んでいた場所は、引っ越してきた直後に家の裏にコンビニが出来上がったという立地。元々野良猫が多い地域だった様で、コンビニ裏と家を隔てるフェンスは猫の通路、人ひとり通れるか微妙な狭さのフェンスと家の間の隙間は、野良猫たちの格好のたまり場となっていました。コンビニ客が、気まぐれに野良猫に何かやっている事も度々。
みゅーを保護したのは、10年程前の10月。肌寒い日にみゃーみゃーと大声で叫んでいましたが、母猫は来る様子もなく。このままでは低体温を起こして死ぬ、と判断した私は、家の横から手が届きそうな場所まで来ていた子猫をあっさりと保護、そのまま近所の動物病院へ連れて行き、はれてうちの子にしたのです。こんなにあっさりと捕獲できたのは、恐らく母猫が人に懐けばご飯をもらえる、と学習したのもあったのでは……?と推測。
ぬくぬくと箱入り娘状態で、私にべったりだったみゅーですが、その2年後にこれまた母猫とはぐれた子猫を保護。それまでちゃんとトイレも粗相なくできていたのに、新聞紙やらその辺の布などにオシッコをするように。
実はみゅーは割と潔癖症で、少しでもトイレが汚れていたら気に食わない性格。そこへ知らない子が突然現れたので、「アンタ何で私のうちにいるのよ!!」と言わんばかりに子猫に向かってシャー!!その子猫がぴーなのです。保護当時、ぴーはやはり母猫とはぐれており、一生懸命母猫を探していたのですが、やはりはぐれたままになっていました。
箱入り娘で子どもと女性には嫌悪感を示さないみゅーなのに、子猫に対してこの態度。どうやら、この家の人間に甘えていいのは自分だけ、他の猫は子猫であっても許しがたいといった風情。テリトリー意識強い……。プライドも高い??
今では私よりも娘たちの方にべったりとなっているのは、きっと「ぴーにママにゃ取られた!」意識があるのでは……?
■ 拾われっこその2・ぴー
そんな訳で、みゅーから遅れる事約2年、ぴーも同じく拾われてきた訳ですが、この子は捕獲にとにかく手間がかかりました。私の隠れた特技として、猫の鳴き声の真似というのがあるのですが、鳴き真似をしてみたところ、どうやら母猫と勘違いした模様。でも相手は人間……という、子猫にとっては意味不明な状態。
結局、逃げては鳴き真似に惑わされて立ち止まり、を繰り返す事数時間……。車のタイヤの上で固まっているところをやっと捕獲、即獣医さん行き。
感染症の有無の結果が出るのと、お互いが慣れるまでのしばらくの間、ぴーはケージの中。みゅーはケージの中のぴーに、それこそ襲い掛かるんじゃないかという勢いで鳴き声とともに威嚇していましたが、その間に娘たちがベタベタに可愛がっていた事もあり、徐々に娘たちの方へ。
保護当時、ぴーは目やにが酷く猫風邪状態。薬を飲ませ、目薬を差してを繰り返していましたがこれも一苦労。そんなこんなで、元からの性格もあってかかなり臆病に。その代わり、トイレで困らせる事はなく、人間が食べる魚をクレクレする事もないおりこうさん。
……と、思っていたのです。実は、人のいないところで勝手に開き戸を開けて中身を物色するという悪癖が!まさかシンク下やガス台の下にしまってある乾物や調理道具の間を歩き回るなんて思ってもみなかったので、その現場に遭遇した時には「アンタ何やってるのぉ!!!」と声が裏返った状態で叱り散らしてしまいました。
しかーし、そんな事では懲りる訳のない猫ことぴー。ふすまや網戸を勝手に開けるのは分かっていたのですが、まさか開き戸まで開けるとは。無駄なところで知恵が回るのは何故。そしてガンガン叱り散らかしているのに私にべったり。たまにみゅーとの間で膝の上争奪戦が起こる事もありますが……。飼い主冥利に尽きるというものですね。
訳あって転居を繰り返し、そのたびにやらかしまくっている猫たちですが、結局、猫のいない生活は私も娘たちも、無理!という事だけははっきりしているので、今日も今日とて「無駄に知恵がついている猫たちvs結局は可愛さに負ける人間」の生活は続いていくのでした……。
(梓川みいな)