エアバスは2020年7月9日(ドイツ時間)、ドイツ連邦軍装備情報技術運用庁(BAAINBw)と無人偵察機ヘロン1の運用サービス契約を新たに締結したと発表しました。ヘロン1は現在、ドイツ空軍が現在派遣先のアフガニスタンとマリで運用しており、新型無人偵察機へロンTPの運用開始までのつなぎとして、サービス契約を延長するものです。

 ヘロンは、イスラエルIAIが開発した中高度長時間滞空型(MALE)の無人偵察機。ドイツ空軍では2010年3月17日からアフガニスタンで、そして2016年11月1日からアフリカのマリで、それぞれ運用を始めています。

 ドイツ軍のヘロンは、派遣先のアフガニスタンでは10年間で4万6000時間以上の飛行任務を記録しており、マリでも1万1500時間以上の偵察飛行を実施しています。この派遣任務は2020年3月に期間の延長が決まり、アフガニスタンでは2021年5月まで、マリでは2021年7月まで(さらに2022年7月まで延長される場合もあり)運用されることになりました。

 派遣期間が延長されたため、その間にエアバスと当初締結していたヘロン1のサービス契約が終わってしまうので、また新たな延長契約をすることになったわけです。ドイツはエアバスを通じ、ヘロンの性能向上型であるへロンTPを調達する契約を2018年に結んでいますが、納入後に完全作戦能力を獲得するまで約2年の期間が必要となるため、それまでの時間的ギャップを埋める、という側面もあります。

 ドイツではヨーロッパで共同開発される無人偵察機、ヨーロピアンMALE RPASを導入する計画がありますが、初飛行は2024年を予定しており、まだまだ不透明な情勢。へロンTPも、本命であるヨーロピアンMALE RPASが実用化されるまでのショートリリーフ的な存在で、およそ7年の運用期間が見込まれています。

<出典・引用>
エアバス プレスリリース
Image:Airbus/Bundeswehr/Johannes Heyn

(咲村珠樹)