オーストラリア空軍が主催する戦闘機の国際共同訓練「ピッチ・ブラック2022」が、2022年8月19日から3週間の日程で開催中です。
今回の訓練では航空自衛隊から百里基地のF-2が初参加。ドイツ、韓国の戦闘機も初めて参加し、合計17か国から約2500名の人員と、航空機約100機が参加する大規模なものとなっています。
国際共同訓練「ピッチ・ブラック」は、2年に1度開催される恒例の国際共同訓練。北部にあるダーウィン、ティンダル、アンバーレイの各基地を拠点に、ノーザン・テリトリーを中心にしたドイツ国土と同じくらいという広大な訓練空域で、迎撃や地上攻撃など各種の訓練が実施されます。
初参加となる日本の航空自衛隊からは、茨城県百里基地に所在する第3飛行隊のF-2Aが6機と、愛知県小牧基地から第404飛行隊のKC-767が参加。全部で17か国(アメリカ、イギリス、インド、インドネシア、オーストラリア、オランダ、カナダ、シンガポール、タイ、ドイツ、ニュージーランド、フィリピン、フランス、マレーシア、UAE、日本、韓国)から約2500名の人員と、航空機約100機が集まりました。
日本と並んで初参加となったのは、ドイツ空軍のユーロファイターと韓国空軍のKF-16U。このほかにも各国から戦闘機(計6機種)や空中給油機(6か国のA330MRTTと日本のKC-767)などが集まりました。
ドイツ空軍は、創設以来初めて日本を含むインド太平洋地域に戦闘機を派遣する訓練ツアー「ラピッド・パシフィック2022」の一環として参加。第74戦闘航空団に所属する6機のユーロファイターのうち1機は、主な訪問国の国旗をデザインした特別塗装機「エア・アンバサダー」となっています。
フランス空軍のラファールも、インド太平洋遠征「ペガス(ペガサス)2022」の一部として参加しています。イギリスを含めたヨーロッパの3か国は、自国がインド太平洋地域の平和と安定に寄与し、有事には迅速に戦力を展開できる能力を内外に示す意味もあるようです。
今回のピッチ・ブラックは、アジア諸国とNATO加盟国の戦闘機が大規模に交流するまたとない機会。インド空軍からは、中国やロシアも運用しているSu-30が参加しており、ロシア製戦闘機を加えた貴重な異機種間訓練ができそうです。
期間中の8月25日には、ダーウィンのミンディルビーチで訓練を記念するエアショーが開催されました。航空自衛隊のF-2を含む多くは編隊航過飛行でしたが、アメリカ海兵隊のMV-22オスプレイやF-35Bはホバリングなどの性能展示、オーストラリア空軍のF-35Aは機動飛行を見せ、ビーチに集まった人々の歓声を浴びています。
8月27日にはダーウィン空軍基地で、訓練恒例のオープンデイ(航空機の静態展示)も開かれました。これほど多くの国の軍用機が集まるのは珍しいとあって、会場は多くの人で賑わいました。
さまざまな国の戦闘機を見られる機会を喜ぶのは一般市民だけではありません。訓練に参加しているフィリピン空軍の派遣部隊指揮官が、日本国外で見る機会の少ない航空自衛隊のF-2をバックに自撮りする姿も見受けられました。
オーストラリアで実施されている国際共同訓練「ピッチ・ブラック2022」は、9月8日まで。訓練終了後、航空自衛隊のF-2は9月17日に百里基地へ帰着し、ドイツ空軍のユーロファイターは9月末に日本を訪問する予定となっています。
<引用・出典>
航空自衛隊 プレスリリース
オーストラリア空軍「ピッチ・ブラック2022」特設ページ
ドイツ空軍 ニュースリリース
イギリス空軍 ニュースリリース
フランス航空宇宙軍 ニュースリリース
NATO連合航空軍 ニュースリリース
画像:Commonwealth of Australia/Crown Copyright/NATO/USAF/フランス航空宇宙軍
(咲村珠樹)