こんにちは、深水英一郎(ふかみん)です。
短歌入門の本といえば、著名な歌人が初心者に短歌の魅力や守るべき形式について語り……というところから始まるものが多いように思います。ですが今回著者にご紹介いただくこの本は、十代の若者の中にある思いや悩みを外に出していくひとつの手段として「短歌」をとらえ、その方法について語る形となっています。
著者の小島さんと千葉さんはどちらも歌人であり、高校や大学で教壇に立っておられます。若者と日常的に向かい合っているお二方が若者に向けた短歌の本。どのようなものなのか、著者さん自身にきいてみました。
▼書籍DATA
「短歌部、ただいま部員募集中!」(小島なお、千葉聡 共著、岩波書店)2022年4月8日発売▼著者プロフィール
小島なお
https://twitter.com/kojimanao0831
歌人。1986年、東京生まれ。「コスモス短歌会」会員。
歌人である母・小島ゆかりの影響を受け、高校生のときに短歌を詠み始める。
第50回角川短歌賞受賞。歌集「乱反射」により第8回現代短歌新人賞、第10回駿河梅花文学賞を受賞。
歌集「サリンジャーは死んでしまった」(角川書店)、「展開図」(柊書房)。
日本女子大学講師。千葉聡
https://twitter.com/chibasato
歌人・高校教諭。1968年、神奈川県生まれ。歌誌「かばん」会員。
第41回短歌研究新人賞を受賞。著書に「短歌は最強アイテム」(岩波ジュニア新書)、
「90秒の別世界」(立東舎)、「グラウンドを駆けるモーツァルト」(KADOKAWA)など。
編著に「はじめて出会う短歌100」(短歌研究社/講談社)など。
國學院大學、日本女子大学講師。作曲も手がける。
■ 書いた人にきいてみる
——本日はよろしくお願いします。この本を書くにあたって、どのようなことを意識されたのでしょうか?
【小島さん】
いわゆる「短歌入門書」ではなくて、心が大人になってゆくにつれておのずと生まれる、うまく言葉に出来ない悩みに寄り添いながら、一緒に考えてゆける本になるよう意識しました。SNSとの距離、家族や友だちとの関係、性のこと。十代の誰もが抱える心の揺らぎ。その傍らに短歌をお守りのように置いてもらえたら。
—— 一緒に考えるような形で短歌を詠んでいく、とのことですが、どのように進めていくのかもう少し教えていただいてよいでしょうか。
「詠んでいく」というよりは、同じ悩みが詠われている短歌に共感したり、短歌の言葉が心を思わぬところへ連れていってくれたり、気に入った短歌をお守りにすることで自分を大切に思えたり。短歌という詩形の持つ心の深い部分に働きかける力を感じてもらえたら。
——本書で特に注目してもらいたい部分はどこでしょう?
第二章の「世界は三十一音でできている」です。
「学校に行きたくないときは」
「#SNSと私」
「人間関係はワンダーランド」
「鏡よ鏡よ鏡さん」
「私のなかの僕」
「今日も笑えていますか?」
「大きな悲しみが迫ってきたら」
「好きなことに、まっすぐに!」
この8つのテーマを軸にしています。いまを生きる私たちにどれもがとおく、近くつながる問題をとりあげたつもりです。
——小島さんの今後の活動について教えてください。
【小島さん】
ディスカバリーチャンネル「クリエイターと愉快な仲間たち」という番組がこの4月から「イマジネ大学」にリニューアルするのですが、そのマンスリーゲストとして4週にわたって出演させてもらいました。
MCの茂木健一郎さん、トラウデン直美さんと連句をしたり。居合道の先輩剣士や小説家の友人をゲストに呼んで、お話しを聞いたり、といった内容です。
——ディスカバリーチャンネル視聴者の方は是非チェックしてみてください! 本日は、ありがとうございました。
(了)
【ききて・深水英一郎 プロフィール】
笹舟にちょうどよい笹が欲しくて欄干から手をのばしすぎ橋から川に落ちたことがあります。
そんな私も今は著者に著書を紹介してもらう「きいてみる」企画を進行しています https://kiitemiru.com/
個人のちからの拡大とそれがもたらす世の中の変化に興味があります。
ネット黎明期にインターネットの本屋さん「まぐまぐ」を個人で発案、開発運営し「メルマガの父」と呼ばれる。Web of the Yearで日本一となり3年連続入賞。新しいマーケティング方式を確立したとしてWebクリエーション・アウォード受賞。元未来検索ブラジル社代表で、ニュースサイト「ガジェット通信」を創刊、「ネット流行語大賞」や日本初のMCN「ガジェクリ」立ち上げ。スタートアップのお手伝いや執筆をおこなっています。